「スキットシステムって知ってる?」
「知らないわ」
「ゲーム『テイルズ オブ』シリーズのシステムなんだ。」
「へぇー」
「キャラクター達の日常会話なんかをアイコンとセリフで演出してるんだよ」
「面白そうね」
「さあ、今回のテーマは?」
「テーマは?」
「『中間層を狙う』だ!」
「中間層?」
「フィルムコミックって知ってる?」
「知らなーい」
「アニメなどの静止画像を漫画のコマのように配置しセリフを入れてる作品だ」
「へえー」
「各メーカーから発売されて一定の人気があるんだよ」
「読んでみたいわ」
「それはアニメと漫画の中間層を狙った作品なんだ」
「なるほど、いいとこ取りなんだ」
「そう、文字の魅力と映像の魅力を足したんだね」
「ウインウインだね」
「それ死語だよ……」
「……」
「さあ本題だ、小説と漫画の中間層を狙ったのは何かわかるかい?」
「ライトノベルでしょ?」
「そうだね、絵のない小説に表紙と挿絵を追加したんだ」
「売れてるんでしょ?」
「どうだろうね、売れてる作品とそうでない作品を足すと黒字なのかな」
「中の人に聞いてみたいね」
「そろそろ気付いたかな?」
「何を?」
「スキットシステムを最初に説明したことにだよ」
「?」
「小説と漫画の中間がライトノベルだ、ならライトノベルと漫画の中間は?」
「あるの?」
「作ってもいいんじゃないかなって話しさ」
「絵を足したらライトノベルでしょ? 何を足すの?」
「スキットシステムさ」
「これを!」
「絵師さんに喜怒哀楽などの顔パターンを書いてもらってね」
「小説全部をこれで表現するの?」
「いやいや違うよ、あくまでスキット=寸劇さ」
「挿絵が効果的な一部分なのと同じで、会話部分をスキットにするのね」
「そう、緊張したシーンには不向きだからね」
「コミカルな場面に絞れば面白いかもね」
「そして、喜怒哀楽のパターンをラインスタンプとして売る!」
「金の匂い!」
「ただ、反発はあるだろうね」
「それよねー。ライトノベルの出始めも小説じゃないって叩かれたものね」
「テイルズでもスキットシステムを好む人とそうでない人に別れるからね」
「じゃあ危険じゃない」
「どうだろうね、やってみないことには」
「確かにね……。『小説を読もう』でも挿絵有無で検索できるものね」
「まあスキットがあるからって売れるとは思えないけどね」
「そうね! まずは面白くないとね!」