表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/34

王都へ 2

 セレアの名前を聞いたカレンが、大きな丸い目を、さらに、大きくした。

 「あんたが最近来た。それは、よろしくだな。でーー。」

 目線を、セレアの後ろに向かわせる。

 セレアも、カレンの目線を追って、後ろを振り向いた。

 何故か隠れる様子もなく、翔太が、呆然と立木の横に立っていた。



 翔太の知らない、女性の声が聞こえると、

 「ショウタは、待ってて。」

 影からセレアが出ていく。

 肩につかまっているブラックの頭を撫でる翔太。

 結局、好奇心に勝てず、影から少し、顔を出した。

 「えっ?」

 思わず、声がで出る。

 目をこすって、もう一度見ても、姿は変わらない。

 「えええっ?」

 そこで、影から飛び出て、セレアの向こうにいる彼女の姿をしっかりと確認。

 「耳が、、、。」

 呆然と立ちすくんだ。



 翔太を見たセレアは、少し、ばつの悪い顔をしたが、すぐに気を取り直して、声を上げた。

 「ショウタ、こっちに。」

 聞こえている様子がない。

 セレアは、首を傾げるも、いったん、カレンに目を向けた。

 カレンは、不思議そうに翔太を見ている。

 「悪いわね、変な子で、ちょっと呼んでくるから。」

 一言いうと、セレアは、翔太に向かって歩き出す。


 「ショウタ、どうしたの?」

 近くなったところで、声をかけると、翔太は気が付いたのか、目線がセレアに向き、動き出す。

 「あっ、セレア。」

 「どうしたの?」

 「彼女、耳が、、、。」

 「耳?」

 「猫耳があるんだけど、、、。」

 額に手を当て、セレアは、思いっ切り顔をしかめた。

 「、、、。ショウタ、もしかして、獣人を知らないの?」

 「獣人?」

 「あたしの耳、そんなに珍しいかい?」

 いつの間にか近くに来ていたカレン。

 セレアは気が付いていたのか、ため息をつき、慌ててカレンを見た翔太は、さらに驚いた。

 「しっ。尻尾が、、、!」

 「ショウタ!」

 混乱しかけていた翔太は、セレアの声に、少し取り戻す。

 「ショウタ。彼女は獣人なの、わかるわね。」

 まっすぐ目を見て話すセレアの言葉を、翔太は、少し落ち着いた頭で確認するように繰り返す。

 「獣人、ね。、、、。わっ、わかった。獣人、彼女は、あの獣人なんだね。」

 前の世界ではないことを思い出し、異世界を再認識する翔太。

 「あの、が、気になるけど、理解できたならいいわ。」

 ほっと、肩を落とすセレア。

 「うん。」

 翔太は、小さく頷いた。

 「えーっと。落ち着いたみたいだし、いいか?」

 翔太とセレアが、カレンに目を向けると、彼女は、にっこりと、特上の笑みを浮かべた。

 「あたしは、カレン ストレア。見ての通り、獣人だ。カレンでいいよ、よろしくな。」

 「あっ、はい。翔太 北原です。翔太でいいです。驚いてごめんなさい。」

 頷くカレン。

 続いて、翔太を眺めながら、顎に手を当てた。

 「それにしても、その歳で、あたしみたいな獣人を見たことがないなんて、かなり珍しいねぇ。」

 「えっと、、。ごめんなさい。」

 「いや、まぁ、いいんだけどさ。」

 「悪いわね。ショウタは、ちょっと記憶が混乱しているみたいで、私が会った時も、、、。」

 セレアの目がショウタをとらえ、細くなった。

 「どうした?」

 話が途切れたセレアに、カレンが声をかける。

 「?」

 翔太は、セレアの目線に首を傾げた。

 「、、、。ショウタ、私の耳、どう思う?」

 セレアが、突然、自分の耳を指さす。

 「えっ?と、その、尖がってて珍しいと思うけど、、、その、セレアには似合ってると思う、、よ、、。」

 真剣な目のセレアに、翔太は、思っていたことを素直に答え、カレンは、黙っていることにした。

 「それは、ありがとう。他に思うことはない?」

 笑って見せるも、セレアの目は、真剣なまま。

 翔太は、必死に他を考えた。

 「ほか?にって、言われても、、。わからないよ。」

 目に、諦めの色がうつり、セレアは、大きく息を吐いた。

 「私、エルフなんだけど、、、。」

 「エルフ?」

 「そう、この耳は、エルフの証なんだけど、、わからない?」

 「エルフ?、、、。もしかして、あのエルフ?ええ!!」

 飛び上がるように驚く翔太。

 「エルフ!セレア、あのエルフなんだね!ごめん、ぜんぜん気が付かなかった。その、、!」

 「はいはい。わかったならいいから。」

 騒ぎ出した翔太を、諦め顔でなだめるセレア。

 「ごめんね。」

 「いいわ。私も全く気かつかなかったわ。」

 お互いに、落ち着いたところで、カレンが、セレアの腕を引いた。

 「セレア、ちょっといいか?」

 「えっ?いいけど、なに?」

 カレンは、セレアをひいて、翔太から離れると、彼に背を向けた。

 「ショウタだけど、大丈夫か、あの歳でエルフも獣人も見たことがないなんて、おかしいぞ。」

 セレアの耳元で呟くカレン。

 「そうね。私もそう思うわ。どうも、記憶が混乱しているみたいなの。」

 「そうは、言ってもなー。」

 ちらりと、カレンが翔太を見ると、彼は、ブラックを抱きなおして、頭を撫でている。

 「見た感じは、そんな風じゃないけどな。それこそ、異世界から来ましたから知りません、の方がしっくりくるぞ。」

 そこで、カレンが目線をセレアに戻すと、彼女は、明後日の方を向いてる。

 「セレア?」

 「ん、と、なに?」

 頭にランプが灯ったカレン。

 「もしかして、ショウタは、転生者?」

 正直に、セレアの肩が跳ねた。

読んでいただき、ありがとうございます。


よければ評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ