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藤井先輩と私。  作者: 寿音
Ⅲ:白いベンチと梶瀬くん。
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本当にからかいがいがある先輩だわ。

でも、陽依に彼氏がいたってのは本当の話。


「陽依に彼氏いたんか……」

あからさまにテンションが下がってる。

その場にしゃがみこむ藤井先輩に私は天使の微笑み(閻魔の微笑ともいう)を向けた。

「まだ時間に余裕がありますから、聞きたいなら教えてあげますけど」

「聞く!!」

呆れるくらい本当に単純だわ。

この人が我が校でファンクラブができるほどのモテ男かと思うと世も末よ。

一番のイケメンはあいつなんだから……っとと、その話はまた今度。


「陽依は彼氏いない歴=年齢って思ってるみたいだけど」

「それってどういう…」

先輩は訳わかんないという表情。

ま、それもそうね。

この話は、陽依が知らない陽依の過去であり、一人の男の悲劇の物語。

「陽依が超鈍感なの知ってるわよね?」

「あぁ…」

「その餌食にあった男が一人、名前を梶瀬。クラスでも人気者でまぁまぁのイケメン」

爽やかな短髪黒髪で、いつもみんなに囲まれている人気者。

後輩から慕われていて、昼休みや放課後に女の子から呼び出しをくらっていたっぽかった。

梶瀬は、その告白をすべて断り、3年の冬休み前に陽依に告白した。

まぁ、陽依は前々からモテていた。

可愛いし、色白だし、細いし、小さいし!

梶瀬が惚れるのは無理ないわね。

ちなみに私、陽依大好き人間だから、陽依を傷つけるヤツは絶対に許さない主義。

地獄の果てまで追いかけて息の根が止まるまで追い詰めちゃうから私。


「そっそんな脅しはいいから、はよ続き話してくれへんか?」

あら、私言葉に出してたのね。

全然気づかなかったわ。

「ごめんなさいね藤井先輩」

「ところで、さっきからタメ口なんやけど…」

「あら?いけなかった?私尊敬できる人にしか敬語話さないの」

「はい。すいません」

「じゃ、続けるわよ」


中3の冬休み前日。

つまりクリスマス。

体育館で終業式があり、私たちは帰りの挨拶をするために教室に戻ろうとしていた。

3年の校舎へ続く渡り廊下を私と陽依は歩いていて、後ろから陽依を呼ぶ声がした。

「はっ…橋宮!」

クラスの人気者、梶瀬広樹(かじせ ひろき)が息を切らして立ってた。

直情的で熱い男だ。体育祭でリーダーつとめたり、スポーツ万能でなんでもできるところが素敵らしい。あたまはいまいち良くないってところには目をつむる女子の梶瀬フィルター恐るべし。


私はそーゆーのタイプじゃないけど、みんなあーゆーのが好きなのよね。

陽依は振り向き、梶瀬に駆け寄る。

2人が何を話してたか聞き取れなかったけど、だいたいはこんな感じ。


「今日放課後、話しがあるんだけど…教室で残っててくれないかな?」

「いいよ。ユカも一緒でいい?」

「だっダメ!!」

「なんで?」

「2人きりで話したいんだ!」

こんなセリフを吐かれたら、陽依以外の女子であれば、「もしかして告白?」って思うんじゃないかしら。

でも、相手は超鈍感の陽依。

告白まがいの言葉が通じるわけもなく。

「分かった。ユカ!放課後梶瀬くんとお話するから廊下で待っててね」

陽依は満面の笑みをこちらに向ける。

その後ろで、梶瀬はウインクを私にしていた。

まぁ、察しろってことだろう。


放課後、私は廊下にいた。

梶瀬のことあんまり好きじゃないからね。

言うことなんか聞いてやんない。


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