A city that thought is falling
この街は人間の想いが降ってくる。それは言葉が一メートルほどの形となって。だが残念なことにこの街唯一の住人である小さな魔女は文字が読むことが出来ない。
「むむ、重い」
尖った耳を震わせながら魔女は文字から這い出てきた。そして桃色の髪を揺らし、漆黒のローブに着いた土を払いため息をついた。
「また、降ってきたのか。今回で百八十九回目だ、家が壊れるの…」
スタッフをくるりと回すと文字が本に吸い込まれ、壊れた家が元どおりに直った。魔女は新しく文字が埋まった本を見て満足そうに微笑み、街中を進む。建物はあまりないが美しい装飾で飾られた街並みを抜けると広がったのは真紅の花畑であった。
「お母様。今日も本が埋まりましたよ。私は読めませんけど、きっと面白いお話です」
魔女は花畑の真ん中にある墓石に本を供えると小さく笑った。
「愛しています、お母様。また来ますね」
小さな手のひらで手を振り、魔女は墓石に背を向けた。
「ふんっふふっふん」
そうやって毎日機嫌良さげに魔女は鼻歌を歌い、帰っていく。今日も人間の想いが降る街へ。
この街は人間の想いが降る街。そして本が大好きな母を想う魔女が住む街。
_end
今回はTwitterのタグにて書くことが決まった作品で、今後好評なようであれば続きがあるかもしれません。多分ない。




