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第21話 6番目のダンジョン2

 すべては魅入られた如くであった。


 まず、最初の犠牲者は明らかに三助であった。その意味では、すべての始まりは、天井から吊るされた1本のヒモであった。なぜか、あれに必死で飛びつかんとしておった三助。その魅入られぶりは、振り返ってみれば、狂気じみていたとさえ想える。


 そして、使者としての務めを果たすうちに――つまり、相手との謁見をなすうちに――いつも通り、ダンジョン連合について説明し、それに加わるよういざない、最終的には隠し通路の連結を求めるうちに――三助は完全に相手の掌中に落ちた。


 そして、やはり、案外すんなりと認められた。


 そののちのこと。三助は召喚師様の膝の上に、ちょこなんと座っておった。その体をなでられながら。そしてその頭には召喚師様とおそろいの茶色の耳を付けておった。


 そして己は強烈な不安の出現におびえておった。これのきっかけは、明らかに三助の変化であったが。ただ、より根本的な原因は、あの運営政府との決戦当日に己の中に入り込んで来た何者かであった。この者は執拗に語りかけて来ておった。ただ、己の精神が安定しておれば、恐れるに足らない。その安定を支えてくれるものが、三助との絆――信頼関係であった。


 しかし、三助がああなってしまっては。そして、何者かの声は着実に大きくなっておった。それを抑えるには、もう1つの絆のあるじたる道夫の存在が不可欠であった。戻りたい――そう切に願う己に、帰還が許されたならば――隠し通路開通の許可を伝えるという正式な使者の任務として――ためらう理由はない。


 三助から、はめあい手形をもらい受けたのち、そこを出る。他者の声に追われ、ひたすらに逃げ続け、己はダンジョン『運ゲー野郎』に帰って来た。


 そして、道夫が隠し通路を開通してのちのこと。ダンジョン・マスターの間にて、天井から1本のヒモがぶらさがっておった。


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