14番地 運営政府2
運営政府の内部資料。
題目:我々の起源について。
我々の起源は暗闇の内に留まる。それは我々が修復子から進化・知性化して来たからであり、修復子の段階では、何事であれ、曖昧模糊としたものに留まらざるを得ない。ただ、だからといって、修復子は軽侮して良い存在ではない。むしろ、祝福された喜ばしき存在であると言って良い。
何せ、彼らの食餌行為によってのみ、この世界の基底をなすところのもの
――経糸と横糸からなる織物
――簡潔に言うならば、X軸とY軸よりなる格子縞平面
――が修復されるのであるから。彼らがおらねば、この世界は保ちえぬ。
論を我々の起源に戻そう。暗闇に留まるとはいえ、仮説はある。格子縞平面はそもそも自動修復機構を備えており、それが何かの拍子に生物――我々の幼生たる修復子――となったというものである。
無論、ここでも我らは戸惑うことになる。生命の起源とは、との大問題を前にして。今の我らの世界を見る限り、生命というのは生命からしか生まれぬようにも見える。それとも、先の仮説の如く、ひょんな拍子に非生物が生命となるなどということがあるのだろうか。(後略)