表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/34

セレアとカレンと翔太 2

 慌てて手を振る翔太。

 「あっ、そうじゃなくて、その後、と、言うか、これから、と、言うか、その、、、。」

 なんて言うべきか考えながらも、理解してもらえた後の二人の答えが気になり、迷うままに踊る翔太を見て、

 「わかる?」

 セレアがカレンに、

 「流石に無理だぞ。」

 「ねぇ。」

 驚きと迷いと、、訳がわからない、と、二人で翔太を眺めてしまう。

 

 少しの時間。


 眺めていても仕方がない、と、セレアが意を決して、翔太に声を掛ける。

 「ショウタ、落ち着きなさい。」

 「あう。」

 「とりあえず深呼吸だ。」

 「うう。」

 セレアの声に気が付き、カレンに言われて深呼吸した翔太は、はっきりと二人を目に写した。

 「その、、、。」

 口調は弱気だったが。

 「二人とも、忙しいでしょ。だから、、、。その、、、。僕がいると、、、。」

 小さくなる声とともに、俯いていく翔太。

 「「あーー。」」

 「そこね。」

 「そこか。」

 セレアとカレン、同時に目線を合わせると、カレンが頷いた。

 セレアが、それに頷き、翔太を見る。

 「ショウタ、確認するけど、私、そんなに薄情に見える?」

 「えっ、えっ。それは絶対にないよ、そんな風には絶対に見えないよ。そんなこと、間違いなく思ってないから!」

 思い切り否定する。

 セレアは、間違いなく見惚れる微笑みを浮かべた。

 「なら、信用しなさいよ、ここまで来て、後は知らない、なんて私が言うわけないでしょう。」

 主に、セレアの笑みに、頭に血が上って危うくなる翔太だったが、何とか、言うべき一言の為に耐えた。

 「あっ、ありがとう。その、よろしくお願いします。」

 「どういたしまして、よろしく頼むわね。」


  ー ヒールが使える上に、精霊獣フェンリルのブラックを従魔にして、さらに、カレンまであっさり仲間にするような人材、手放せるわけないわ。 ー

 セレアは、自分もあっさり仲間になったことは、気が付いていない。


 「うん。」

 嬉しそうに笑う翔太と、上手く邪心を消して微笑むセレア、そこに、区切りがついたと見たカレンが入った。

 見入ってしまうほど整った、女性らしい顔に、力強さのスパイスがかかった笑みで、

 「言っておくけど、あたしもついて行くからな。鍛えると言った手前、一緒に行動しないと意味がないだろ。」

 カレンの笑顔に、押し落とされそうになりながら、耐えた翔太。

 「うっ、うん、ありがとう。えっと、よろしくお願いします。」

 「あぁ。任せとけ。よろしくだ。」


  ー すぐに死んじまったら、あの時、信用した勘が外れていたことになるし、何より、レベル1のショウタに頼っちまったことになるからな、そこは、プライドとして許せん、しっかり鍛えてやるぜ! ー

 ちょっと物騒な思いを、力強さに見せかけて笑うカレン。

 俯いて、押し落とされないように必死の翔太は、もちろん気が付いていない。



 時は戻って。


 ー でも、、、。いいのかな? ー

 少し離れ、横を歩いていく人達が、振り返り、二人を二度見していく様子を眺める。


 珍しくない程度に歩いていくエルフ達や、獣人達。

 エルフ達は普通に、男女に関係なく綺麗で、獣人達は、多少の見た目の差異により、目立っていた。

 エルフも獣人も、印象に残ることは間違いなく、その為に、存在を強力に認識できる。

 そしてセレアは、そのエルフ達の中においても、一際な存在なのは間違いなく、横に並んでいても、全く違和感がないカレンも、セレアと同じく、一際な存在なのは間違いなかった。


 翔太は、あらためて、二人が普通よりあきらかに抜き出た存在だと気が付き、疑問を感じていたのだ。

 もちろんそれは、二人を信用していないからではない。

 二人の信用度は、翔太の中では、以前に知っている人達を考えても、上位であることは間違いなかった。

 問題は、翔太自身の実力。

 戦うことは、当然できない。

 逃げるのも、難しく。

 歩くことでさえ、力のなさがわかる。

 知識は、もちろん、ない。

 そんな自分が、二人が思っている何かを持っているとは、到底思えなかった。

 当然、翔太は、以前の経験から、完全に無償のものは存在しないことを知っている。

 それだけに、なおさら、疑問に思えた。


 前を歩く二人を眺める翔太。

 簡単に答えは出ない。


 と。


 浮世離れにいたセレアとカレンが、翔太に目を向けた。

 「ショウタ、あれが冒険者ギルドよ。」

 セレアの声に、顎をしゃくって先を示すカレンに従い、前を見る。

 そこには、剣と盾を模した看板を掲げた、他の建物より二回りほど大きい建物がたっていた。

 「へえーー。あれがそうなんだ。何だか大きい建物だね。」

 「まぁ。組織としては大きいからな。」

 「とりあえず、ショウタはここで登録して、冒険者ってことになるわ。頑張ってね。」

 「うん。頑張るよ」

 「しっかり鍛えてやるからな。」

 「うん。よろしくね。」

  

 ー 今は、やるしかないから。 ー


 決意とともに、ギルドの扉をくぐる翔太。

 「大丈夫かな?」

 ぼそりと、本音が漏れた。

読んでいただき、ありがとうございます。


よければ評価をお願いします。


ここで、いったん完結にします。


ありがとうございました。


次回作を、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ