6番地 4番目のダンジョン
おいら(三助)を乗せた地走り君は、そのまま手近なダンジョンに逃げ込んだ。いつもなら、ダンジョンの外に留まる彼だが、今ばかりは、そうも言ってられないらしい。
出迎えてくれたのは、パタパタと宙を飛ぶスライムだった。おいらは一目見て、ついつい見惚れてしまった。白銀の体の両側に純白の双翼。初恋の人の面影があった。そう。蓮華様である。
ただ、彼女はもう道夫に譲ったのだから。おいらも新しい恋を探すべきときだ。道夫はおいらが蓮華様のファーストキスの相手だとは知らない。おいらと蓮華様の間の秘密だ。三助は新たな恋の予感に抱かれて……待っていた。
なかなか、マスターのところに着かないな。三助は部屋の大きさや内装が次々に変化して行くのを見ておった。そう、様々な部屋を高速で移っておった。
双翼スライムいわく、
「これは、マスターのアビリティで、一歩も歩かずに、入り口からマスターのところへと連れて行ってくれるものです。ただ一つだけ欠点がありまして、その間にどれだけの部屋を経由しなければならないかは、定まっておりません。なので、運が悪いと長らく待たされることになります」
歩いた方が早いんじゃないかと想うも、その芽生えた恋心が、それを口に出すのを邪魔していた。そう。彼女の機嫌をそこねたくなかったのだ。