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運ゲー野郎のモブ転生――ダンジョン連合vs運営政府  作者: ひとしずくの鯨
最終部 そこが地獄の一丁目な件
120/129

80番地 エピローグ2

 鉄チン(鉄スライム)はスヤスヤ眠るマスターの竜顔を見て、己もようやくほっと一息つく。それから、竜の脱皮をまとったままなのに気付き、脱いだ。


 マスターは戦いで疲れ切ったというのもあるが、泣きはらした結果でもあった。ミノタウロスと陽炎かげろうが残り2体をあっさり倒し――敵は3体そろってこそのあの強さだったと想われる――これで、ようやく完全に仇を討ったとして泣き、そして股肱ここうの神将たる雷公が戻らぬと知り、更に泣きぬれたのだった。


 鉄チンが懸念した通り、召喚師様が亡くなると、そのダンジョンのモンスターは復活しなくなる。マスターにそのことを確認すると、

「我らの復活は、召喚師に与えられた吉祥にほかならぬ。召喚師が亡くなれば、それが失われるのも必定。この世界から喜ばしきものが奪われるに等しい」


 ここで亡き妻に想いが至ったのか、マスターはまたひとしきり泣いた。


(そうであれば、やはり召喚師様の死、イコール、ダンジョンの滅びということになる。とすれば、以前に疑ったように、召喚師様の殺害を欲した女王が最終的に求めたのは、ダンジョンの滅亡? そう、結論づけても良いのかもしれない。でも、何のために? マスターの言われたことが、この世界のことわりならば、召喚師様の存在はこの世界の中心。それに嫉妬して? まさか、そんなもののために)


 その鉄チンの想いは、一つの状景に連なる。これより前、マスターとともに雷公を葬送したのだ。復活しない雷公の体は消失することはなかった。


 マスターは自らその遺体をいだき、ダンジョンの1室に入った。そこはマスターの間の更に奥にあった。その配置から考えるに、恐らくは、召喚師様が生前使っておられた部屋の一つであろう。


 そこには他にもたくさんのモンスターが寝かされておった。ただ、ピクリとも動かぬ。マスターによれば、いずれも召喚師様の死後に亡くなったモンスターたちであるという。鉄チンはその中に見慣れた者にそっくりな遺体を発見した。あの運営使者である。

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