ラブコメ
ここは王道学園。
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校だ…
その中でも、エリート中のエリートが選ばれる譽れある役職。それが、生徒会長と風紀委員長…なのだが
実は2人には本人自身も気づかない性質があった。
普段は大らかで兄貴肌の頼りになる風紀委員長は実は会長にだけツンデレだった。
「ふん!どんくせえな!普通自分の足に躓くか?これだから目ぇはなせねえんだよ!」
そして、そんな委員長にツンデレられている(?)相手が難儀な性質の持ち主だった。
「う、うっせ!俺が頼んだわけじゃねし!」
顔を赤くして上目遣いで委員長を睨むその人の手は…言葉とは裏腹に委員長のシャツをきゅっと掴んでいるし、自分の腰を支える委員長の逞しい腕を跳ね除ける様子もない。いや、それどころか、完全にしなだれかかってしまっている。
ヒロイン体質
とでもいうのだろうか?
普段はしっかり者なくせに何故か委員長がそばにいる時だけ、「うっかり」転びそうになったり、「うっかり」ボールを受け止め損ねたりする。
「うう…」
「おい、何で下を向く?どんくせえから足でも捻っちまったのかよ?」
結果、ツンデレに憎まれ口を叩かれながら甲斐甲斐しく助けられるというなんともめんどくさい状況に陥る。
「…会長…面白いぐらいの委員長ホイホイですよね」
「シッ!」
単体ならこの上なく素晴らしい会長と風紀委員長をいっしょにすると、何故かベタベタなアクシデントが連発するため、学園の生徒たちに愛情と諦めをこめてこう呼ばれていた。
ラブコメ会長と
ラッキースケベ委員長と…
「あ、やん!ちょ、どこ触ってんだよぉ」
「バ、バカなんつう声だしてんだ!俺はただ支えようとしただけで!やましい気持ちなんて、な、ないんだからな!」
…そのうちパンを咥えて走り出した会長が曲がり角で委員長にぶつかるなんてベタなシチュエーションが見られる日が来るかもしれない。
そんなことを考えながら今日も生温かい目で2人を見守る一般生徒たちであった。