第37話 お遊戯6
(視点はタナトスです)
己も光柱に入ったが、ブロッコリー君は配置につかない。
「ダンジョン蓋よ。始めてくれ」
「ブッブー」
しばし待つも、始まる気配がない。どうやら、ブロッコリー君が並ばないと、始まらないらしい。
「何でもかんでも、ブッブーで伝わると想うなよ」
愚痴をこぼしつつ、ブロッコリー君たちの方に向かう。少し離れたところで、何をやっておるのか車座となっておる、いや、座ってねえな、こいつらは小さいんだった。
「どうした。始めようぜ。あんたらは6体なんだ。有利なんだぜ」
ブロッコリー君Ⅰいわく、
「丁度良い。こいつが来た。中天の審判者たるダンジョン蓋が証人となる。加えて、かたわらの敵対者たるこいつも証人となる。おまいら、第7戦に向けた想いを挙げてゆけ」
(まったく俺までこいつ呼ばわりかよ)
ブロッコリー君Ⅱいわく、
「私たちはこれまで平等を重んじて来ました。誰か1体のみ勝ち残る。そんなゲームは否です」
(何が『ひ』だ。可愛らしく『ぴ』ぐらいにしておけよ)
ブロッコリー君Ⅲいわく、
「1、2、3、4、5、6。はい。敵さん。次は何?」
「子供でも分かる問題だろ。本当に俺に聞いてるのか?」
「そう。あなた。はい。次は何?」
「7」
「そう。僕も7人目が欲しいのだ」
ブロッコリー君Ⅳいわく、
「双六の目は全部で6。6体のままでは丁度当てはまってしまいます。不可逆過程を進めるべき我らにおいて、これは好ましくありません。我らが7体となれば、1体余ります。これで、可逆過程へ引き戻される可能性を減らせましょう。着実さこそ、肝要です」
(正直、何を言っておるか、分からん)
ブロッコリー君Ⅴいわく、
「これまで6つの門を抜けてまいりました。しかし、未だ終着地へと到達しておりません。もし、7番目の門があると知らなければ、ここで引き返したとしても責められることはないでしょう。しかしながら、私たちは既に知っておるのです」
ブロッコリー君Ⅵいわく、
「僕たちには7個目のピースが必要なのです。なぜなら、僕たちというジグソーパズルは7個で完成するのですから」
ブロッコリー君Ⅰが再び口を開く、
「おまいら。ありがとう。皆の考えをまとめるならば、『我らは7体となるにおいて、初めて完成し、真理へと至る』とならん」
各々が賛意を示すなか、
「ダンジョン蓋よ。我らの総意として、第7戦を棄権する」
「ブッブー。棄権を認めます」
「えっ。棄権ってなに? 早くゲームしようよ」
ヒュプノスはあきらめきれないのか、一人、粘っている。
「ヒュプノス。もうやらなくていいんだ。俺たちの勝ちだ」
「なに。それ。全然、楽しくないんだけど。なら、タナトスと1対1で勝負だ」
「はいはい」仕方なく、俺は光柱の1本に入る。
「よーい。どん」
ヒュプノスはそう宣言し、かつ歌い始める。俺とヒュプノスはイスの周りをぐるぐる回る。
歌が止まった瞬間に回るのを止め、イスを奪い合うことになるのだが。自分で歌っている以上、ヒュプノスが圧倒的に有利である。ただ、それに文句を言う気もない。そもそも勝ちはヒュプノスに譲る気であった。
歌が止まる。ちょうど、ヒュプノスがイスの前に来たときであった。はいはい、お前の勝ちだよ。椅子に駆け寄るのが見えた。ただ、どうしたことか、座らない。こちらをうかがい、にんまりしている。
(おお。そうかそうか。可愛いやつだ。最後の勝利は俺に譲ってくれるのか。お前は双六で大活躍したからな)
座ろうとした瞬間、ヒュプノスの尻でイスから押し出され、床に尻もちをつく。
「おいおい。勘弁してくれよ」
「ブッブー。ヒュプノスがイスを取りました。女王軍の勝利です」
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