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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第三章 ギルドに加入するということ
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闇店舗


 誰も近づかないのはかえって不気味だが、何故か興味を惹かれる。

 認識して避けられているのか、そもそも認識されていないのか。


 何を売っているのか。

 あの黒いローブの人? は生きているのか。

 危険な橋は渡らないのがモットーだが、好奇心は猫をも殺すとは言ったものだ。

 いざとなれば、メフィがいなくても攻略本による自動防御オートガードがある。

 ……最近使ってなかったけど発動するよな?


 一応黒いローブの前までは来てみたものの、並べてある商品は……ない?

 まさか、何も売ってないのか?


「お客さん、何か用かい?」

「うぉ! 喋った」


 見た目から小柄なおばあさんかと思っていたが、聞こえてきた声は予想よりも随分と若そうな声音だった。

 多分俺と年も変わらないんじゃないだろうか? 舐められるから少女には見えないようにしているのか、オーラから感じる見た目詐欺にも程があるな。


「ここは何を売っているんだ?」

「見ればわかるだろう。私は客を選んでいるからね。気に入った人にしか商品は出さないのさ」

「見ても商品がないようなんだが」

「……そうだね。実は今日ひとつも売れていなんだ。あんたには何か買ってもらうとするか」


 それは気に入られた、と判断して良いのだろうか。

 謎多き女性だが、その人が売るモノというものにも興味はある。


 俺が黙ってみていると、その女性はローブの中から何やら筒のようなものを一つ取り出した。

 見た目では発煙筒のようなものに思えるな。


「……どうだい?」

「いや、まずなんだよこれ」

「それを握って上に向けて、ボタンを押してみな」


 筒を受け取り、言われた通りに構えてボタンを押す。

 そうした途端、長さ一メートルはありそうな光が筒から真上に放たれた。


「うおっ! なんだこれ」

「それは私が作った武器さ。ライトニングソードとでも呼ぼうかね」

「ライトニングソード? セイバーじゃないのか」

「ライトニングセイバーは伝説の武器さ。とてもじゃないが、名乗る勇気はないね」

「へぇ……伝説って?」

「ああ。試しに振ってみると良いさ」


 軽く振ってみると、ブォン! という風切り音がする。

 何度も振ってブォンブォンさせていると、さすがに迷惑そうにされたので少し自重する。

 結局、伝説ってなんだったんだ。


「ハハッ、こりゃ面白いね!」

「嬉しいこと言ってくれるね。ただ、武器としてはいくつか欠陥がある」

「欠陥? 切れ味が抜群過ぎて困るとかか?」


 俺の知るところでは、触れたら消滅とかそんなものだろうか。

 もしかすると、攻略本に最強武器とかで載っていたりしてな。


「まず、剣先がないので剣の打ち合いはできないよ。もし打ち合いをするなら捨て身前提さ」

「実体がないのかよ」


 よく精霊剣だと物質に干渉できるが、この武器にそこまでの機能は備わっていないらしい。

 防御には全く使えないということか。


「次に、埋め込んである魔石の魔力が枯渇すると剣先も出ない」

「充電式かよ」


 シキと一緒のうちは頼めば良いが、一人のときに切れると俺に補充手段はない。さながら使い捨て武器といったところか。


「最後に、剣のような見た目をしているが、電撃を放出するだけさ。触れたものを感電させるくらいはするがね」

「それただのスタンガンじゃん」


 夢のある宇宙武器かと思ったが、実際は見た目だけのスタンガンだとはな。

 しかし、感電させるという能力は思った以上に有用かもしれない。


「気に入った。こいつを売ってくれよ」

「あんた、それに触れて大丈夫なのかい?」

「ん? 何とも無いけど」


 さっきからボタンを押して剣先を出したり仕舞ったりしているが、言われた欠陥以外にも何かあるのだろうか。


「そいつは電撃を纏うが、それが持ち手にも纏うおかげで使用者は全員感電するのさ。光魔法耐性や、状態異常耐性がある者以外はね」

「何だよその欠陥品! さっきからダメダメじゃないか!」


 ということは、俺もそれで倒れていた可能性があるわけか。

 そんな危ない武器を出してくるなんていかれてやがる。


「……そいつを見せたらどっかいってくれると思ったんだけどね。コレも何かの縁か。銀貨50枚でどうだい?」

「人をケガさせようとした割には、それなりの値段ですね」


 武器としては妥当な値段か。しかし道具にしては高すぎる相場だ。

 うーん、ここは露天だし、値引き交渉でもしてみるか。


「これ一つで銀貨50枚?」

「……あんたも強欲だね。じゃあ、同じモノをもう一つ」

「いやスタンガンの二刀流は要らないっす」


 どこぞのテレビショッピングみたいだが、俺が欲しいのはそっちじゃない。


「銀貨30枚なら買う」

「よし売った」

「ちょっ!」


 この反応、あらかじめ馬鹿高い値段を設定してきたな。

 チクショウ、もっと下を言えばよかった。


「あの、銀貨10枚くらいには……」

「なんだい、今更変えるのかい?」

「……っ! ああ銀貨30枚で買ってやるよ! その代わり二本寄こせ!」


 相場よりも高い値段で買ってしまったようだが、二本はくれると言っていたんだ。それくらいの抵抗はしても良いだろう。


「まあ、持っていきな。おかげでそれなりに稼げたからね」

「くぅ……敗北感がすごい」


 まあ良い。面白そうなものは買えたんだ。

 多少の損には目を瞑ろう。


「せっかく買ったんだ。他にも面白そうなものがあれば見せてくれないか?」

「そうだね……他にはこういうものが……っと!」


 辺りに人が少なくなってきたせいか、海から吹く潮風が心地よい。

 その影響か、目の前の人物のローブが少し風でめくれあがった。


「…………え?」

「お客さん、どうかしたかい?」


 何処かで見たことのある顔のようだが、何処だったか。

 いや、たかが二週間だ。内容は随分と濃いが、出会った人もそこまで多くないはず。


「どこかで会ったことあるか?」

「なんだい、ナンパかい。生憎とそういうのは何十年……」

「あ、宿屋でウエイトレスとかしてなかったか?」


 あの時はよく見ていなかったが、さっき見えた顔は最初に泊まった宿の従業員によく似ていた気がする。

 たしかお礼と言おうと思って、あの時顔を見たんだっけか。


「……何のことだい?」

「あの時は助かった。ありがとう」

「人違いだね。どうやら撤収の時間のようだ。じゃ、またね」

「ちょ、そんな逃げるようにすると、肯定してるもんじゃないか!」

「…………まさか覚えているとは」

「え、なんだって?」


 なぜ逃げるのかは不明だが、こちらが戸惑っているうちにさっさと人混みの多い道へ消えてしまう。

 店を出していたにしては、何も並べていなかったからか随分と早い撤収だ。

 最後に捨て台詞みたいなものを吐いていた気がするが、小声で聞き取れなかったな。


「まあ、買い物は出来たからいっか」


 手元には、欠陥だらけのライトニングソードが二個。

 お金の持ち逃げとかじゃなかっただけマシだが、これ普通の魔物にも効くのか? 実戦で使うにしても、まず試しで威力を見たいな。




 その後も観光という名の事前予習でフラフラとしていたが、さっきの露天より面白そうなものはなかった。

 明日も出してくれたら寄るんだけどな。


 今日はいろいろと買い物をしたせいで、手持ちの銀貨や銅貨が少なくなってきた。換金所に寄ってから帰るとするか。


 前に教えてもらった換金所へ向かっていると、建物の隙間に小道を発見した。

 換金所はこの建物の向こう側の通りにあるが、もしかしてショートカットできるんじゃない?

 普段なら危険度満載な道は回避するが、多少の冒険はしてみないとな!


 薄暗い中、ネズミやゴミ箱しかないような道を一人進んでいく。

 貴族とかなら、こういった通りに入った時点で襲われるんだろう。

 しかし、天井のないトンネルみたいなもので路地の出口は見えている。

 あの光の場所へ出たら、また別の世界でした……とかもあるかもな。


 そんな風に妄想しながら歩いていたが、とくに何事もなく出口まで来てしまった。こんな平和な街で、そう何かあってたまるものか。




「……ようやく抜けたか。換金所は……ん?」


 小道を抜けて、近道が出来たと思ったらそこは異世界でした。

 いや、元から異世界だったが、ここは何かおかしい。そう。


「どうしてみんな倒れているんだ?」


 同じ街のはずなのに、そこには人が歩いていない。

 目に見える人全員が……道端に倒れて眠っていた。


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