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ラクがしたい冒険者~誰か俺を養って~  作者: あさまえいじ
第一章
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第1話

思い付きで始めました。

よかったら、お付き合いください。

俺の名前はキッド。

職業はまだない。


突然だが俺はラクがしたい。働きたくないのだ。モンスターを倒して、金を得ても、今は良くても、いずれはできなくなる。これから先のために貯めても何時なくなるかもわからない。


俺は一ついいことを思い付いた。これなら金が俺に何時も入ってくる。そうだ、養ってもらおう。


だが、おれはコミュ障だ。女に養ってもらうことは出来ないだろう。だったら、子供に養ってもらおう。そうだ、それがいい。子供なら孤児院にたくさんいる。たくさんいれば、俺をいっぱい養ってくれるだろう。


だが、いきなり行っても怪しまれて、兵士に捕まるだけだ。孤児院にとって有益な存在であれば、怪しまれないだろう。そうだ、孤児院に寄付金を渡す人なら歓迎されるはずだ。将来に対する投資だ。最初は仕方がない。何事にも元手は必要だ。魚を釣るとき餌が必要だ。それと同じだ。よし、そうと決まれば金稼ぎだ。


俺は冒険者ギルドで登録を行い、依頼を探した。ギルドの職員に聞いてみるといくつかのクエストが紹介してくれた。選ぶのが面倒くさかったので、全部と言った。まとめて受けても問題ないそうだ。これならラクだ。俺はそのクエストを片っ端から終わらせ、金を稼いだ。


俺は稼いだ金を持って、町にある唯一の孤児院に行き、寄付金を渡した。

最初は物取りに間違われたが、ちゃんと話を聞いてくれた。凄く感謝されたし、子供にもお礼をいわれた。

俺は礼は不要といった。将来、俺を養ってもらうのだ。これは餌なのだから。


孤児院を出るときに、これからも定期的に渡しに来ると告げた。また物取りだと思われたら困るため、先に言っておいた。


なかなか、見込みがありそうな子供が何人かいたので、俺の将来は安泰だと感じ、俺は笑いながら帰って行った。



side ギルド職員エリー


今日、ギルドに冒険者の方が来ました。

いや、何時もたくさんの冒険者はいますが、今日は初めての人が来ました。大きな体で顔は、悪くいうと悪人顔、良くいうと野性的といった、冒険者よりならず者のような人でした。


「冒険者になるのはここでいいのか。」

「は、はい。私が対応致します。」

少し、声が上ずりました。


冒険者登録を行い、それが終わると

「簡単なクエストはないか?」

「クエストですね。少々お待ちください。こちらなら簡単ですよ?」

「なら全部だ。」

「えっ!全部ですか?」

「問題あるのか?」

「い、いえ、ありませんけど」

「なら、ラクでいい。」


私は低ランクで、誰も受けてくれないクエストがあったので、それを紹介しました。たぶん、受けてくれないだろうと思っていました。誰も受けないから残っていた、実入りの少ないクエストでした。その人はなんと全て受ける、と言いました。私は耳を疑いました。




「おい、終わったぞ。」

「えっ、もうですか。出て行って2時間くらいしか経っていませんよ?」

「終わったといった。確認してくれ。」

「は、はい。確認いたします。す、すごい全部完了です。」

「なら、早く金をくれ。」

「はい。すぐに用意いたします。こ、こちらになります。」

「そうか、確かに受け取った。感謝する。」


その人はあっという間にクエストをこなして、帰ってきました。私はクリア報酬を用意し、彼に渡しました。やっぱりこれだけの数をこなしても少ない額でした。でも彼は喜んで受け取りました。不思議な人だと思いました。


「この近くに孤児院はあるか?」

「こ、孤児院ですか?この都市の北東にありますが、どういったご用件でしょうか?」

「寄付をしに行く。」

「あっ、ちょっと待ってください。行っちゃった。ま、まさか本当は襲いに行くんじゃ?、た、大変、ギ、ギルド長に知らせなきゃ!」


その後、彼は私に孤児院の場所を聞きました。私は彼の風貌から彼が孤児院を襲うのではないかと思い、理由を聞きました。彼は寄付をするため、と答えました。そんなわけないと思い、上司に報告しました。



「何、今日冒険者になった奴が孤児院に寄付しに行くが、襲いそう?何を言っているんだ。」

「えっと、冒険者が孤児院に寄付をしに行きました。でも、とてもそんな顔に見えなかったんです。」

「エリー君、人を顔で判断してはいけないよ。」

「そんな顔じゃありません。あの人の顔に比べればギルド長が善人に見えるくらいの顔です。」

「エリー君、なかなかひどいこと言うね。心配なら、君が見てくればいい。」

「わかりました。ですが、もしもの場合を想定して、誰かを連れて行っていいですか?」

「ああ、上級冒険者のテオがいたはずだ。彼に頼むといい。」


私と護衛として上級冒険者のテオさんの二人で彼を尾行する事になりました。


「あ、あれ、兵士のスコットさんです。やっぱり襲いに来たんですよ!」

「あれは孤児院の院長のミレーユさんだ。ミレーユさんが兵士のスコットさんを説教しています。普段は温厚なミレーユさんがあんなに怒るなんて。」

彼が孤児院に着き、物取りと間違われて兵士に捕まりかけましたが、院長が話を聞き、寄付に来てくれたことを告げ、兵士が謝罪していました。なんと彼は本当に寄付にきてました。


彼は寄付をしたあと、また金ができたら来ると言いました。

そして、笑って帰って行きました。


「本当に寄付しに来てました。」

「ああ、本当に来たな。」


「院長さん、本当に感謝してましたね。」

「そりゃ、寄付金がなければ、来週には取り壊しって話があったらしいからな。」


「私、自分が恥ずかしいです。ちょっと顔が怖いからってだけで疑ってしまって。」

「いや、俺もあんないいヤツを疑ってよ。初めて見たぜ、あんなカッコイイヤツ。」


「急いでギルド長に知らせなきゃ。私たちの大きな勘違いを。」

「ああ、俺が証人だ。ギルドのヤツラに教えてやらなきゃな。」


私たちは急いでギルドに帰りました。



読んでくださった方、ありがとうございました。

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