表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運ゲー野郎のモブ転生――ダンジョン連合vs運営政府  作者: ひとしずくの鯨
最終部 そこが地獄の一丁目な件
68/129

28番地 運営政府5

 不動明王の沈思は、先の会議の後の第4人格との会話にさかのぼる。そのぱっちりお目目の顔を想い出すと、ついつい笑みを浮かべたくなる御仁ごじんとの語らいへと。


 第23人格の中でも、そのAたる己はかの御仁になついており、その慕い方は師事と言い換えても良いほどの敬意を伴っておった。先の会議も、第12人格の専横を恐れた己が、頼み込んで出席してもらったのであった。


「会議にて、第3人格が空位のままであることには理由があるとの仰せでした。それはどのようなものでございますか?」


「見た目通りよ。実質、あの者は第3人格の位階のままということよ」


「少し分かりにくく想いますが」


「あの者の力が減じられたり奪われたりはしておらぬということ。本当にあの者が母上にうとんじられておるのなら、母海ぼかいに再び戻されよう。そうでなくとも、力は奪われるはず。そうならぬということは、そのことそのものに大きな意味があるということ。母上にとってね」


「それは、果たして、どのようなものなのです?」


「第3位のほかに空位があることは知っていよう」


「はい。第1位です」


「なぜ、そうなっておると想う」


「はあ。我などには見当もつきませぬ。それに値する者が未だ現れてはおらぬということでしょうか?」


「繰り返すが、これはあくまで推測じゃぞ。その位階は母上ご自身のためと想うのじゃ」


「はあ。まあ、確かに母上は我らより上。ならば、当然とは想いますが、それだと、なぜ、今もって空位なのでしょう」


「母上は未だ母海の中におられる。それゆえであろうと、わしはにらんでおる」


「ならば、母上自身が析出する意図があると」


「ふむ。これはわしと第3人格の共通認識でもある。恐らく、母上は何事かをなすために、自ら析出するお考えであると」


「はあ。なかなか想像しがたいことですが」


「まあ、そうじゃろうな。まさに前代未聞。かつて一度もなされなかったことであるからな。そして皮肉にもわしや第3人格が消されずに済んでおるのは、それが理由と想われるのだ」


「どういうことです」


「わしらは析出=個体化することにより特殊な力を得る。そなたのバーサーカーの如くに。ただ、母上自身に限っては、その析出の際、この個体化に難があるのではないかと。つまり母海という集合意識のまま個体化するのは難事であり、それをなすためには、その集合意識のある程度を先に析出しておく必要があるのではと。まさに、それが我々にほかならぬと、そう考えておるのだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ