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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第三章 ギルドに加入するということ
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心強い味方

 

 偵察したメフィによると、ケルベロスはまだ近くには来ないようだ。

 そのまま見張りを続けてくれるらしい。


「まずはお礼を言う。また助けてもらい有難い」

「いえいえ、当然のことをしたまでです」

「二回も共に戦った俺達はもう親友だ! 堅苦しいのはやめてくれよ」


 なんか金目当てというのが申し訳ないくらいに良い奴っぽいな。

 そこそこの実力者に認められるというのは名誉なことだが。


「そういえば、お仲間は?」

「……ああ、俺達は街の近くで野営をしていたが、ビーストの野郎が朝飯に急に寝だしてな。ああすまん、ビーストというのは俺らのメンバーにいた獣人のことだ。名前は別にあるらしいが、俺らはあだ名で呼んでいる」

「なんというか、そのまんまですね」


 獣だからビースト。

 ホーンビーストとか、紛らわしい魔物が出たらどう呼ぶのか気になるな。


「一度起きると二度寝すらしないやつだ。そいつが食事中に寝るなんておかしいから、俺達で街へ向かっていたんだ。そうしたら、俺以外が次々と寝てしまってな」

「みんな寝不足だったとか?」

「前の夜は皆でぐっすりさ。見張りなんてものも立てないくらいにな」


 彼らくらいになると、危険を察知すると自然に目が覚めるらしい。

 睡眠不足を解消できるとは、なんとも便利な能力だ。

 そこまでの経験を積むほどのベテランでも、ケルベロスには勝てないのか。


「さすがにおかしいと思って、俺たちはコイツを使ったのさ」

「それは?」

「簡単に言えば、これは五感の一つを消す薬さ。俺はこいつで嗅覚を消すことで眠りに襲われることはなかった。他の二人は聴覚と味覚を消していたみたいだが、俺が当たりだったようだ」


 なんでも朝食でビーストが倒れたということで、それぞれ対策をしたらしい。

 しかし、味覚を消した奴はバカなのか?


「ま、そんなわけで、街まで着いたのは俺一人。肝心の門はケルベロスに塞がれていたわけだ。俺はそいつと争ってさっきのザマだ」

「それでもあれと戦えるだけで凄いですよ」

「固くなるなよ。それより、あのカバを運んだりケガを治してくれたお前さんのほうが何倍も凄いぜ」


 そうは言ってくれるが、やったのはメフィだ。ベヒーモスを倒したのもシキだし、俺はお金しか払っていないので複雑な気分になる。


「あのカバはベヒーモスらしい。ギルド長が言ってた」

「なんだって! この大陸にはいないはずだが……通りで強いわけだ」

「それでも、俺達がくるまでに結構ダメージが入ってたじゃないか」

「ハハハ、それでも俺達はまだまださ」




「仲良くしているところ悪いけど、もうすぐケルベロスがこっちへ来るよ。今のうちに離れたほうが良い」

「わかった、移動する」

「ここではお前に従う! 付いていこう」


 メフィの案内のもとに、何も音がしない街を二人で移動する。

 ケルベロスとやらの足音が聞こえない方に逃げても、道が入り組んでいると案内なしではいつか追い詰められそうだ。

 逃げていられるのも、上空のメフィ様様といったところか。


「そういや自己紹介がまだだったな。俺は『鋼鉄の牙』というパーティリーダーのバルドだ。よろしく頼む」

「俺はヨーヘイ。あっちにいるのは相棒のメフィ……メフィストさ」

「そういや、君はあの能力を使っていないのか?」

「能力?」

「マスター……シキのことだよ」


 言われるまで気が付かなかったが、あの時たしかシキを俺の能力として敵を倒したのだったか。

 うーん、誤解を勝手に解いて良いものか悩むが、ギルド長に会えばバレるようなことだしな。


「あの、他のメンバーには言わないで欲しいのですけど」

「どうした改まって? 君にはさっきの礼もあるから約束しよう」


 戦力を確認するためにも、ここは正直に言ったほうがいい。

 隠し事のせいで敵にやられるとかは勘弁だ。


 俺はシキが能力でないことから、鬼であるために隠したこと。

 また、ギルド長の許可を得て滞在していることを話した。

 バルドは驚いていたようだが、戦闘を目の当たりにしているだけすぐに納得してくれたらしい。

 むしろ、俺がただの一般人ということに驚いていた。


「成る程。しかし、そうするとそこの彼女は?」

「ボクは悪魔さ。しかし、マスターの味方だよ」

「悪魔だと!? いや……治療は助かったが、そうか。色々聞きたいことはあるが、まずは今の状況をどうにかしよう」


 ギルド長に説明したときも思ったが、やけに周りが信用するな。

 自称の癖に、周りに悪魔だと思わせることも出来るのか。


「おかげで俺は回復したが、正直にあのケルベロスを倒せる自信はない。俺はBランクだが、あいつはAランクでも上位の魔物だ。パーティでなら倒せると思うが、一人では厳しい」

「俺はEランクだから、戦力には期待しないでくれ。魔法は使えないが、壁にはなれる」

「……な、に?」

「事実だよ」


 メフィが上から援護するが、出来ればプラス方向の援護が欲しかった。

 そして傍にいるメフィの援護も、お金が足りないので期待できないと伝える。


「そうか……治療で金貨6枚使ったから対抗手段がなくなったのか」

「俺らの判断で決めたので、あまり気に病まないでくださいな」

「俺に使った分は必ず払おう。そう言えば、外に置いてあったベヒーモスは買い取ってもらえたのか?」

「ああ。ギルド長いわく金貨100枚だってさ。半々で良いんだよな?」

「なっ! 金貨100枚……だと」


 あれだけ大きな魔物で金貨100枚ほどしかないんだ。

 これで報酬が酒場代で消えた、魔王幹部とかいう悪魔よりも価値があるんだから笑えるな。


「それだけあれば俺らの装備も新しく……いや、半々となると50枚だからそれを4人で分けて……2枚余るか?」

「あの、バルドさん?」

「彼はどうやら、お金の魔力に取り憑かれたようだね」


 人間急に金が増えると豹変するものだ。

 いまだに金貨のレートやら相場がわかっていないが、Sレア相当の武器が金貨10枚で買えることからみると、十分な額なのだろう。


「さっき君が使ったのは金貨6枚と言ったか?」

「そうだが」

「では俺らの報酬は金貨40枚で良い。余った10枚を君に渡そう」

「そうすると、他のメンバーが2枚分損するような……」

「元々俺らだけじゃ倒せなかった。半分は貰い過ぎだからな!」


 あ、これ自分の取り分から払いたくないだけだ。

 バルドという人間はリーダーなので信用できると思っていたが、やはりお金の魔力には勝てなかったらしい。

 まあ俺の金が減るわけじゃなく増えるわけだから、関係ないっちゃそうだが。


「それはそうと、報酬の前払いって今できますか?」

「あれから俺らも増えていないからな……今渡せるお金はないんだ」

「そういえば、この街への入場料は良かったのか? 違約金とか大丈夫か」

「ん? ギルドに所属していれば身分証明にはなるからな。それに、俺らはこれでもギルドに召集されるくらいのパーティだから要らないぞ」


 どうやらギルド所属となると、Bランク以上はお金を払わないでも良いらしい。

 なんでも街の治安に一役買ってくれるとか。

 治安がどうこう言っておきながら冒険者自体が荒らす場合もあるが、その場合はCランクに降格か街から追放のようだ。


 とすると、前の街でBランクだからと威張ってたやつはCランクに降格となったのかもしれないな。




「話を戻そう。ということは、君は囮役。メフィスト君は陽動役で、俺が攻撃役になるということか?」

「お願いします」

「ボクはなんでも良いけどね」

「しかし、あいつは動きは遅いが一撃が重い。尚且つ麻痺耐性もあるようで俺の武器が効かなかった。魔法もそこまで効いていないようだったな」


 話を聞く限りでは情報通りの魔物らしいな。

 通常は初見だとこうやって試行錯誤しながら対策を練るのだろう。

 しかし、それは通常ならの話だ。


「ケルベロスには光魔法と呪いが効く。あと状態異常耐性を持っていて毒を吐くらしい。当たったら死ぬ」

「なっ! なぜそこまで判るんだ! いや、毒を吐くだって?」


 といっても、全て攻略本からの受け売りだが。

 あとは戦闘した感じと、弱点をつくような攻撃をしてもらえば。


「しかし、俺は光魔法や呪いを付与する術を持っていない。麻痺や毒にするのが俺の役割だしな」

「なん、だと」

「まさに万策尽きたーといったところだね」

「いや、尽きていないが」


 前までの俺ならそうだったが、今はヴェノムダガーの他にも武器がある。

 いや、あれを武器といって良いのか謎だが、一応光魔法のはずだ。


「……それは?」

「ボクも初めて見るね。いつ手に入れたんだい?」

「これは昨日買い物して手に入れたライトニングソードだ。ボタンを押せば電撃が放たれる」


 そういって、ブォン! と実戦してみせる。


「それはもしかして、伝説の!」

「あー……ライトニングセイバーのパチモンらしい。そもそも伝説って?」

「なんだ、驚かせるなよ。しかし、電撃なら奴の弱点を突けるな」

「マスターは良い買い物をしたようだね。これは戦力になるよ」


 バルドとメフィが想像以上に褒めてくれるので、騙されて買ったとは言えない雰囲気だ。

 しかし、思わぬところで役に立つな。


「実はもう一本あるが、なんでも剣先を出すと使用者が感電するらしい。使えるなら一本渡すが」

「感電だと? いや、欠陥武器ならおかしくないが……君は平気なのか?」

「俺はほら、さっき言ったように魔力ないし魔法も効かないし」


 その説明で分かってくれたらしいが、納得されるのも複雑だ。

 いや、話が早くて助かるが。


「話し合いのところ悪いけど、そろそろ時間切れのようだよ。マスター、ここらで向かい打ってはどうだい?」

「まあこれ以上話しても有効な案は出なさそうだしな」

「だな。さっさとゆっくりしたい。では俺が前衛になるから、君は隙を見てその武器で攻撃してくれ」

「わかった」


 方針も固まったところで、そろそろ隠れんぼも終了だ。

 この状況で一番頼りになるのがパチモンの武器とか、本当に俺らは大丈夫なのか不安だが。


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