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第18話 地走り
地走り(海亀サイズの巨大ゴキブリ)は、ちょうど頭のところにちょこなんと三助を乗せて疾走する。吹き飛ぶように後方に流れ去る景色を見て、三助はときどき歓声をあげる。地走りにも、そのわくわく気分は伝わって来て、心地よさに満たされる。
ただ彼に見えているものは、三助に見えているもの――土や草、岩や木の世界――ではなく、湾曲した面であった。そして、その面上には、縦(Y)軸と横(X)軸よりなる格子模様が縫い付けられた如くにあった。ずっと向こうに、その湾曲面が深く沈み込んでおるところがあった。そこが、まず最初の目的地であった。
彼は言葉をしゃべることができず、それはとても残念であった。ただ、三助の言っていることは理解でした。召喚師様の言っていることも、ダンジョン・マスターの言葉も。それは己に知性があるということであり、そのことは、溢れる喜びの源であると、実感できた。