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第27話 6番目のダンジョン6

「女神様。落ち着いてよ。地走りは普段、こんなことはしないだろう」


 女神様の怒り方が尋常じゃなかったので、俺(道夫)は急いで地走りとの間に割って入る。


「じゃあ、なんで、こんなひどいことを」


 その怒りはなかなかしずまりそうにない。


「あのヒモを見て。ほら。天井。派手なヒモが見えるだろう」


「ヒモならタコタコーのときに気付いたわ。道夫が付けたのだと想ったけど」


「俺じゃないよ。そもそも届かないだろう」


「私のハシゴを勝手に使ったのかと」


「とにかく俺じゃないよ。でね。あれに触れるとまずいんじゃないかと。それで、そうしようとしたあべこべコウモリを防ごうとして、こうなってしまったんじゃないかな。ほら。地走りは喋れないけど、相手がマスターか召喚師だったら、その言葉は理解できるからさ。きっと、何か、聞いて来たんだよ」


「でも、道夫が付けてないとしたら、誰が?」


「隠し通路が通じたせいなんじゃないかと想う」


「何で、隠し通路が関係あるの?」


「なんとなく、そうかなとは想っていたんだけど。隠し通路には、本来の通路としての役割にくわえて、もう1つ別の効果があるようなんだ。連結すると、マスターのアビリティを他のダンジョンに及ぼすという」


「なんで、今頃、気付くの?」


「いや、『無勝堂』のマスターのアビリティであるカウンター。俺も使えるようになるかなと待っているんだけど、未だに使えないから。それに『存在の空処』のマスターのアビリティが何か、まだ聞いてないけど、どうも及んでいないみたいだし。自信がなかったんだけど。

 ただ、『ペロペロ』のランダム配置と『地獄巡り』の属性効果アップは確かにここにも及んでいる。そして、あのヒモも新しいダンジョンのマスターのアビリティと考えると、隠し通路開通のタイミングとぴったり。なので、少し自信がついたんだ」


「でも、隠し通路のおかげというと、道夫が偉いみたいじゃない。だけど、これって、あの前の運営使者様からのもらい物よね?」


「そうだけど。一応、他のダンジョンへ通じさせたというのは、俺が初というか、俺の発明というか。なんで、この使い方については、あの方も褒めてくれたよ」


「ふーん。私の未来のダンナ様も少しは偉いんだ」


 俺は気が遠くなった。


「どうしたの。震えているわ」


 俺を殺す気かい。俺がどんだけ女神様を好きって知って、言っているのかい。


「いや、ダンナ様って」


「以前、教えたよね。召喚師とマスターは夫婦になるって」


「いや、それとこれとは話が違う。いや、違わない。何、言ってるんだ。俺」


「まあ、いいわ。道夫のいう通りかどうかは、三助が帰って来れば、分かることね」


「そう。それを待っていようよ。あべこべコウモリは大丈夫。こいつは見た目以上に頑丈だから。ときどき、自分で失敗して落ちたりしてるし。俺が面倒見てるから、部屋に戻ってて」


 女神様が戻ったあと、背後の地走りの背中――羽は既にたたまれておった――を撫でてやる。


「すごいな。お前。飛べるんだな。言うのが遅くなったが、使者の任、ご苦労だった。お前は地上で休んでいていいよ。ここは俺が見張っているし、三助が戻れば、女神様の怒りも解けるさ」


 地走りは上層へ通じる扉に向かう。その後ろ姿を見送りつつ。


 運営政府から女王がどうのこうのとは聞いておった。一方で彼らは女王を倒したと言い、他方で地走りが実は女王なのだと。ただ、その様子を見るに、これまでと何かが変わったとも想えなかった。俺が気付けないだけかもしれないが。どちらにしろ、三助とは名コンビであり、使者の任を続けて欲しい。


 そういえば、運営政府は護衛すると言って、お猿さんをつけていたが、どうしたんだろう?


 そのお猿さん。ダンジョンを見つけては、「サンスケー」、「ジバシリー」と入口から大声で呼びかける。ただ、いずれのダンジョンも危ない奴が来た、関わるなとして、応じることはなかった。


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