魔術師
長期連載かもしれないし、数回で終わるかもしれない。
本当に、行き当たりばったりの小説です。
0.魔術師
ここにいるのは一人の魔術師
彼は火を出す鳩を出す。
鳩は消滅火は消える。
人差し指から水を出し
手中のコインはポケットへ。
青いトランプ懐より出し
華麗にシャッフル驚異のマジック。
斬った人間蘇り
魔術師美女と入れ替わる。
サッとマントを翻し
そこから出てくる白い虎。
虎は消滅魔術師は死ぬ。
放射能で観客も死ぬ。
核が落ちたこの土地で
動くものは何もなし。
あ、今二発目が落ちた。
暗転
1.500年後、日本
「えー、およそ500年前に起こった第三次世界大戦は、日本に核弾頭が落とされたことから始まり……」
とある高校の教室。
初老の教師が、たらたらと抑揚なく、教科書を読み上げていく。
生徒の大半は寝ていて、起きている者も、大体は近くの者と喋るか、外を見ている。
教師も、いつものことなのであろう、気にも留めていないようだ。
「その直後、世界のあらゆる核保有国が、次々に全ての核弾頭を発射したため、この戦争はわずか2時間で終結しました」
その中、一人の男子生徒だけが、まっすぐに教師の方を見ていた。
「日本にも2発の核弾頭が、それぞれ東京と大阪に落とされ、多くの人々が、爆発に巻き込まれたり、放射能に汚染されて、亡くなりました」
その生徒は、岡田という。
「わずかに生き残った人々の、心の支えになったのは、魔術師と呼ばれる人でした。
彼らは、放射能汚染に適応した者達で、様々な人知を超えた能力を身に着けていたといいます
彼らは、自分の能力を人々に披露し、楽しませたといいます」
「あと、忘れてはならないのは、伝達者の存在です。
彼らは、自分の勤めている企業の技術を、後世に伝えるために、自ら志願し、コールドスリープされました。
大戦後、わずか500年で、大戦以前と同等、もしくはそれよりも発展しているのは、彼らのおかげなのです」
教師は、黒板に『魔術師』『伝達者』と書いた。
岡田は、この時代に興味があった。
大戦後、つまり、核の恐怖が世界中を多い尽くした後、約250年は、暗黒時代と呼ばれ、文献や資料がほとんど残されていない。
そこに、彼はロマンを感じた。
今のところ、その時代には『魔術師』『伝達者』が居たということ以外、さっぱり分かっていない。
―行ってみたいなぁ……その時代に
岡田はそう思いつつ、眠りについた。