44番地 運営政府7
運営政府の内部資料。
題目:世界の誕生
1.我々は我々の世界が1本のゲームから派生して誕生したことを知っている。
2.そして、我々の世界が未だそのゲームに従属していることを知っている。
3.何らかの方法により、この従属から脱し、真なる独立を勝ち得るのではないか。そう考えること、と同時にそれを求めることは当然であり、決して非合理ではない。
補足:1と2の知は「始源の知」といわれる。この「始源の知」については、2通りの説がある。
ひとつには、これを非経験的な知とみなす考え方である。つまり、何らの経験も必要とすることなく、会得しうる知である。種族知――「我ら種族に始源のときより伝わる知」と言っても良い。
もうひとつは、「種族の外にいる他者」によりもたらされた知という考え方。この他者(ときに始源とも、ときに導者とも呼ばれる)が何者かというのも、また複数の説がある。
(作者注:種族知とは、アリやハチが持っている知を想像していただければ、分かりやすいと想う。女王バチは誰に教わることもなく、巣造りをし、またその子供である働きバチなどとともに、分業社会を形成する)