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第9話 鉄チン1

 これより少し前のこと。


 鉄チン(鉄スライム)は運ゲー野郎のモンスターの1体『焼けぼっくり』を背に乗せ、もう1体『ミイラ蛇』には後ろをついて来させる格好で、地獄巡りへと導いた。そこのマスターより依頼のあった将来の神将候補としてである。


 無勝堂のピヨ丸については、復活したばかりなのでしばらくは休ませたいと、そこの召喚師様が反対されたので、連れてくることはできませんでしたと伝えると、

「おお、我の妻もそうじゃった。召喚師とはそういうものよ。元気でピンピンしておるのに、ついつい過剰に心配してしまう。生まれるのと復活は違うのだが。ただ、召喚師ばかりはそれを経験できぬので、分からぬのだろう。それに、母心というものが加われば、なおさらという奴じゃ」


 それから、運ゲー野郎の2体との顔合わせ。果たして、この者たちが、神将のような存在になりえるのか、正直、疑問ではあったが。


 ただ、マスターは上機嫌に2体を出迎えた。マスターが巨体であるということもあってか、焼けぼっくりを手に取る様は、今にもそれを食べようとしているとしか見えず、ミイラ蛇のじゃれ合いにかまっておる様は、蛇を包帯でグルグル巻きにして遊んでいるとしか見えなかったが。


「ご苦労であった。これから、この者たちは我と共に戦う。そうであれば、我の勝利は無駄にならぬ。この者たちはそれを糧に成長して行こうからのう。そして、それこそ、我の余生の楽しみにほかならぬ」


(そうか。そのための依頼であったのですね。ようやく仇を討ち果たし、その後、己が何をなすべきかを自問し、結論を得られたのですね。また、そうして過ごすならば、雷公を失った悲しみも徐々に癒えて行こうとのお考えなのでしょう)


 とは頭では分かる。ただ、涙がにじみ出て来る。己の本音は異なる。戦いなど止めて欲しい。マスターを失いたくないのだ。その喪失に己が耐えられるか、自信が無かった。ただ、そのまるでひ孫と遊んでおる如き楽し気な姿を見せられては、それを口に出すことはできなかった。

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