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タルト
家の明かりが
点いたり消えたりして
横目で見ながら
ふらり
暗い夜道を歩く
道端に転がる空き缶を蹴って
ペットボトルをゴミ箱に向かって投げて
からんと入る音がしたから
街灯にピースサインを
にかっと笑って見せる
あたし
あなたのこと好きよ
誰も聞いてないのに
そうつぶやいた
この日々はまるでタルト
甘ったるくて太っちゃいそう
毎日 毎日 幸せで
泣いちゃいそうなのですよ
堆積するサツキの風は
都会の星を攫っていった
上を見上げなくたって
いいんだよ
そっと前を見てるだけで