う:うしなわれていく……
早く救助を
早く救済を
今ならまだ助かる命がある
だから早く……!
あちこちで呻き声が聞こえる
何人 何十人居るんだろう
僕は動かせない体の中
自分の左足が変な角度に曲がってしまっている事に気付いている
痛みは強い
だけどそれ以上に
周りの人達の悲愴な声が
僕にそれを考える事を許さない
「……苦しい……」
「助けて……」
「いたあーい!!」
色々の阿鼻叫喚
僕のすぐ近くだろうか、すすり泣く若い女性の声が途切れ途切れに届く
「……い」
聞き取れない
聞こえる色んな声
「おも……い」
おも、い?
『重い』?
きっと彼女は崩れた瓦礫に押し潰されているんだ
――情けない
僕は男のくせに
すすり泣く彼女から瓦礫一つどけてあげられない
「痛いよぅ……」
幼い子供の呟き
「神様仏様お助け下さいどうか神様……」
口走る老人の祈り
どれもが責める様に僕を射る
早く救助を
皆が苦しんでる
ああ また一つ呻き声が消えた
何故 救助は来ない?
僕の痺れる足から
段々に感覚が失われていく
すすり泣く若い女性の声も もうしない
声よりも 不規則な呼吸の方が強く聞こえ出す
……頑張って
僕はせめてもに願う
大丈夫 救助は来る だから頑張って
誰に言うでもない
信じたい
ただ そう信じたい
……信じたいけど
――最後の声が 途絶えた
救助は来ない
足どころかもう今は
首から下の感覚がない位だ
今頃 僕は君の無事を心配している
君はどこにいるんだろう、
今何をしているんだろう、
無事な場所にいるんだろうか?
君は大丈夫なんだろうか?
苦しくないだろうか?
無事ならいいのに……
……おかしいね
こんな最期の瞬間 僕はきっと
真っ先に一番に君の顔を思い浮かべて
真っ先に一番に君の事だけを思い出して
ずっとその声に包まれていられるんだと思ってた
なのに最後迄 僕は……
――ごめんね もう
僕は 君の声も思い出せない
寒いんだ
ひどく寒い
さむい
さむい
さむい
さむい
さむい さむい さむい さむい
たすけて さむい
さむい さむい さむい さむい さむい さむい さむ




