11『人は決して怨念には勝てない』
『激震! 正当防衛.VS.怨念』
どうもです。こんにちは。
僕は、ある所轄の警察署に勤務している警察官(巡査)です。
この間、奇妙で不思議な殺人事件が起きていて、予想より速いスピードでその殺人事件が解決したのを、思い出しています。
結局、犯人は署内にいた同僚の男性警察官(巡査)だったのですが、その殺人事件の真相は驚くべきモノでした。
殺人事件が発生したと同時に、僕がいた警察署の署内では怪奇現象や心霊現象などが次々と起きていました。
その怪奇現象や心霊現象に署員が頭を悩ませていて、捜査も思うように進展せずに、困っていたようでした。
そこで、ある刑事(警部補)が遠藤さんという、凄く偉い警察官僚(警視正)に相談しました。
何でも、その遠藤さんは心霊現象関係に、凄く精通しているそうです。
その怪奇現象や心霊現象が呪術によるものであり、呪術の標的である犯人(男性警察官)が見つかり逮捕されると、呪術の発動もピタリと止んで消えたのです。
取調室で容疑者である彼は、ぐったりとした様子で、真相を話していました。
呪術の標的であった彼自身も、相当な怪奇現象や心霊現象などが起きていて、耐えきれていなかったようです。
その彼が最初は被害者を殺すつもりはなかったのですが、何の面識もない被害者が突然、彼の前に現れて、彼を殺そうとしたので、反撃して揉み合っていく内に、弾みで殺してしまったという事です。
取調室で同席していた遠藤さんは黙って聴いていましたが、容疑者の彼と被害者との間で争った形跡もあり、目撃者も多数いる事や状況証拠も揃っていますので、【正当防衛】と言う事でまとめる事にしたのですが、最後に事件を担当する刑事が遠藤さんに、意見を求めてきました。
『ふむ、違うな、私の想像していた展開とは違うな。』
遠藤さんがこう言うと、さらに容疑者である男性警察官に、こう言ってきました。
『逆だろう?』
つまり、容疑者である男性警察官の方から被害者に会いに来たと言う事で、凶器もその男性警察官が用意した物だそうです。
殺意や殺害計画がしっかりしていて、遠藤さんは明確に事件の内容を、説明してくれました。
それを聞いた、容疑者の男性警察官は凄く驚いていました。
しかし、殺害動機までは解りませんでした。
さらにまた、遠藤さんが容疑者に、こう言いました。
『お金だろう?』
遠藤さんがこう言うと、容疑者の彼はまたしても驚いて、絶句していました。
つまり、容疑者の男性警察官は怨恨ではなく金品を強奪して殺した【強盗殺人事件】だったそうです。
今度は逆に、容疑者の方が遠藤さんに質問してきました。
「・・・何で判ったんだ?」
すると、遠藤さんが容疑者に、こう言いました。
『ふふふ、なに、お前の後ろの奴に教えてもらったのさ。』
「・・・?」
取調室にいた刑事たちには、何の事だか解りませんし、当然、何も視えませんでした。
「・・・っ!?」
しかし、容疑者は絶句して、彼は後ろを振り向いて見ましたが、当然、そこには誰もいませんし、そこには窓と壁しかありませんでした。
だが、容疑者は驚いたまま、立ち上がり椅子を倒して、立ち尽くしていました。
もしかしたら、容疑者にも視えていた、と僕は思いました。
結局、容疑者の男性警察官が真実を自供した為、【強盗殺人】で立件されたのですが、ただ、僕には一つ疑問がありまして、遠藤さんに何故、呪術が容疑者にかかったのか、と聞いてみましたところ、
『ああ、あれは彼にかけた訳ではないよ。 まぁ、おそらくは、他の者にかけたであろう呪術なのだが、殺されると発動する性質上、彼にかかったのだろうな。』
と答え、遠藤さんは警察署を後にしました。
僕は今までは、怪奇現象や心霊体験などを信じていませんでしたが、今回の事でその考えを少し改めました。
そして、その関連で困った事があれば、遠藤さんに相談しようと思いました。
『まぁ、何かあれば、いつでもきなよ。』
と言ってくれましたので。