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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第三章 ギルドに加入するということ
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魔法無効の落とし穴

 

 俺が意識を取り戻したときには、既にリアンを含む皆が席に座っていた。

 机を挟んで二つ設置されているソファにそれぞれ、リアンとリョウタ、シキとメフィがいる。

 そして執務用の机にギルド長。

 ……ん?


「俺の座る場所は?」

「君は当事者だ。そのまま説明したまえ」


 正面にはギルド長、横にはそれぞれソファーがあるので、気分はさながら被告人のようだ。

 これは裁判なのか?


「おい、メフィは座る必要ないだろ」

「おや、マスターには説明する義務があるよ。内容によっては、ボクが席を譲ることも可能だ」

「何で偉そうなんだよ」

「あとは、そのリョ……おっと、シーシアさんかな? マスターが座りたいようなので、ボクの膝に座るかい?」

「「「なっ!」」」


 ……その言葉にリアンとリョウタが反応するのはわかる。

 あと一人は誰だ? 初対面のシキがリョウタを知るわけがないし、まさか。


「ギルド長?」

「っんん。何かね? そちらが話さないなら、こちらから聞こうではないか」

「さっき、反応……」

「捕虜がもう一人いたとのことだが、逃したのは痛手だ。こちらの行動を悟られる可能性がある。しかし、情報を聞こうではないか」


 どうしても誤魔化したいらしいな。

 ただ、これでギルド長のロリコン疑惑がほぼ確定した。

 そっちが不遇するなら、弱みを握れたので脅してやるか。




「…………というわけだ」

「いや、どういうわけかわからん」

「私もです」

「わたしも、ちょっと……」

「ボクはマスターのことなら何でも……」

「そうね。私にも意味がわからないわ」


 散々な評価だが、それは俺も聞きたい。


 一つ。街の人々が眠っていたのは何故か。

 二つ。なぜ俺は眠らず、仲間だと思われたか。

 三つ。護石とあの方とは何なのか

 四つ。明日何かが起きる。何が?

 五つ。呪いは何だったのか。


 考えれば考えるほどわからない。

 明日眠らされて、あの方が来て、何が起きるんだ?


「しかし、対策が立てられるのは有り難い。お手柄だ」

「じゃあ、俺をEランクから……」

「いや、魔力なんてものは子供でも持っている。そこいらの子供に負けそうな君がDランクになれると思うか?」

「くっ……またそれか。子供子供って…………このロリコンめ」

「何かいったかね?」

「いえ! 何も!」


 どうやらDランクまでの道は長いらしい。

 対してデメリットもないなら、まあいいけどさ。

 しかし、こいつの態度が気に入らない。


「ところで、その逃げられたという奴の護石はあるのかね?」

「いや、後で貰おうと思ったらいなくなった」

「ではこの一つだけか」


 そこには、捕虜にしたやつが持っていた一つの護石があった。

 まだ目を覚ましていないらしいので、大方リョウタの話を聞いて護石だけ持ってきたのだろう。


「私の『鑑定の水晶』で覗いた結果だが……この護石は、どうやら耐性のない者にとある耐性を与えるものらしい」

「とある耐性? 何でしょうか」

「そこまではわからない」

「それって魔道具の性能もわかるのか」

「ああ、ぼんやりだがね」


 肝心の性能がぼんやりとしかわからないなんて、それって参考になるのか?

 まあだからSレア止まりなのかもしれないが、数だけは各ギルドに配布されるくらいにはあるらしいので、簡単な判断基準といったところだろうか。


「君を襲った奴らがこれを持っていたということは、そいつらは耐性を持っていないということだろう」

「だからその耐性なしの住民が眠っていたって?」

「そうだろうな」


 何の耐性かはわからないが、住民の様子を見るに珍しい耐性なのだろう。

 敵側も護石で対策するくらいだ。

 もし明日何か起きて、準備がなくても無事なのは、護石を渡したというあの方くらいだろう。

 そう結論が出た時、少しだけ現場にいた幼女が何かに気づいたようだ。


「ちょっと待ちなさいよ。なんでヨーヘイは無事だったの?」

「ん? そういやそうだな」


 リョウタに指摘されて気がついたが、よく考えると俺にも効かない。

 固有スキル持ちのリョウタなら効かないのもわかるが、何故だ?


「ひょっとして、あの方って……」

「実は……俺?」

「んなわけあるかっ! あっ……ないでしょう!」


 フッ……まだまだ甘いなリョウタよ。

 しかし、これで一つの仮説ができた。


「みんな聞いてくれ! 俺には魔力がない」

「改まって、どうしたんだい?」

「あの、落ち着いてください。わたしも協力しますので」

「いきなり何を言うんだい? このEランクは」


 なんか俺が可哀想な子に思われているが、まずは仮説を証明するべきだ。


「俺には多分……魔法が効かない」

「「「「え?」」」」


「ボクからすると何を今更、といった感じだね」


 意外と鋭い悪魔意外は、ポカーンといった感じでこちらを見つめていた。






 具体的な対策は出来ていないが、俺達はギルド内にある訓練場へ来ていた。

 ここなら魔法を使っても、建物が壊れる心配がないらしい。


「魔法が効かないって……そういえば、わたしの治癒魔法も効きませんでしたね。よかった……下手なだけじゃなくて」

「もしそれなら、俺が眠らなかったことや、呪いが効かなかった件も説明できる!」

「自信満々のようだが、本当にいいのかね? もしただの状態異常耐性のみだった場合、君は負傷するぞ」


 今俺は、訓練場の的がある位置にいる。

 ここからみんなに魔法を撃ってもらう予定だ。

 もし魔法が効かないのなら、俺にダメージはないはず。

 もし効いたら……怖いな。


「やっぱり、まずは初級の簡単な魔法を……」

「――ライトニングボルト!」


 少しだけ怖気づいて訂正しようとすると、いきなり雷が降ってきた。

 俺の視界は一瞬で電撃に遮られる。


「うわあああああああ! いきなり何すんだよ!」

「す、すごいです。本当に無事です……」


 発言からすると、今の魔法はリアンらしい。

 しかし、いきなり大技をぶっ放すとか、俺何か恨まれることしたっけ?


「これで無事じゃなかったら丸焦げだったな」

「リ、リアン? 少し加減を……」

「え? あっ! すみませんでした!」


 魔法が効かなかったからいいにしても、もし普通の人なら大怪我だったな。

 まあこれで仮説が正しいことが証明できたんだ。


「よし! 今度は火の玉でも撃ってくれ!」

「ここは『爆炎の姫君』の出番か」

「え? ちょ、無理よ!」

「そ、そうですよ! ゆ……シーシアさんは今少し修行中なんです!」


 どうやら、まだリョウタは魔法を使えないらしいな。

 それにしても、リアンによる教育は完璧だが、肝心のリアンがボロを出しそうになっているのはダメだろう。


「なら、わたしが……あの、本当に良いのですか?」

「ああ! 撃ってくれ!」


 シキが軽く、火球のようなものを放ってくる。

 スピードもないし、あの様子なら威力も無さそうだ。

 そうそう、こういうのでいいんだよ。


 俺は実験の為、目の前に飛んできた火球に手を伸ばす。

 ……そして、火球はそのまま手のひらで半分に割れ、俺の後方へと激突した。


 その時、なぜかドーーーン! という巨大な音がした。


「え?」

「す、すみません! 少し加減を間違えました!」


 ……どうやら、リアンだけではなくシキにも狙われていたらしい。

 魔法は見た目で判断してはいけないな。


 しかし、これでわかった。


「どうやら、魔法は効かないだけで、消すことはできないな」

「マスターは自動防御オートガードといい、生存することに関しては強いみたいだね」

「もし魔法を消すことが出来るなら、Sランク冒険者にも成り得たが……効かないだけなら君しか反撃できないではないか」

「……っ! そうだった」


 これが魔法を打ち消せるなら、いくら明日何が起きようが対応することができた。

 しかし、俺に効かないだけとなると、一人で立ち向かえって?


「いやいや、無理だから」

「しかし、魔法が効かないとはな……君には魔力がないので、納得はできるが信じられんな」

「だからわたしと居ても平気なのでしょうか?」

「ん? マスター、ボクも魔法を使っていいかい?」


 いつもはもっと軽く撃ってくるはずのメフィだが、今回は珍しくためらうような感じで聞いてきた。

 俺の懐でも心配してくれているのだろうか?


「ああ! でも銀貨1枚くらいのやつにしてくれよ!」

「ここは銀貨5枚かな? マスターの安全のためには」

「俺にはどうせ効かないんだ! もっと安いものにしてくれ!」


 傍から見ると意味不明だが、ここにいるメンバーならメフィが魔法を使うのにお金がいることを知っている。

 魔法が効かないなら安全だし、無駄になるなら少しでも安い方がいい。


「じゃ、銀貨2枚の魔法にするけど……文句は受け付けないさ」

「別に文句なんて言わないさ! いつでもいいぞ!」


 そして、メフィのいるほうから渦潮が放たれる。

 技名はウォータートルネードといったところか。

 もし飲まれたら流されるだろうが、俺には……。


「避けるより受けたほうが…………うわっぷっふごごごごご……うがッ!」

「あーあ、だから言ったのに」


 そして水流に押し流された俺は、そのまま壁に叩きつけられる。

 服もビチャビチャになって張り付き、その上ぶつかった衝撃で身体のあちこちが痛む。


「なんっ……で」

「この前、ボクが魔法で治したのを忘れたのかい?」


 そういえば、シキの治癒魔法で治らなかったのでメフィに治してもらったときがあったな。

 魔法は効かないのに、メフィの魔法は例外らしい。


「今治しますね……あれ? 効いていますか?」

「いや……まだ痛い」

「やれやれ、さっき魔法が効かないと証明したばかりではないか」


 シキの行動にギルド長が呆れているが、ということはつまり。


「マスター、治して欲しいならお金を払ってね」

「この悪魔が!」


 どうやら、俺に対する魔法はお金がないと効かないらしい。

 シキに頼んでお金の節約をしようと思ったが、異世界はそこまで甘くなかったらしい。


 メリットでもあるが、デメリットも同じくらいあるとはな。


 そして、しばらく静かだった元勇者連中が、またも爆弾を放り込む。


「ヨーヘイのことはわかったけど……そろそろその子を紹介してくれないかしら? 只者ではない魔力を持つ、彼女を」

「えっ! わたしですか!」


 ギルド長は認めてくれたが、さすが元勇者というか隠しきれないらしい。

 シキが魔法を使ってから静かなリアンも気になるが、ここはリョウタたちにも説明して協力を仰ぐか。

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