11番地 ピヨ丸VS屁コキ野郎(ギャグ回)
(注:ただのギャグ回です。メインストーリーには関係ないので、読まなくても不都合は無いです)
拙者はピヨ丸。今日こそはと覚悟を決めた。相手はあの憎き屁コキ野郎。一度ならず、その屁爆発に吹き飛ばされた。しかも、己だけならまだ良かったが。血はつながってはおらぬが、姉上と呼ばせていただいておる(実際はピヨとしか言えてない)敬愛する鉄チン様までも巻き込まれておる。それも、拙者が姉上を温めたい、ただただ、その想いで吐いた炎。それを発火元とする、まさに邪悪なる行い。
竜身を長く伸ばしてくつろいでいる『地獄巡り』のマスター。その肩あたりが相手の定位置。幸いにして、姉上はおられぬ。もし、おられたら、止められたであろう優しき姉上。
拙者は翼をはばたかせ、相手のおるところまで舞い上がる。早速、拙者の動きに気付いたらしく、尻をこちらに向ける。いつでも、屁をこけるということか。やはり、油断ならぬ。
拙者が間合いを詰め、炎を吐こうとすると、ププと短く屁を連続的にこく。ゆえに、あわてて距離を取り、にらみ合う。
拙者ははばたきにより位置を変えつつ、隙をうかがう。敵もさるもの。必ずこちらにケツを向ける。ここは我が一族に伝わる門外不出の必殺技――『木の葉舞い降りる月影』を用いるしかあるまい。我はかなり上、天井近くまで舞い上がると、そこからまさに無風下で木の葉が舞い降りる如く、しばしば急に角度を変えつつ降りる。ゆるりと近づいては屁をこかれる。その暇を与えず、間合いを詰めねば。
相手から見れば、拙者がどのタイミングでどの角度から攻撃して来るか分からぬ。怠りなく、ケツを正対させんとしておるが、必ず隙は生じるはず。そして、こちらに意識を集中しすぎたゆえか、マスターの竜髯に足をひっかけてしまい、相手はバランスを崩す。
「覚悟」
拙者は叫び、双翼を閉じ、急降下する。屁をこかれる前に至るべく。そして、目の前に近づくはケツ。しかも、このまま突っ込んでは、ケツの穴に拙者のくちばしが。その恐怖に耐えかね、想わず翼を開き急停止する。
無念。拙者の覚悟のほどの浅はかなことよ。まだまだ修行が足りぬ。拙者は地へと降りる。そして見上げては、想う。あの者の何と高きにおることか。