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運ゲー野郎のモブ転生――ダンジョン連合vs運営政府  作者: ひとしずくの鯨
最終部 そこが地獄の一丁目な件
45/129

5番地 地獄巡り

 鉄チンはダンジョン『地獄巡り』に戻って来ると、早速、マスターに報告した。


「召喚師様の死の件、言われた通り、各々のマスターに報告して来ました。ただ、両人ともあまり納得しておらぬ様子でした」


「そうか。残念だ」


 そう答えるマスターの肩の上には、『屁コキ野郎』が。今も、そのケツをできるだけマスターの鼻に近づけようと、モソモソしておる。マスターいわく、こやつの屁は、かぐわしき香りとのこと。我の心の癒しとなるとまでおっしゃる。


 鉄チン自身、マスターのちょうを得ているとの自覚はあるが、その寵を争うライバルがこやつというのは、どうにも気に入らない。


 もしかして、マスターが私を気に入っているのは、私の言語能力ではなく、今なお残る――そんなことはあり得ぬと信じるが――臭いのおかげなのか。蓮華様をして私を臭いと言わしめた運営使者との事件。ああ、想い出したくもない。そんな妄想に駆られ、ついつい自らの体をいでしまうのは、せつなくも悲しい。


 そして、こやつの屁が漂い降りて来て、私の体を温めるために吐かれたピヨ丸の炎により点火され、見事爆発。しばしば私をして気を失わせることも、また気に入らない。


 プウとの音が上から聞こえ、爆発の被害に遭わぬために、多少、マスターの足元から離れた後、


「『運ゲー野郎』のマスターから質問がありました。マスターはご自身でそれを目の当たりにしたのかとの」


「見たといえば見たし、見ていないといえば見ていない」


 私は正直、何、言ってんだか、分かんねえぞと想ったが、そんなことを口に出せるはずもない。しかし、どうやら、顔には出ておったらしく、


「悪い悪い。分かりにくかったな。実はレベル0モンスターの中に、目で見たものをそのまま記録できる者がおってのう。その者を介して見たのだ」


「そういうことでしたか」


「今は『運ゲー野郎』か『無勝堂』のどちらかにおるはずだ。名を『双眼そうがん 鏡子きょうこという。悪いが戻って二人に見てもらってくれ。その方が万言を費やすより、私の警告に耳を傾けるべきとの証となろうから』


 やはり、私はすぐに顔に出る質らしい。


「もちろん、十分、休んでからで良い」

 との言葉がその後に上から降って来た。

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