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自称悪魔と付属品 ~魔力なしの異世界攻略法~  作者: ひのる
第二章 ヤシロ様の村
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ヤシロ様の正体?

 どうしてあんなものが?

 いや、蓋を開けてみたい。もしかしたら、何かアイテムが入っているかもしれない……まさか腐ったお米ではないよな?


「一応確認するが、触っちゃダメなの?」

「絶対にダメです!」

「……どうしても?」

「……村長様の許可が出れば、大丈夫だと思います」


 しかし、ヤシロ様の御神体というから興味本位だったが……まさかそう来るとはな。

 この蓋の中にヤシロ様でも封印されているのだろうか?


 蓋を開けると、中からホカホカのヤシロ様が……さすがにないか。


 ここで無理やり中身を見てもいいが、もしあれがパンドラの箱なら、責任は取り切れない。

 仮にも御神体だが、神様が出てくる可能性があれば、中から悪魔が出てくる可能性だってあるんだ。

 取り憑く悪魔は一人で十分に間に合っている。


 これはますます村へいく必要が出てきたな……ヤシロ様の正体というのは、一体何なのか。


「ちなみに、ヤシロ様は勇者と何か関係しているか?」

「勇者様とですか? わかりません……勇者様が僕の村に来ることすら珍しいので…………まさかヨーヘイさんはっ!」

「俺は勇者じゃないぞ」


 何か期待されてしまっていたが、俺も残念なことに勇者ではないんだ。

 魔王にまで挑んだ勇者に直接言われたんだ。

 間違えようのない事実だろう。


 しかしそうか。

 リョウタがこの日本語を読めないってことは、勇者たちも日本語を読めないんだろうな……この『炊飯』という文字も、俺しかわからないのか。


 なんというか、胸が熱くなるな。


「結局、ヤシロ様というのも謎だらけだな……」

「あの……村長様なら何か知っているかと」

「ああ、そうだった。村へ向かうぞ」

「そ、そうでした! 早く行かないと村の皆が!」

「それはいいから、村へ案内してくれ」


 俺らはまず、ここら辺に村があることすら知らなかったんだ。

 ……いや、メフィは知っていたかもしれないが、せっかく村人がいるんだ。

 ここは専門家に任せよう。


 それに、あの獣から逃げる際に、随分と道から外れてしまっていたから元の道がわからない。

 村にさえ着けば、少なくともローリアの街へ行く方向は教えてもらえるだろう……あわよくば地図が欲しいけどな。




 先頭を走るリューの魔法で、周囲を照らしつつ道の悪い森を走り抜ける。

 さすが村人というべきか、先導する子供は慣れたモノらしいが、俺にとってこの道を走るのはキツイ。


 何度か躓いたり転びそうになったが、その度にメフィがニヤニヤとした顔でこっちを見てくる。

 ……浮いている奴は楽でいいよな。


 これは意地でも転んでやるもんか!




 ……宣言も虚しく、二回ほど派手に転んだところで、ようやくリューが立ち止まってくれた。

 メフィに至ってはこちらを向かないが、肩が震えているところを見るに、笑いを我慢しているだけだろう。


「ヨーヘイさん……」

「その、俺だってな。こんな道だとは思ってなくて」

「ここです」

「着いたのか?」

「いえ……この場所で、僕たちは襲われたんです」


 そこには、森の一角だけ荒らされたような跡が残っていた。

 そこら中に枝が散らばっていたり、木が何本か折れているところを見ると、戦闘があったというのは疑いようがない。


 これは……斬り傷か。向こうの燃えたように見える跡は魔法か? 火事にでもなったらどうするつもりだったんだ。


「これは誰かが火の魔法を使った跡だね……安心しなよマスター、水魔法の使い手がいる限り火事にはならないよ」

「そ、そうか」


 こいつ、心を読みやがったな!

 自身が使えないからか、魔法という概念に未だ慣れないな。

 メフィもそれを見越して教えてくれたのかもしれない。


「おいリューよ。お前の言う仲間って、剣の使い手と、火と水魔法の使い手で合っているか?」

「いえ……レイナさんは当てはまらないですが、ラルフさんが剣も水の魔法も使えました……」

「あれ、火の魔法を使える人はいなかったのか?」

「え? あ、そうですね……僕以外では誰も……」


 そうなると、ここには火の魔法を使う第三者がいたわけか。

 いや、魔物か? それにしても、火の魔法か。


「念のために聞いておくが、リューは使っていないんだよな?」

「僕はあの獣を見てから、すぐに逃げてきましたので……戦闘があったということも、この光景を見て理解しました」

「わかった。とりあえず村へ向かうか」


 ふとメフィのほうを観察すると、どうやら向こうも引っかかる点があるらしい。

 まだこの段階では仮設でしか無いが、懸念材料は多い。


 とりあえず、今は村へと急ぐか。




 それから数十分は走っただろうか。

 あれからリューにスピードを落とすように頼んだが、いつの間にか最初のスピードに戻っていた。


 対する俺も、隣で浮いてる存在は完全に無視をし、何回転んでも躓いても、必死に小さな身体を追いかけていった。


 ……何回も吹き出すような声が聞こえたが気のせいだ。村の安否がかかっている時に、そんなこと気にしてられるか!


 そうこうしているうちに、ようやく森を抜けたらしい。

 ああ、平坦な道というのがこんなに歩きやすいなんて。何故だろう、涙が溢れてくる。

 つまんなくたっていいじゃない、だって平坦なんだもの。


「ヨーヘイさん! 僕の村まではあともう少しです! もうすぐ見えて……見えました! あの場所です!」

「はぁ……はぁ……ちょ、待って……」


 子供は元気一杯だな。

 村が見えてくれば、もう道案内を頼む必要はない。


 俺は先行するリューは放っておいて、その場で少し休憩をとる。


「さて、水は何処に仕舞ったかな……」

「なんだい、水ならボクが魔法でいくらでも」

「金を使わないならな!」


 全く、油断も隙もあったもんじゃない。

 しかし、今ならリューもいない。あの事を話すにはちょうどいいか。




「……あの場所で、メフィも気づいたか?」

「ああ、戦闘があった事に間違いはないが、あれは何者かが手を加えているようだね。どうやら、一筋縄ではいかないようだよ」

「やっぱりそうだよな……あの村に、そいつも潜んでいるのかな?」

「どちらにせよ、マスターはあの村に行くのだろう? 安心しなよ、このボクが付いている」

「……頼もしいな」


 一番の問題は、あの場所で火の魔法が使われたことだ。


 まず、リューは人間だ。

 これはメフィのお墨付きなので間違いないと思う。

 それに、泣きながら助けを求めてきた人間が、あの戦闘跡を見せておいて嘘をついているとは考えにくい。


 そして、あの暗殺獣アサシンビーストも火の魔法は使えない。

 リューには伝えていないが、メフィと共有している攻略本の情報だ。

 つまり、あの場所で起こった戦闘で火は使われていない。


 そして最後に。

 ラルフと言われるものが水魔法を使うなら、先程の燃えたような跡は何故……無理やり燃やしたような感じになっていたんだ?


 火を消すために水を掛けるならわかる。

 しかし、さっき見た燃え跡は、濡れている箇所に火をつけ、すぐに消火したような跡に見えた。

 元々濡れているので、ほとんど燃えずに意味のない行為だが……誰が? 何のために? 


 レイナとラルフという目撃者がいれば、意味のない行為だ。

 二人とも火の魔法は使えないのだから。


 もしそれでも、暗殺獣アサシンビーストが火を使うというアピールがしたいのなら……偽造したやつは、何を考えているんだ?





 どちらにせよ、ここまで来たんだ。あの村とは無関係なままサヨナラはできないだろう。

 色々と不安要素はあるが、いまは村の入口で待ってくれているリューの元へ、ゆっくりと歩いていくことにした。


「ヨーヘイさん! 早く来てください! お兄さんも村長に話があるんでしょ!」

「……ごめんなさい」


 遠くから聞こえた声に、先程と同じように走って村へ向かった。

疑問には軌道修正を入れました。

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