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どうしてそーなるの!?
陽依!!
梶瀬を応援してるわけじゃないけど、あんたの鈍感ぶりにほとほと私も呆れてきたよ。
イライラしながら二人の様子を見ると、梶瀬は思いつめた表情になってた。
おい…これは…ヤバいのでは?
眉間にしわが寄ったら、どんなイケメンでも怖い。
「か…梶瀬くん?」
「俺は………………てたのに………なんで…」
梶瀬はうつむいて、拳を握り締め何かをブツブツ呟いている。
「どうしたの?」
そばに行く陽依。ちょっとこれは危ない!
赤ずきんちゃんとオオカミの図だわ!
「俺は、ずっと………橋宮が!!」
私は、教室のなかに走った。
「きゃっ…」
陽依の小さな悲鳴が、私の心にこだまする。
梶瀬は、陽依の両肩をつかみ、自分に引き寄せ、あろうことか陽依の唇を奪おうとしたのだ。
私の陽依になにすんじゃオラー!!!
「やめて…梶瀬くん!」
「なんで!!俺を見てないんだよ…」
間に合え!
教室がすごく広く感じる。
梶瀬の唇が陽依の口にたどり着くまで、あと3秒。2秒。1秒。
「イヤー!」
「どけ!カス!」
タッチの差で、私の鉄拳の方が、梶瀬の顔にめり込むのが早かった。
見事にずっこける梶瀬。
「早く、陽依の前から消えて!梶瀬、引き際も肝心よ」
私がそう言い捨てると、梶瀬は黙って教室から出て行った。
「大丈夫?陽依」
「ふぇ……ユカぁ~」
それから小一時間、陽依は教室で泣いた。相当怖かったみたい。
「梶瀬君…怖かった」
泣きやんでから、陽依が最初に言った言葉。
「梶瀬君のあんな顔、見たことなかった」
震えながら、私の袖を握る陽依が愛くるしかったけど、ここはちゃんと言ってあげないといけない。
「それはあんたのせいでしょ?」
「なんで?」
ったくもう。
まだ分かってない。ま、いいか。
「そのうち分かるわ。っさ、帰ろ!」
「うん!」
それから、春休みを迎えて、高校に入学し、今に至るってわけ。
「これが、陽依の知らない陽依の過去についてよ」
ふと、隣を見ると藤井先輩はいなかった。
先に行ったのかなと思いきや、後ろを振り返ると、10メートル程先で固まっていた。
相当ショックだったのかな。
「せんぱーい」
しかたなく先輩の方へ走る私。
なんて優しいの私ったら!
「悲しいな、その話。なんか話聞いてたら、涙止まらんなりそうやったから、止まって必死にこらえてたんやけど…やっぱ…やっぱ…我慢できへん!」
ダーーーーーッ。顔面から洪水のように涙があふれ出している。
なんだこのキモイ先輩は!鼻水まで出てるし!
「切なくて切なくてたまらんわ。そういう話おれダメやねん」
アホだ。
こいつ真性のアホだ。
なに感動してるんだよ。
「先輩もその梶瀬みたくならないように気をつけてくださいねって言ってるんだけど私」
「ぬぉ!!」
大袈裟に驚く藤井先輩。
やっと私が言っている意味が分かったみたい。
「俺はそんな切ない思いしたくない…」
「そう思うなら、その涙と鼻水しまって!気持ち悪い」
「ひっどいなぁ」
そう言ってゴシゴシとシャツの袖で先輩は顔を拭いた。
「なんで、お前は応援してくれるんや?」
校門につくころに、先輩がポツリと言った。
「私応援なんてしてないわ」
「じゃあ、なんでアドバイス的なことしてくれんねん」
ふんッと鼻をならして、言ってやった。
「私の陽依を取れるもんならとってみなっていう宣戦布告よ」
可愛い可愛い陽依は、私が守ってあげなくちゃね。
陽依がこの人だって思った男にしか、任せられないから。
それまでは、私が陽依を野蛮な獣たちから守ってあげるの。
だから、好きな人ができたら必ず教えてよね。ねっ?陽依。




