02『僕を守護する魂』
『僕を守護する魂』
私は遠藤です。
これは私の少年時代の話しです。
僕は小学生の時から不思議な体験をしまています。夏休み、僕は家族で田舎に出掛けてました。
田舎の家は山に囲まれた、ド田舎で近くには公園やコンビニすらなく、まだ緑の公衆電話がある所です。
僕は家にいても暇なので親が入ってはいけないと言われた山の入口の小さな【社】の近くで遊んでましたが、数日くらいして不思議な夢を観るようになりました。
あの【社】で凄く綺麗な
『黒い長髪の純白の着物を着た背の低い少女』
と遊んでいましたが、勿論、実際にはそんな【少女】に逢ったことはありません。遊びに夢中になり山に入ろうすると、その【少女】が
『そっちに行ったら危ないわよ。』
と呼び止め、そこで目が覚めます。その夢は何度も観ますが必ず山に入る前で注意されて目が覚めます。
田舎の家の周りは山に囲まれているので、夢に出た【少女】などいるはずがありません。僕は気になって、あの【社】に行ってみましたが、誰もいません。暫くすると辺りが急に真っ暗になり、家に帰ろうと暗い道を歩きますが、途中で道に迷ってしまった。
途方に暮れていると、突然僕の後ろから不気味な声が聞こえました。
『うおぅぉうおぅぉ~~~・・・』
と苦痛な低い声が辺りにこだまし、僕はゾッとなり背筋が凍りついた。
『ひぃっ!!』
その声は段々、僕に近づいてきてパニックになり、ただひたすら走りましたが、その声はどんどん近づいてきます。
『もう駄目だ!!』
と泣きながら走っていると、突然【少女】の声で
『そっちはダメッ!!』
僕は咄嗟に止まりました。すると目の前は断崖絶壁だったのです。そのまま走っていたら間違えなく崖に落ちてました。
それまで聞こえていた苦痛な低い声が消え、辺りが夕焼けに戻ってました。僕は無事、家に帰れました。その時、
『じぁね。遠藤くん』
と【少女】の声が聞こえたのを今でも覚えています。翌日、僕達は田舎を後にしました。(夢の中ではその【少女の姿】が観れましたが、現実では声しか聴いていません。)
結局、あの【少女】が誰なのか解りません。田舎の山は削られ、街が出来たそうです。あの【社】は街の中央に移されたそうです。
その後も僕は色々な不思議な体験をしてますが、その夏休みに体験した出来事は今も忘れていません。