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第6話 遊園地1
はるか先に光球が見えた。
箱列車が進み行くにつれて、徐々に形がはっきりする。
「ねえ。見て見て。タナトス。きっと遊園地だよ」
暗黒の虚空を背景にして白磁色の有翼の姿が浮かび上がっておった。弟が言うように、大観覧車らしきものが見える。ついつい、弟の姿を見ると、笑顔が浮かぶタナトスであったが、それを悟られたくないのか、ことさらにぶっきらぼうに言う。
「女王様よう。あれも、あんたの能力なのかい」
「ヒュプノスの願望が反映しておるのだろう」
「そういうものなのかい?」
「我もすべてが分かる訳ではない」
「なぜ、俺の願望は反映されない」
「分からぬ」
「役に立たねえな」
「何ぞ、願うておるのか?」
「何にも」
「だからであろう。おそらくは『ヒュプノスの願望』と『我の権限の能力』それに、『相手の何がしか』が合わさって、ああ見えてるのだろう」
「何がしかって、何?」
「分からぬから何がしかなのだよ」
「相手って?」
「これは我の期待交じりであるが、恐らくは、我らの世界をゲームに縛り付けておるものよ」




