16『最終話 世界の敗北』
[!!最期!!]
※愚かで無知な人間は、まったく気がつかなかったのである。
まもなく "自分の世界" が、終わりを迎えることに・・・な・・・る・・・。
『最期! 封印された世界』
どうも、こんにちは。
自分は所轄の刑事(警部補)ですが、自分が生きている間に、今回起きた出来事を伝えたい、と思います。
最初はそれが……奇妙で不可解な殺人事件から「ソレ」が始まりました。
1日目の朝 (1人目)
ある非常に古いアパートの一室で一人の若い成人男性の変死体が発見された。
その男性が住んでいたとされる、その部屋にある浴槽の中が血まみれで、首を切断された状態で、胴体(腹部)の上に頭が置いてあった。
警察は他殺・殺人事件として捜査している。
2日目の昼 (2人目)
今度は、古いアパートのすぐ近くにある、橋の下側で首を吊って死亡していた、若い成人女性が発見された。
遺書はなく、とても一人では死ぬことが困難なためか、警察は自殺・他殺の両面で捜査している。
3日目の夜 (3人目)
次に、古いアパートからかなり離れた、ある街の商店街の中華料理店の裏口にある、ごみ箱の近くで、胸部を刃物で刺されて流血して死亡していた、若い成人男性が発見された。
警察は他殺・殺人事件として捜査している。
4日目の昼 (4人目)
次は、古いアパートからさらに離れた、ある森林の中にある木の上側の枝に首を吊って死亡していた、若い成人女性が発見された。
遺書はなく、とても一人では死ぬことが困難なためか、警察は自殺・他殺の両面で捜査している。
5日目の朝 (5人目.6人目)
警察署の近くにある公園の公衆便所の男子用の個室の中で、首を切断されて頭が無い状態で、便器に座って血まみれで死亡していた、若い成人男性が発見されて、女子用の個室の中で、胸部を刃物で刺されて流血して死亡していた、若い成人女性が、男性の頭を持って便器に座っている状態で発見された。
警察は公衆便所で殺害された男女の関係や連続殺人事件の線で捜査している。
所轄の警察署の管轄内で短い期間に若い男女六人の人間が死亡しており、この一連の事件はそれぞれ関連があるのか、それとも別々の事件なのか、捜査を開始していた。
男女六人の共通点はまだ判明していないのだが、もしかして全て関係のある殺人事件ではないのか、と予想している。
何故なら、男女六人は死亡時には服を着ておらず、全裸の状態で発見されており、とても一人の犯行とは思えず、複数人の犯行だとも予想している。
しかし、警察の捜査は困難を極めており、完全に行き詰まっていて、犯人がまだ見つかっていない。
また、同時期に警察署の署長(男)も行方不明となり、不在となっていた。(7人目)
そして、月日が経ち……
ある日から世界そのものが、おかしくなり始めていた。
大空は突然、闇となり、さらに真紅の稲妻が走り、深紅の大雨が降り、その闇の上空の中から巨大な異形の物体が現れて、浮遊していた。
その異形は美しい女体型であり、全長が約50mぐらいで、髪は腰まで長く銀色で、眼は鋭くて冷たい金色で、肌は全裸で紫色であり、大きな黒い翼と大きな黒い尻尾を持ち、右手には大きな黒い杖を持っている化物である。
その化物は下を向いて、地上にいる人間の方に向かって、話しかけてきた。
『フフフ、我ガ名ハ、「悪魔の王」デアル! 長イ間、封印サレテイタガ、オ前タチ 人間ドモノオカゲデ、我ハ再ビ、復活スルコトガ、デキタゾ!!』
(どうやら、複数の人間を生け贄にして、復活したようだ。)
そう言うと、その「悪魔の王」と名乗る化物は、右手に持っていた、大きな黒い杖の先端を、人間がいる地上の方に向けた。
『ナラバ、オ前タチ 人間ニ礼ヲシナケレバ、イケナイナ!』
そう言うと、その化物が持つ、大きな黒い杖の先端が強く光り出して、轟音とともにまるで、世界的な核爆発のように爆発して、世界が消滅(封印)……
……する前に、自分の左手を引っ張る謎の手があり、その先には異次元の暗黒空間への穴が空いていた。
自分が気がつくと暗黒空間の中にいて、謎の手の正体である遠藤氏をはじめ、他にも何人かがいるようである。
(暗黒空間なのに、何故か周囲が見えている?)
自分が動揺・驚愕して、思わず言葉を発していた。
「こ、これは、一体? 何が起きているのだ? 自分は何故、ここに・・・?」
自分が混乱していると、遠藤氏が話しかけてきた。
『どうやら「悪魔の王」とやらが、復活して世界が消滅・・・封印されたようだな ここにいない者は世界と一緒に封印されてしまった これで私たちが帰る場所はもう無くなった。』
「そんなバカなっ!? こんな事がっ!? あり得ない!!」
『もう一度、人間が世界を取り戻すには、あの「悪魔の王」とやらを倒す以外にないようだな。』
「えっ!? あの、化物を倒す・・・ですか!?」
『残念ながら、それ以外に人間が生き残る手段は今のところないぞ!!』
「・・・・・・」
こうして、世界を賭けた人間と悪魔との永い戦いが、始まったのである。
━ 敗 ━
[!!終焉!!]
※その後のことは、語られていないようだ。
だから、人間と悪魔との世界戦の様子・勝敗も解らない。
そして、遠藤氏がこの戦いに関わったのかも、不明である。