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運ゲー野郎のモブ転生――ダンジョン連合vs運営政府  作者: ひとしずくの鯨
最終部 そこが地獄の一丁目な件
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59番地 レイド2

 雷神の次は風神の出番とばかりに、風が吹き始める。今回、風神・雷神に乗る第23人格A・Bは、特殊アビリティ『バーサーク(凶戦士化)』を封印し、サポーターに徹することになった。理由は2つある。1つは、バーサーカー(凶戦士)となっては、他の者たち――分岐体相互を除く――と意思疎通が図れなくなること。もう1つには、凶戦士化してもなお、阿修羅王と巨大白猫より最終攻撃力が劣るからであった。


 その巨大白猫(=運営使者)を囲むが如くに浮かぶ滅塵めつじん7種は揺れることさえないが、その各々に結わえられた札はあおられ、やがては暴れ狂う如くになる。


 その札もまた竜の脱皮に包まれておった。『運ゲー野郎』の召喚師がくれたものだった。何でも、そこのマスターのかつていた世界にあるもので、「お守り」とのこと。


「これで貴方も運ゲー野郎の仲間入りです。これには女神様のクリティカル・アップの祈りがたっぷり込められていますから」とはそのマスターである道夫の弁。


 このお守りを武器に結び付けるなり、身にまとうなりして、全員が帯びておった。阿修羅王は同行しておったゆえに、直接にもらい受け、他の者たちは、巨大白猫が渡したのだった。




 そして、地獄巡りのダンジョン・マスターの間で敵を出迎える者たちも同様であった。その1体である鉄チンが配ったのであった。


 こちらは無風ながら、逆鱗状態のマスターの放つ雷気らいきに感応してか、そのお守りはプルプルと気刻みに震える。


 その震えが身に伝わるのを感じる。恐怖心が強まる中で、鉄チンは何とかマスターの足元に留まり続ける。マスターが共に戦うを許したのは股肱ここうの臣にして神将たる雷公、そして己とピヨ丸と屁コキ野郎。


 マスターには最前、「及ぶべくもないとはいえ、雷公様に次ぐ活躍をなしたく想います。想う存分、私をぶん投げてください」と告げたとはいえ。他2体の並びを見るにつけ、戦力で当てにされておるというよりは、何からの心のよりどころとなればと想われておるのだろうとは、察する。


「よう、おめおめと殺されに来たな」


 静謐せいひつとの印象を与えるほどにマスターの声量は抑制されておったが、にもかかわらず、そのあふれる怒気は、部屋を揺らし始めるほどであった。

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