第8話 我が意を得たり
女神様のおっぱいがプニュプニュ。でも、触らせてくれるなんて、俺たち、いつの間に大人の関係になったのかな。「俺たち。結婚しよう」身をあずけ、すやすやと寝息を立てている女神様に俺はそうささやく。
夢の中でこその、そんな幸せな夢物語にうつつをぬかしていた俺は、不意の大声に飛び起きることになる。その声の主は既に扉を開け、槍を構えていた。慌てた俺は、急ぎ立ち上がるが、その弾みで三助をはね上げてしまう。どうやら、俺の胸の上で、あのまま寝ていたらしい。声の主は一瞬、三助に目を奪われるも、躊躇なく俺の胸を槍で貫いた。
死して後の復活のあと。毎度の如くクジを引く。今回は防御力1%向上。あれ以来、アビリティの獲得はない。もしかして、ウルトラ・レアなんて勘弁してくれよ。
女神様が隣室の扉を閉める音がしたあとに、ようやく顔を上げる。変な夢を見たせいで、妙に意識してしまい、クジの間もずっと顔を上げれなかったのだ。
ただ、その後もそれにひたっていた訳ではない。別の興奮が俺を突き動かしていたからだ。俺は少し離れたところにいた三助のところに急ぎ向かう。
「そういうことか? お前を投げろということか?」
見上げる三助は、我が意を得たりとの顔をした。気のせいかもしれぬが、きっとそうだ。
俺はすぐに臨戦態勢が取れるように、扉の正面にイスを持って来て、そこに座り、三助を左手に持って、敵を待つ。こんなときに限って、敵が来ねえ。
体感、一時間くらい待ったか? この世界には時計がねえ。いや、あるのかもしれねえが、少なくとも、この部屋にはなかった。これまでは必要と想うこともなかった。おそらく俺って丸一日、無事に過ごしたことってねえよな・・・・・・という、日々だったから。眠くなったら、そのまま寝て、そして食事は女神様のお世話になりっぱなし。やはり、朝、昼、晩と殺されずに食べた記憶はない。今度、女神様に聞いてみよう。単に俺が言い出さないから、無いだけかもしれない。
そんな物思いの中、ついに上方で音がする。俺は三助を持つ左手がジワリ汗ばむのを感じつつ、立ち上がる。扉が開く。同時に三助を投げ上げる。やはり、敵は一瞬目で追うが、丁度、手頃とばかりに、三助をたたき落とし、俺を斬った。
復活のあと。なぜ、失敗したのかの反省。どうも、投げ上げるだけではダメらしい。敵の視界を覆うように投げる必要がありそうだ。ただ、次の試みも失敗に帰した。敵はしゃがんで三助をかわすや、横ざまに剣をふるい俺を処した。
復活のあと。再び反省。三助を投げる速度が遅すぎたのだ。ゆえに、敵は余裕をもって対応した。
俺は今度は利き腕である右腕に三助を持ち、敵が現れるのと同時に想いっきり顔面へ向けてオーバースローで投げつける。次の瞬間、三助の体が広がった。より広く敵の視界を覆うためであろう。三助。お前も進化中なんだな。その三助の意気に応えるためにも、右手の硬化を念じつつ敵の左胸――心臓の位置へぶち込む。
敵は剣を振り上げるも、それで精一杯で、三助はぺたりとばかり、その顔面にへばりつく。俺の右腕は鋭利な刃物になった訳ではないので、貫けはしなかったが、十分な打撃を与えたらしく、敵は膝から崩れ落ちる。やがて、跡形もなく、その姿は消失した。
「ようやくだな」
俺はこちらを振り仰いだ戦友に向かい、そう告げた。そこには、やはり我が意を得たりとの顔があった。