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第15話 対策

 最後に猫はもったいぶって金クジを残して行った。あの壺から引く奴である。それを一本、手渡しでという訳である。


(指名ダンジョンなんてふざけるなよ)


 そのいきどおりに包まれ、受け取らぬ俺をみかねて、女神様が一度平伏してから、一歩進み、うやうやしく受け取る。


「わしの仕事はこれで終わりじゃ。さらばじゃ」


 そう言い残すや、その図体に似合わぬ速さで走り去る。ただ、猫が残して行ったアビリティはそこそこ役にたちそうなものだった。その話はそれを活用するときにするとして。




 俺は一つ想いきった手を打った。他のダンジョンへの使者を送り出すことにしたのである。前々から、その考えは己の中にあった。情報が必要と感じていたからである。いくらやりこんだゲームとはいえ、簡単にクリアできたダンジョンや倒せた敵はあまり憶えておらぬ。しかし、今、己の周りにいるのは弱いモンスターばかりであった。どうやれば、彼らが強くなるのか皆目、分からぬ。基本、試行錯誤でやるとしても、そのヒントくらいは正直欲しい。特に指名ダンジョンとなった今では、なおさらであった。


 使者を託したのは三助である。その理由は、彼が話せるアビリティを獲得したから。といって、人間の言葉ではない。キッキッと猿の如くに話す。ただ女神様はそれを理解でき、そして他のダンジョンの召喚師も理解できるはずという。




「やっぱりさびしいわね」と隣で共に見送った女神様。


 ダンジョンの周りは荒れ地から清流うるおす山裾やますそへと変わっておった。もっとも俺はそれでノドをうるおすこともできぬ。ヒモでつながれた番犬同然はここでも変わらなかった。


 三助の姿はもう見えぬ。彼が乗る『地走り』は、その二つ名に違わぬ快速振りである。俺がなぜその二つ名をつけたかというと、彼女が最初『ゴキ夫』と名付けたからである。彼女の名付けはいつも安易である。なので、そこまで悪意はないのかもしれない。「どうして、俺の下の字と同じにしたの?」 ちなみに俺の名は道夫。彼女いわく「だって、その方が親近感が湧くでしょう」そう、ゴキ夫は海亀サイズの巨大ゴキブリだったのである。

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