第36話 お遊戯5
(視点はタナトスです)
ダンジョンが消失し、現れたのはまっさらの床の上にイスが1脚。
「ブッブー。ダンジョン蓋だよ」
どこから声がと想い見回すも、見当たらぬ。
「さあさあ。お待ちかね。第7戦は『イス取りゲーム』だよ。たった一つのイスを巡って両チームが激しく争う。楽しみだね」
声を追って、上空にこの者の姿を見出す。月に代わって、中天から青白き光を放っておった。大きめの口が歯をむきだして笑っておる。
(確かにお月様はまん丸だがね。こいつに上から見下ろされるっていうのは、あんまり気分いいもんじゃねえな)
先ほどまでかたわらにおった旧第3は姿を消しておった。ここまで来れば、助っ人を待たずに始めるのはバカだろう。そう想い、イスの方を見て、「やれやれ」と独り言つ。
イスから少し離れたところに、同心円状に8本の光柱が床より伸びておった。どうやら、そこが各々のスタート地点らしいのだが、ヒュプノスのみ既にそこで待機しておった。
「まったく」
ブロッコリー君たちも俺もいないなら始まらぬだろうと考え、俺は光柱に向かわないで待つ。すると、旧第3が戻って来た。その足元には見覚えのある姿が。先祖形態たる幼生であった。修復子とも呼ばれる。
確かに俺たちにはただの修復子でさえ縁深かりしといえようが、ただ次戦で役に立つとは想えぬ。こいつが修復するのは地表データであってイスではない。そもそも、こいつの体形からしてイスに座れねえだろう。とすると、
「女王よ。気付いているか。旧第3の足元」
「ああ。我のために呼んでくれたようだ」
「あんたら、いつから、そんな仲良しになったんだ」
「旧第3は我の最後のアビリティを知っておる。それゆえであろう」
それを知りたきゃ、勝てよという話だったな。今回は助太刀は期待できねえ。とすると、俺たちのみ。なるほど。あのヒュプノスのやる気も悪くねえということか。




