十五話 ドロップアイテムの秘密と健全温泉がきた
「な、なぁサーチル。これって高級そうな物……宝石とかは作れるのか……な?」
俺は挙動不審で聞いてみる。それできたらボロ儲けじゃねーか。カフェなんぞやる必要もない。
「作れはしますがー、今みたく短時間で私が作った物は、形成を維持出来るのがこのダンジョン内限定になってしまいますー。このダンジョンの魔力で補って出来た物なので、ダンジョンを出てしまうと魔力補給が絶たれ消えてしまいますねー」
ち、上手くはいかねーか。
だけど、ダンジョン内だけでも使えるのなら時限アイテムとして販売出来そうだぞ。
「私の限界は今やった短時間でアイテム作成までですぅ、申し訳ないです。ですがダンジョン内のモンスターが長期間、そうですねーその物によりますが、小さな価値の物なら数ヶ月。大きな価値の物なら年単位でダンジョン内モンスターが持ち歩けば、上限百%の魔力が補給されそのアイテムは完成となり、外へ持ち出せるようになりますよー。数百年単位で魔力補給されたアイテムなんかは相当の価値と魔力を秘めた伝説級、ですかねー」
ほう。サーチルの能力は短時間でダンジョン内限定稼働アイテム作成、と。これだけでもすごい能力だが。
そしてダンジョン内のモンスターが持っているアイテムは上限まで魔力が補給されていれば、ダンジョン外に持ち出せるのか。しかし良いものは年単位……伝説級は数百年単位かい。
価値の高い物を短期間で作っては売り、は出来ないのか。残念。
「そして長い期間モンスターが持ち歩いたからといって、必ず魔力が上限まで補給されるわけではないんですよー。上手く補給出来ず、いつまでたっても魔力が貯まらず元の素材、例えば小石のまま、なんてことのほうが多いですねー」
ふむ、それはあれか。敵倒してアイテムドロップしたはいいが、低確率で宝石がドロップのはずがハズレアイテムの小石だった、ってことか。なるほどね、そういう仕組みだったのか。
「なるほど、理解した」
「ぬぅ……? 我はさっぱりなのだ……サーチルはいつも話が難しいのだー!」
俺がよくあるドロップシステムと照らし合わせ納得していると、隣のちびっ子魔王娘ルシィはサーチルの話が理解できずプンスカ怒っている。
ルシィの頭を優しく撫で、俺はさっきの時限アイテムのことを聞いてみる。
「短時間でサーチルが作った物はダンジョン内であれば使えるんだよな。じゃあ、外で買ったら高い物、手に入りにくい高価な物、武器とか防具とかアイテムとかをダンジョン内限定アイテムとして販売出来ないかな」
これなら、普通なら入手困難アイテムだったり、高価な武器をこのダンジョン内だけで使える物として売れるだろ。
そうすれば他のダンジョンでは自分の力が足りずに挑めなかった相手にも、限定アイテムを使えば勝てるからと、このダンジョンに何度も来てくれる。ようするに、リピーターの完成だ。
「ふむふむーなるほどー。ダンジョン外に出てしまうと消えてしまう、言わば不良品をダンジョン内限定使用アイテムとして売る、ですかぁ。さすがエスティ様ですー欠点を利点に変えてしまうその発想、短命な人間にしておくのは惜しいレベルですねぇ」
うへ、この辺はさすがモンスターな考えだな、サーチル。
そういうこった。人間ってのは非力で短命だからこそ、頭をフルに使うんだよ。
「よし、詳しいことは次回として、だ。カフェと商店スペースは完成したとして、お次は温泉施設に宿泊施設だな」
俺は地下一階のもう半分を指して言う。
やっぱ冒険のあとは風呂だろ。泊まれたら最高だし。
「了解しましたー、エスティ様。ではどういう物にしましょうかー」
温泉に宿泊施設は見に行っていないからな、こればっかりは絵と口頭で伝えるか。
「うむ、それはもちろん混浴露天風呂……」
「クソ勇者よ、健全。分かるな、言葉の意味が」
俺が意気揚々とサーチルにめくるめく女体の世界を伝えようとしたら、毒舌女、レオリングが自慢の二刀流の剣を首筋に当ててくる。うっへ、じ、冗談っすよ、レオリングさん。
「わ、分かった……男女別……男女、別……だ……」
俺がうなだれて言うとレオリングが満足そうに剣を引く。
「それでいい。健全で行くなら知り合いのシェフを呼んでやるそ。カフェには腕の立つ料理人が必要だろう? 私の知り合いにいいシェフがいるんだ」
おお、レオリングさん、協力してくれるんですか! ありがてぇ。なら健全で行こう。
エロ、だめ。




