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第36話 更に別のダンジョン2

 今度は、女神様が「どうしても行く。私が行く」と主張しだした。「レベル0のモンスターたちが心配なの」とのことだった。


「でも、向こうの召喚師が亡くなったと決まった訳ではないだろう」


「生きていたら、おせっかいなことはせず――挨拶ぐらいはするけど――戻って来る。心配いらないわ」


 なら、どうぞ、とはなり得ようがない。危険すぎるとして、俺はなお反対する。ただ、やはり彼女はかたくなであった。結局、折れるのは俺か。そう想うも、必要な策は講じることにする。


 まず、俺のダンジョン所属の岩兵衛いわべえ生暖簾なまのれんの呼び戻し、加えて、おむすび三兄弟を連れて行く許可を得るために、無勝堂へ三助を赴かせた。


 なぜか、三助は無勝堂のマスターお勧めということで鉄チンも連れて来た。


 鉄チンいわく「私の方から『無勝堂』と『運ゲー野郎』の間に協力体制ができていることを説明します。そして、これに貴方あなたも加わりませんかとお誘いします。

 道夫様が唱えるダンジョン連合。蓮華様が話してくださいました。素晴らしいと想いますわ。私のマスターも召喚師様も、そしてもちろん私も大賛成です。そのためには、一肌ひとはだ二肌ふたはだも脱ぎたく想います。

 そして向こうが許せば、私はしばらく向こうのダンジョンに留まりたく想います。人質代わりにはなりましょうし、連絡係ともなれるかもしれません。召喚師様たちと違って、あらゆる言語という訳ではありませんが、いくつかの言語は操れます。私のアビリティですわ。その中に向こうのマスターの言語も入っているやもしれませぬ」


 その才女振りを披露する鉄チンであるが、その頭の上には、『ピヨ丸』が。


「それは?」と尋ねると、


「あら。言いませんでしたか。私は冷え性ですと」


 留まる気まんまんだな。まあ、鉄チンなら少なくとも自分の身は守れそうだ。


 俺はダンジョン最強の鎌次郎を連れて行くよう何度も勧めたが、女神様は争いに行く訳ではありませんと、断固として拒み続けた。代わりにミーたんを連れて行くという。そうか。ミーたんなら、相手の魔法攻撃を無効化できる。女神様の方が俺より冷静かも。


 出発のとき、ショルダーバッグよろしく、ミーたんをその住まいもろともに肩から下げた女神様。その腕の中には「屁こき野郎」(見た目、白い子猫)が。そいつは早速女神様の鼻づらにケツを押し付けようとしてか、腕の中であがいておったが。がっちり抑えられている。女神様ってこんな力あったんだ。


 俺は何でとは聞かなかった。何となく分かる。屁の恨みは恐ろしいな。そして女神様は俺が考えるよりずっとずっと冷静なのかもしれない。


 光の帯とともに女神様たちが向かったのを見送ったあと。俺はまんじりともせずに待つ。




 やがて、がやがやとの大騒ぎが聞こえ、そのしばらくあとに女神様が向こうのモンスターをたくさん連れて来た。そしてとても嬉しそうだ。


 俺も嬉しい。その前に、まずはホッとしたというのが正直なところだが。そのせいか、涙があふれて止まらなくなったけど。


 鉄チンは自ら望んで向こうに留まり、屁コキ野郎は女神様の望みで向こうに置いて来られたそうだ。屁コキ野郎よ、ご武運を祈る、俺はただ心の中で念じた。

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