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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第三章 ギルドに加入するということ
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ギルドへの報告

 

 襲撃者を咥えたユニコーンと、それに跨る幼女を引き連れてギルドへと向かう。

 歩いている時に思ったが、メフィを連れている時よりめちゃくちゃ目立つな。


「あんたは死にかけていたみたいだけど、あの悪魔はどうしたのよ」

「ん? ああ、訳あってギルドにいるよ。そっちと同じで別行動だな」


 Eランクだから追い出されたとか、文字が読めないから役に立たないとかの余計なことをいう必要はない。

 リョータはともかく、このユニコーンに馬鹿にされるのは勘弁だ。


「そういや、リョウタって『ハリネミズ』て呼ばれて……」

「その名からは解放されたんだ! もう呼ぶな!」


 さっきの温厚な雰囲気から一転して、素の凶暴なリョウタがでてきた。

 さすがハリネズミという名だけはあるな。


「かわいらしくていいじゃないか」

「やめろ。それ以上言ったら消すぞ。主にコイツが」


 そういってユニコーンを撫でるが、肝心のやつは今にも襲い掛かってきそうにやる気マンマンだ。

 馬に襲いかかられて無事でいられるはずもないので、今は控えるか。


「わかった。俺が悪かった。じゃあ、Aランク冒険者シーシアにも二つ名はついてるはずだよな?」

「そこに気づくか……」


 前に聞いた話だと、Aランク以上には二つ名がつくらしい。

 ということは、シーシアとリアンにも何かあるはず。さて、今のリョウタはなんて呼べばいいのだろうか。


「ま、まあ、そんなことはどうでもいいじゃない! 今はギルドに報告する内容を考えるのよ!」

「そうだな。どうせギルドにいけば誰か教えてくれるだろう」

「くっ……そうね」


 二つ名というのは、本人が嫌がっても勝手についてまわるものだ。

 そう考えるとシキが嫌がるのもわかる気がするな。

 俺だって『最弱の他人任せ』とか知らない人に言われると嫌だ。




 そうこうしているうちにギルドへと着いたが、さすがにユニコーンは入れないだろう。

 そう思っていたが、何事もないようにユニコーンに乗ったまま入ろうとする幼女が一人。


「? 入らないの?」

「いやいや! さすがに馬から降りようぜ」

「この子はリアンの召喚獣なのよ。外で待たせるつもりなのかしら」


 ユニコーンの野郎も、これがチャンスといった具合にリョウタへ甘えている。

『くぅーん』とか気持ち悪い鳴き声でリョウタにじゃれついてやがる。

 あ、こっちを一瞬見て勝ち誇った顔をしやがった。あいつ、俺へ見せつけるためにわざとやっていないか?


「それに、あんたを襲ったこいつも運ばないといけないのよ? この身体では運べないもの……それとも、あんたが運んでくれるのかしら?」

「う……無理だな。まあそのままいくか」


 暗に『元の俺は運べたのに、お前は運べないだろ?』と言われている気がしたのは気のせいだろうか。運べないこともないだろうが、無理はできるだけしたくないな。

 しかし、馬に乗ったまま建物へ入るとか、常識なんかあったもんじゃない。


「なるべく他人のフリをしていたいが、せめてもの手助けとして扉だけは開けてやる」

「あっそ。ありがとう」


『ちょ! なんで馬が入ってくるんだ!』

『あ、あの一角獣はもしかして……』

『それにあの上にいるのはまさか』

『おい誰か、ギルド長を呼んでこい!』


 扉を開けてそのまま入ると、中は予想していた通りにちょっとした騒ぎになる。

 元から喧騒の絶えない場所だったが、馬のまま入ってくる冒険者は珍しいのだろう。

 むしろ、そんな常識破りの冒険者が何人もいたら怖い。


「ちょ、ゆう……シーシアさん! 何やっているんですか!」

「あ、リアン。この子を外に放置するのがかわいそうだったから連れてきたの」

「だからって、ここに入れちゃまずいですよ!」

「ダメ……だった?」


 そう言って、リョウタとユニコーンの野郎は揃って首を傾げるが、今のリョウタはともかくユニコーンは蹴り飛ばしたいくらいだ。


「ダメに決まってるでしょ! ほら、いい子だから外で待っていてください」

「ブルルウウウウッ」

「……リアンが言うなら。ここまでありがとね」


 ユニコーンはリョウタの声に頷くと、咥えていたものを近くへと放る。

 それによって近くにいた連中も、ただ馬で乱入しただけでないことに気がついたらしい。

 むしろ、馬のインパクトが強すぎて気づかれない捕虜も可哀想だが。


 そのままリョウタに一礼をして出ていった馬だが、ユニコーンのやつリアンよりも懐いてないか?

 リアンは気にしていないようだが、人によって態度変えすぎだろ。




「……ところで、その方は誰ですか?

「え? 俺のこと?」


 リアンがこちらを向いて、何やら信じられないようなことを言ってくるが、捕虜のことだよな?


「はい。もしかしてシーシアさんの知り合いでしょうか?」

「……俺だよ、俺」

「すみませんが、詐欺ならお断りです」


 まさかと思いつつ、動かなくなった身体を無理やりギギギと動かす。

 そして横にいるリョウタに無言で助けを求める。


「……あー」

「あー……じゃねぇよ! 洗脳か、それとも記憶喪失か!」

「ま、影が薄かったしな」


 確かに振り返ってみても、なんかリアンはメフィとばかり話していたような気がする。

 だからって、覚えていないとはあんまりだが。


「俺だよ、ヨーヘイだよ」

「ヨーヘイさん……どこかでお会いしたような……」


 まさか記憶にすら残っていないとはショックだ。

 しかし、もうちょっとで思い出して――


「やあマスター、これはまた懐かしい人を連れているね」

「ああ、メフィ――」

「っっ! あなたは……この悪魔っ! よくも顔を出せましたね!」


 ただでさえユニコーンの乱入でざわついていたギルド内が、リアンによる悪魔発言で更にざわつく。


 しかし、今のメフィは急に現れただけで、浮いているわけでもない。

 なのでリアンの悪魔発言は、周りにただの比喩として受け取ってもらえたらしい。まあ、本物と言って騒ぎになっても困るので好都合だ。


「思い出しました! あなた、ゆう……シーシアさんを誑かす悪魔ですね! ということは、ヨーヘイさん?」

「おまけみたいな扱いが気に食わないが……そうだよ。久しぶり」


 たかが一週間か二週間程度だが、しばらく会わない予定だったんだ。

 思わぬ再会なら懐かしくもなる。


「そういえば、ヨーヘイさんもこの街に行くと言っていましたね。無事で何よりです」

「無事かと言われると悩むべきところだが……そうだな、生きていてる」


 さっき死を覚悟していたとか、余計なことを言う必要はない。

 リョウタが言わない限りはそれもバレることはないだろう。

 ただ……俺に付き纏う悪魔に隠し事はできないらしい。


「ところで、マスターの据わった目は何かな? まるで死を覚悟した人のような……」

「それはあとで話そう」


 あの呪いは何だったのかとか、俺に起こった出来事はいくらでも後回しだ。

 今は、捕まえてきたこいつと、逃げたと思われるもう一人。

 それと、明日何か起こるという対策のほうが重要そうだ。




 そうして騒ぎが収まらぬうちに、中から見覚えのある人物が出てきた。


「あの『爆炎の姫君』が到着したと知らせが入ったが、何の騒ぎだ?」

「『爆炎の姫君』? ギルド長、それってもしかして……」

「……ええ! 大事な相談事があるの! 奥の部屋でいいかしら?」


 どうやらリョウタ……もとい、シーシアの二つ名は『爆炎の姫君』らしい。

 でも『ハリネズミ』よりは普通すぎて面白くないな。

 当の本人は呼ばれた途端、顔を真っ赤にしていたが。


「ところでマスター……あの女の子は、本当にリョウタなのかい?」

「俺も信じられなかったが、どうやら本物らしい。後で確かめてみたら?」


 何気に悪魔を誘導して、俺もリョウタ達に続いて奥の部屋へ向かう。

 そうして奥へ入ろうとすると、ギルド長からまさかのストップがかかった。


「おや、なぜEランク君もついてくるんだ?」

「俺も当事者だからな。説明はいるだろう」


 そのことにギルド長のランドは少し悩んだ様子を見せると、なぜかリョウタのほうを向いて何やら納得したようだ。


「そうかそうか。なら、この『爆炎の姫君』が頼むなら、君の同席を許可しよう」

「「なっ!!」」


 そのことに驚いたのは、俺とリョウタだけであった。

 リアンは頭を抱えるだけだし、メフィに至っては面白そうにニヤつくだけだ。

 まさかシキのときも疑惑があったが、ギルド長ってロリコンなのか?


「さあさあ、頼んでみなさい。『このEランクも同席させて?』とね」

「んなこと誰がいうか!」

「ん? 今の発言は『爆炎の姫君』……にしては」

「えっ、いや……そんな発言、するわけないじゃない!」

「なら君は、ついてくるな」

「ちょ!」


 リョウタがそう言うと、これ以上話すことはないと言った感じでスタスタと階段を上っていく。

 どうでもいいが、やはり二階でも奥の部屋扱いらしい。


「じゃ、そういうことだから……」

「くっ……仕方ないわね。この捕虜が吐かなかったら、ヨーヘイにも来てもらうわよ!」

「その時はおねだりよろしくな」

「うぅ…………ったわよ」


 そして二階へと連れて行かれる二人を見送り、俺は何事もなかったように立ち去る。

 例え呼ばれたとしても、あんな態度をされたら出す情報も何もないな。


 ギルドの外に出た時、そこには何も繋がれていない、一頭の白い馬が待機していた。

 どうやらこちらにガンつけているらしい。今にも襲ってきそうな迫力だ。


 俺は無言でギルド内に戻る。

 今ならランドもいないので、せっかくだからシキの様子でも見に行くか。


「……マスターはあの馬に苦手意識でもあるのかい?」

「それも、さっきの出来事と合わせて話すよ」


 問題は先延ばしにする。

 不思議そうにするメフィには悪いが、それも今日の夜になったらまた問い詰められるんだ。

 説明するなら三人一緒のときでいいだろう。


 癒しであるシキに会うため、俺たちはシキのいるという資料室へ向かうことにした。

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