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家出魔王娘がダンジョン背負って嫁にきた ~勇者引退後は魔王の娘とダンジョン経営しよう~  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!


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二十二話 ダンジョン内地下三十階の南国リゾートで水着がきた


「うおおおおおお! 白い砂浜! 青い海! ダンジョンなのに!」



 冒険者のみんなが地下三十階の攻略に苦労しているということで、俺達はすぐに準備をし、ルシィズダンジョンへと潜り込んだ。


 このダンジョンは階層ごとにモンスターのレベルを分けている。五階は五レベルの冒険者向け、十階は十レベル冒険者向けって感じ。


 そして十階ごとにボスフロアがあり、十階は巨大スライム。


 正式名はアシッドスライムと言い、口から鉄をも溶かす酸を吐いてくる。三メートルは超える大きさの体はぶよぶよしていて打撃、斬撃、突き攻撃にはめっぽう強く、炎や氷、雷撃に弱い。


 近接職さんだけでは倒しにくいので、魔法使いさんと共に頑張って倒そう。



 俺達も普通に攻略をしていったのだが、俺のひらめきで巨大スライムはレオリング一人で頑張ってもらった。


 ああ、分かるだろうみんな。衣服を溶かす液を吐くスライムVS女騎士。


 このワードだけで男達は瞬時に全てを理解する。


 スライムの吐いた酸で、なぜか肌は無傷でレオリングの服だけが溶けるあれだ。あの映像が見たい……!


 と思ったのだが、レオリングがつまらなそうに二刀流の細身剣を舞うように一閃。一瞬で巨大スライムが蒸発するという、とても面白くない見せ場も盛り上がりもエロも無い結果となった。


 そういやこのスライムの適正レベルは十で、レオリングはレベル七十の騎士だったな。当然と言えば当然の結果だった。



 複雑なダンジョンの道順は、お椀に乗ったぬいぐるみサーチルが魔法で作り出した立体地図があるので最短距離で行ける。


 地下二十階。そこにいたボスはノーベルボアという巨大イノシシ。分かりやすく表現すると、ちょっとした象ぐらいの大きさのイノシシだろうか。


 基本、直線突進耐久型。特にこのイノシシを使ったレオリングのエロも期待出来なかったので、俺が魔剣で真っ二つ。


 エロが足りん……レオリングはもっと俺にサービスしてくれてもよくないか。胸ポロとか胸ポロとか。



 そしてついに地下三十階に到着。


 皆ここの攻略に苦戦し、まだ誰も突破していないとか。このダンジョンがある付近の冒険者さんのレベルは三十が上限ぐらい。なので予定通りの攻略進行度だろうか。


「ダンジョンの中なのに、ちょっとした南国リゾートじゃねぇかここ!」


 二十九階から階段を降りていき、地下三十階のフロアに入った途端に肌を覆う熱気と眩しい光。


 じりじりと熱くなった白い砂。そしてその先に広がる青い海。頭上には太陽みたいな魔法の光源があり、見上げると空は無く岩の壁に天井なのは残念だが普通に南国気分だぞ、ここ。


「はい~ここはフロア全て吹き抜けで湖に砂浜となっています~。モンスターはこの砂浜の奥にいるボスのみなので、入り口付近なら安全に楽しめると思いますよ~」


 サーチルが地図を見せてくれ説明してくれる。


 なるほど、ここはいいところだぞ。地下三十階のダンジョン内とは思えない風景。



「海なのだー! エスティとの新婚旅行は南国リゾートで激しい夜を、なのだー!」


 俺の腰にまとわりついていたちびっ子魔王娘、ルシィが目の前に広がる風景に我慢出来ず意味不明な言葉を発してダッシュ。


 着ていた服を次々と剥いでいったので驚いたが、服の下に水着をすでに装備していた。可愛いは可愛いが、まぁなんというかフリル満載の子供水着。


「海じゃなくて地下湖な。見た目は南国の海だけど。暑いな、俺も服脱ぐか」


 気温は三十度ぐらいあるだろうか。


 さすがにこの暑さでは服が体に張り付いてくる。一応海用のハーフパンツは持ってきているし着替えるか。


「う、うわっ……! お、おいクソ勇者! レディーの前で真っ裸になるな!」


 俺が何のためらいもなく裸になり水着に着替えたのだが、隣にいた毒舌女騎士レオリングが顔を真っ赤にさせて文句を言ってきた。


 なんだよ、男の着替えなんてこんなでいいだろう。レオリングがとっさに手で顔を覆ったが、指の隙間からじーっと俺のモノを見ている。


 お前俺とは付き合い長いんだし、結構な頻度で見てるだろ。そんな恥ずかしがらんでも。


「ふ、ふん。そんな貧相なものをよくも恥ずかし気もなく見せられるものだ。しかしよく私の前で裸になるが……も、もしかしてわざと私に見せつけて誘おうとしているのか!? だ、だだだったら見当違いも甚だしいぞ! お前ごときの裸で興奮する私ではない!」


 何に誘うんだよ。さっきからレオリングさんは何を一人で興奮なさっているのか。


 まぁレオリングは相当な美人さんだし、過去に彼氏の一人や十人はいそうだしなぁ。俺のなんて目じゃないゴッツイ男のモノなんて見慣れているんだろう。そういうのと比較されちゃあ敵わんな。


「別に男の裸を初めて見たわけじゃあないだろうに、何を興奮しているのやら……」


「お前以外の男の裸なんて見たことないし見たくもない! 私の身は潔白だ!」


 え? あれれ、レオリングさんその美貌で彼氏無しっすか。それはなんとももったいない。


 世間の男どもは何をやっているんだっ……て、パーティー組んでいるときも結構な頻度で金も地位もある男に誘われていたっけ。俺をチラチラ見ながら全部思いっきり断っていたけど。


 

「エスティー! 早く来るのだ! 水が冷たくて気持ちいいのだ!」


 レオリングとよく分からん揉め事になっていたら、湖のほうからルシィの元気な声が聞こえてきた。


「今行くー。あんま深いとこ行くなよ。ほらレオリングも行くぞ。この辺はモンスターいないみたいだし、ちょっとした旅行気分でも味わおうぜ。勇者パーティーは解散したんだ。メンバーだったみんなにはあまりこういうこと出来なかったけど、今俺の側にいてくれるレオリングには笑顔でいて欲しい。そう肩肘張らず、俺と普通の水遊びなどどうでしょうかお姫様」


 みんなが苦戦しているというボスは奥みたいだしそれは後として、せっかく南国みたいな場所なんだから楽しもうじゃないか。


 俺がすっと片膝をつき、どこぞの王子様がお姫様でも誘うようなポーズをとってみた。


「…………私は姫ではない、騎士の娘だ。そしてお前は勇者の器の男。もっと精神を鍛え、勇者として騎士の私を従えて欲しい。そうすれば私は喜んでこの身を差し出すつもりだ」


 興奮が収まったらしいレオリングが下を向きながらボソボソ喋る。え、なんて? 小さい声で言われても分からんって。


 恥ずかしそうに顔を赤らめ、レオリングが着ていた服をハラリと脱ぐ。


「うわっ……! ちょ待て! 裸はよせ……」


 俺が突然脱ぎだしたレオリングにマジで驚いて裏返った声を出してあたふたするが、当の彼女はしてやったり顔でニヤと笑う。


「はは、クソ勇者なお前でもそんなかわいい顔と声出すんだな。誰がこんなところで裸になるものか、水着を装備済みだ」


「おおおおお!」


 着ていた服を脱ぎ、その下から出てきたのはレオリング様の輝かんばかりの生の柔肌。さすがレオリング様! 出るとこ出てるぅぅ! いや、マジで胸でけぇな……お尻もいい……。


 ちょっと高級そうなビキニタイプの水着で、レオリングがここまで肌を露出するのは珍しいかな。ダンジョン三十階にある南国リゾートという、普通は無い環境に気が大きくなっているんだろうか。


「……他に誰もいないよな。お前以外の男が来たらすぐに服を着る」


 レオリングが不安そうに辺りを警戒するが、今は誰もいないな。


 レベル三十付近では敵が強くて攻略出来ないエリアってんだから、なかなか来る奴はいないだろ。


 俺以外の男が来たら服着るって言ってるし、よく分からんが少しでも長くレオリングの柔肌が見たいから男はここに来るなよ。



「おっそいのだー! 早く来るのだエスティ!」


 呼んでも来ない俺達にしびれを切らしたちびっ子ルシィが俺の腹に突撃してきた。ごっふ。


「わ、悪い、今行くって。ルシィの水着姿かわいいなぁ……ってあれ? サーチルも水着……?」


 腰にまとわりつくルシィの頭を撫でつつお椀に乗ったサーチルに目をやると、何やら違和感。


「うっひゃぁぁ~あんまり見ないで下さいエスティ様~恥ずかしいですぅ~」


 サーチルが恥ずかしそうに体をくねらせるが、よく見たらそのぬいぐるみの体の上に玩具の人形用のような水着を着ている。


「私も頑張って水着なんてものを着てしまいました~あ~もう顔が熱いです~」


 いや……その、普段素のぬいぐるみのままなのに、その上に水着を着て恥ずかしいってどういうこと。いつもより一枚多い状態なんじゃ。


 え、もしかして素のぬいぐるみの状態って裸扱いなの?


 ならそっちのほうが恥ずかしいのでは……。



 よく分からんが……深いんだな、ぬいぐるみ道ってのは。







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