12『復讐霊魂の怪 (前編) 』
『行方不明の遺言書』
どうもッス。こんにちは。
自分は今回の事件の関係者であり、今回の出来事をお話しするッス。
ある企業の財閥『┣┫グループコンツェルン』の二代目当主のお爺さんが突然、亡くなった。
死因は心筋梗塞か心不全によるものなのだが…正直よく解らない、それに伴い遺族や親族による【遺産相続】が行われたのだが、肝心の【遺言書】が見当たらないのだ。
この当主は【遺産相続】の為の【遺言書】を書かなかったのか、それとも何処かに隠しているのか、それか誰かに預けたのか、それは誰にもよく解らないのだ。
それで遺族や親族は、財閥の専属の弁護士B(男)に相談する事にした。
その専属の弁護士Bが言うには、ある人物に預けたと当主から聞いていたのだが、なんとその人物が当主の愛人という女性である事を知り、遺族や親族は驚きを隠せなかったのだ。
その愛人は、当主が病に倒れてからもずっとお世話をしており、当主の妻は既に他界している為、当主はその愛人を大変寵愛していた。
また遺族や親族が当主の事を見放しても、その愛人だけは懸命に看病していた、という事だ。
遺族や親族は、その愛人を探していて、なかなか見つからなかったのだが、専属の弁護士Bがその愛人が『U』という本名である事を突き止めて、そのUの住所を調べて訪ねてみると、驚愕の事実を知ったのだ。
Uは既に死亡していたのだが、死因は絞殺による殺人事件であったのだ。
それでも見つからない【遺言書】の為に、専属の弁護士Bが、その殺人事件の調査を試みたのだが、犯人の動機が解らずに、犯人自身も未だに見つかっていなかったのだ。
専属の弁護士Bは、遺族や親族には愛人のUが殺されていて、【遺言書】がまだ見つからなかった事を伝えたのだ。
そして、警察の捜査も当主の一族にまで及んできていて【遺産相続】どころではなかったのだ。
しかし、当然、当主の一族は誰も殺していないと主張していて、証拠も出てこないので捜査が少し難航したのだが、一人だけが事件当時のアリバイがない者がいたのである。
それが当主の長女の『S』であったのだ。
Sが事件当時には、Uと逢っていた事は目撃情報が多数あって、防犯カメラにも映っていた事で判っていた。
警察がSに任意で事情聴取をすると、素直に応じたのだ。
Sが言うには、Sがいち早く、Uが【遺言書】を持っている事を知り、取り返すつもりだったのだが、揉み合いになり勢い余って殺したと供述していて、その部屋には殺害証拠やSの指紋も検出されたので、警察は逮捕に踏み切ったのだ。
でも、肝心の【遺言書】は何処にも見つからなかった。
数日後、なんと今度はSの夫が死体で発見された。
死因は胸部刺殺の殺人事件だったのだ。
警察はこの殺人事件も捜査を開始したのだが、やはり思いのほか、難航していてどうにか、捜査員の地道な努力で、ある人物が浮上したのだ。
それがなんと、あの専属の弁護士Bなのだが、Sが警察に捕まった時には、既に行方不明になっていたのだ。
もしかしたら、実は【遺言書】は専属の弁護士Bが持っているのではないのか、と思い始めていた。
しかし、捜査員の懸命の努力の甲斐もなく、専属の弁護士Bは見つからずに、捜査はさらに難航していたのだ。
そして、【遺言書】は一体何処に消えたのか、という事である。
(続く)
現在は50歳となり、専門家の域にまで達していて、霊能力者としても有名である遠藤氏は、警視庁の警視長となり刑事部事務次官・官房審議官となっていた。