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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第二章 ヤシロ様の村
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依頼の組み立て式

改行が多いと感じましたので、以後少し詰めます。

 どうやらここにいる門番の二人には話が通っているらしい。

 二人とも一瞬だけメフィのほうへ視線を向けたが、さすがプロというべきか。

 驚いた素振りも見せずに何も反応しない。


 ……こいつら、本当に人間だろうな?


「……何か?」

「いえ、なんでもないです」


 ジッと見つめていたら、怪訝な目で見られてしまった。

 横に立てかけてあった重そうな武器を構える……ということはしなかったが、これ以上は不審者として認識されそうだ。


 そうだよな、別に知り合いでもないのに。

 ちゃんと話せるってことは、この門番も人間のようだ。


「ほら、ヨーヘイさんとメフィストさんのことは話してあるから、二人とも早く村長様のところへ行くよ!」

「わかった、わかったから引っ張るなって」

「ボクを見ても驚かないとは……君たち中々やるね」


 隣ではメフィが予想外だといった反応をしているが……ちゃんと村人にも伝わっているんだろうな?

 ほら見ろ、こっちを見ていた女性が一人腰を抜かしたぞ。


「メフィ、できれば村の中では歩けないか?」

「……そうだね。ボクのこの姿は、君たちには刺激が強すぎるみたいだ。ただ、歩く振りでもいいかな?」


 傍から見て、普通に見えるようなら問題はないだろう。

 歩く振りをするため、地面より少しだけ浮いているメフィを横目に見つつ……あれ?


「メフィって、意外とちっこいのな」

「んなっ!」


 いつも浮いているので気づかなかったか、どうやら俺の目線よりも下の身長しかないらしい。

 てっきり同じくらいの身長かと勝手に思っていたが、ただ浮いて誤魔化していただけか。


「こ、これでもボクは、今まで見た女性を参考に肉体を作っているんだ。一般的な女性が、マスターにとっては小さく思えるだけさ」

「ああ、すまんすまん。いつも浮いていたから意外でな」


 しかし、今までメフィが見てきた女性か……その女性たちの平均をとっているおかげで、メフィの身体はバランスが良いのか。


 あれ、ということはもしかして。


「じゃあ、その髪や瞳も、誰かの参考だったり?」

「……さっき聞いたことは忘れたほうが良い。さもないと、ボクはマスターの許可なしに記憶消去の魔法を行使するよ」

「っっ!! わかった。俺は何も聞いてない。オーケー」

「良し、マスターはいい子だね」


 誰しも触れてはいけない事はあるらしいな。

 しかし、メフィの過去か……名前も思い出せないみたいだが、その参考にした女性のことは思い出しているのだろうか。


 月明かりをうけて輝く銀髪も、吸い込まれるような真紅の瞳も、誰かの参考だとしたら。

 気になる……が、忘れると宣言した以上、下手には聞けないな。




 村に入って少し歩いたところに、その家は存在した。

 周りの家に比べると少しだけ大きいが、普通の家というには少し豪華な家。

 そんな場所が、村長様の住む家らしい。


「ここです。僕が戻ったことはまだ伝わってないと思いますが、きっと大丈夫ですよ」

「そういや、ここは何ていう村なんだ?」


 村を助けに来たけど、村の名前を知りません。というと、さすがの村長様も怒るかもしれない。

 ここは少しでも好感度を上げるため、村の名前くらいは教えてもらおう。


「ここは……そういえばまだでした。ようこそ、ツクモ村へ!」

「お世話になりました」

「あれ、ヨーヘイさんって来るの初めてですよね?」

「いや、なんとなくね」


 なんとなくパーツがたくさん売ってそうな村だ。

 もしかすると、パーツを組み上げて伝説の武器とかが完成したりな。

 いや、炊飯器が御神体だけど、まさかな。




 ノックの返事を待って扉を開けると、そこには感じのいい親父が立っていた。

 村長と聞いて、爺さんを想像していたが……まだまだ現役の冒険者といったナリをしている。

 似合わないエプロンをつけているところを見ると、料理中だったのかもしれないな。

 そういや、俺もお腹が減ってきた。


「おお、無事だったか! よく戻ってきたなリュー!」

「村長様! 今すぐ伝えたい情報があります! まず、レイナさんとラルフさんは無事ですか!」


 もし片方しかいないなら、暗殺獣アサシンビーストが擬態している可能性が高い。

 死体は見当たらなかったが、既に手遅れという最悪の状態も覚悟したほうが良さそうだ。


「それがな……二人とも無事だが、意識が戻らない。とくにレイナのほうは重体でな。お前たちが中々帰って来ないから様子を見に行かせたら、なんだあの惨状は」

「二人とも無事なんですね! 良かった……」

「いや、無事とは言いづらいがな。にしても、あの場所で一体何があったんだ? それに、そこの二人は誰だ?」


 さっきからチラチラと視線を受けていたが、感動の再会に水を差すような真似はしない。

 話も一段落ついたようだし、ここからは俺のターンか。


「俺はヨーヘイ、こいつはメフィストと言ってな。旅の者だが、そこにいるリューに依頼を受けた」

「この二人には、ヤシロ様の洞窟で出会ったんだ! これもヤシロ様の導きだよ!」

「おいリュー、ちょっと落ち着け。そもそも、旅の者はなんであんな場所にいたんだ? あの場所には、俺ら以外はほとんど近づかないはずだ」

「それには色々とありましてね……」


 俺はファントムドッグとの戦闘から、どういう経緯であの場所まで逃げたかをかいつまんで説明をする。

 村長も暗殺獣アサシンビーストという存在は初耳だったらしく、随分と疑ってくれたみたいだが……隣りにいたメフィが浮いたり、消えたり、村長の身体をすり抜けたりしたことにより、ようやく信じてくれたらしい。


 ……メフィのほうを見てガタガタ震えていたようだが、決して脅したわけではないということを説明しておく。




「さて、ではその獣がこのリューを含めた三人を襲ったとして、次はどんな行動に出ると思う?」

「そ、そりゃあ、姿を見られたくないなら、目撃者を消すか、もし手負いなら傷を癒やすとかか?」

「その消される対象がすぐそこにいます」

「ひっ、僕のことですかっ!」


 横にいたリューの方をポンポンと叩くと、彼はかわいそうなくらい怯えている。さて、ここから交渉といきましょうか……リューも今だけは、村長との交渉材料になってくれよ。


「そこで、私がその暗殺獣アサシンビーストを倒す代わりに貰いたいものがあります」

「チッ、取引きか……あいにくと俺もBランク冒険者なんでな。自分の実力より下の連中は要らねぇんだわ」


 なるほど、リューが言っていたBランク冒険者とは村長のことか。

 この村の長が村の最強戦士。格好いいじゃないの。


「戦ってもいないのに決めつけるのですか?」

「あんた、ランクは?」

「まだギルド登録もしていない初心者です」

「は?」

「初心者です」


 大事なことなので二回言いました。

 嘘はいけないからね、仕方ないね。


「帰れ! お前なんかに頼らずも、俺が撃退してやるわ!」

「まあまあ落ち着いて」

「うるせぇ! さっさと出て……うお! あっ、すみません。俺が悪かったですごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「全く、マスターも早く本題に入ってくれないかな?」


 危うくモノでも投げつけられそうだったが、そこはメフィが間に入ることで助けてくれた。

 村長の身体から上半身だけすり抜け、文字通りの間に。


 村長は、まるで見えない何かに謝るように謝罪を繰り返しているが、メフィのいる位置はそっちじゃないですよ。


「まあメフィのことはいいとして、暗殺獣アサシンビーストを倒した後の報酬って何かないですかね? 例えばギルドで討伐依頼が出てるとか」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ…………はっ、俺は何を?」


 こいつ、もう一回メフィに頼むか?

 俺がキレそうになっているのを察してか、リューが慌てて村長に何かを伝えてくれた。


「……すまんな、この村も決して裕福というわけじゃないんだ。報酬と呼ばれるようなものは出せない。ギルドでも、確認できていない魔物の討伐依頼なんかは出ていないだろう。せいぜい調査依頼だ」

「はぁ……そうですか」


 ということは、もし戦闘になると自腹ってことね。

 一応粘ってみるか。


「他には金か銀で出来たものとかも……ないですかね?」

「そういや銀製の食器やスプーンなんかはあったな……そんなものでいいのか?」


 俺では判断できないので、メフィに判断を求める。

 この世界にもスプーンとかあるのね。


「使われている銀が本物なら、何の問題もないさ」

「オーケー、じゃあそれを報酬として貰おう」

「……やけに安上がりになったな。いや、わかった。そのほうが俺も助かるし、あとでダメだって言うなよ」

「あともう一つお願いが」


 安上がりとか言われると、なんかこっちが損した気分になるじゃないか。

 まあいい、これも当初の予定に入っていたんだ。

 ついでに要求しておこう。


「あの御神体、中身を見ることって出来ます?」

「!! てめぇどうしてそれを!! あっ、いや……すみません」


 またうるさくなりそうな雰囲気だったので、今回は早めにメフィをけしかける。

 なぜだろう、この村はメフィというか、幽霊という存在を相当恐れている感じがする。

 いや、今はヤシロ様の御神体だ。


「実は、あれと似たような物を見たことがありましてね……見た目も書いてある文字もそっくりなんですよ」

「そ、そうだったのか……ちょっと待て、お前あの文字が読めるのか!」

「お、おう……あ、はい」


 ビビった。

 いきなりおっさんの顔がドアップになったので、思わず言葉が戻ってしまった。今ほど村長が女性だったら……と思ったことはない。


 おっさんは俺に少し待つように伝えると、部屋の奥で何やらガサゴソとしている。

 まさか、この世界では日本語を読める人は珍しいのか?

 同じ世界からきたリョウタが読めないんだ。勇者が全員読めないとなると、御神体を用意した人物は、俺と同じ方法でこちらへ来たのかもしれない。


 ……だとすると、渡されるのは元の世界に戻る手がかりか!


「じゃ、じゃあ……この冊子に書いてある文字が読めるか?」

「……………………読めます」


 そうして差し出されたのは、薄い紙の束。

 読める、読めるけどさ……炊飯器の取扱説明書とか、ものすごく反応に困るものを渡さないでくれ。


 このおっちゃん、もう暗殺獣アサシンビーストなんてどうでもいいんじゃないか?

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