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第96話 時間潰しは計画的に

ピンポーン

『特定行動により【創薬Lv2】のレベルが上がりました』



【マジョリカ印の超美容液】×305



 明日納品予定の美容液を完成させた。一度作ったものだからか、なんか凄く短時間でできてしまった。まさかレシピから作るとあの下処理やらなんやらの工程が要らなくなるとは。これは完全に想定外だ。


 もしかするとあれはスキルを習得するための作業だったのかもしれんな。


 時間がすっごく余ってしまった。どうしよ…





ピンポーン

『特定行動により【創薬Lv3】のレベルが上がりました』



【愛弟子印の超絶美容液】×10



【愛弟子印の超絶美容液】

 住人に著しい肌の再生効果をもたらす美容液。

 効果:絶大




 …愛弟子印ってなんだよ。


 時間が余っちゃったから、ちょっとお試しに格5の【ブルーゼラチン】使って作ってみたらマジョリカ印じゃなくなってしまった。これは納品できんな。なんか効果も美麗効果じゃなくなっちゃったし。



 うーん、まだ時間が1時間近くあるんだよな。どうしよ。ってか、この納品分の美容液、ストレージ圧迫するんだよな。南の平原だと採取物もいっぱいあるだろうし、海坊主さんと一緒だと絶対に採取しながらになるだろうしな。



「よし、ここは申し訳ないが、掟破りの前倒し納品しちゃうか」



 リアルでやると先方にどえらい迷惑がかかる日程前倒し納品。クソ上司が知ったら死ぬほど怒り狂うだろう掟破りの荒業だが、万事屋さんなら置き場所に困ることないだろうし、むしろ現物が手元にある方が安心させられる説まである。ここは臨機応変にやってもいいだろう。



 マジョリカさん用の美容液5本と試作品の愛弟子印10本は薬房に置いておき、マジョリカ印300本をストレージにしまう。




「ごめんください」

「まあ、スプラ様、いらっしゃいませ」


 某化粧品会社の営業さんと化した万事屋のタンザさんがすぐに出てきてくれた。アポ取らずに来ちゃったから、とりあえず店閉まってなくてよかった。



「タンザさん、大変申し訳ないんですけど、美容液が既に完成してしまったので、一日早いんですが納品させていただくことって可能ですか?」


「まあ、本当ですか?それは大丈夫どころか大変ありがたいですわ。先の100本をお試しされたお客様から明日のできるだけ早い時間に欲しいと要望が殺到しておりますの。本日納品いただければ明日の朝からお配りする準備もできますので」



 よかった。やっぱ聞いてみるのって大切だな。


「実はもう持っているのですが、納品してしまっても?」


「もちろんでございます」



 美容液300本を順番に取り出していく。タンザさんは一つずつ確認しながら数を数えていく。意外と几帳面だな、タンザさん。



「ではまた7日後にお願いします」


「はい、よろしくお願いします」



 美容液がストレージから消え、手持ち金額が…300万G増えた。はい? 卸価格1本1万G? やべえな。小売価格いくらなんだろ。タンザさんいくらで売ってるんだ?


 前回100本納品でクエスト完了報酬30万Gだったから1本で3千Gくらいかなと予想してたんだけど、達成報酬の100万Gでの計算が正解だったってことか。



「これってもしやチートな金策術なのでは…」

『ゆら!』



 ちょっとだけイケない妄想に足を踏み入れたらすかさずネギ坊からツッコミが入る。なんか、ネギ坊って俺の思考分かってるよな? ま、いいんだけど。



「でだ、金はある。時間もある。どうしよ?」


 所持金は今のでとうとう1000万Gを超えた。そして時間はまだ45分ある。って事は…




「こんにちは」

「お、ス、スプラじゃねえか。ど、どうした?」


 物資不足で買う物自体がない現状、とりあえず武器でも作って時間潰そうと武器屋を訪ねると、やたらと挙動不審なマークスさんがいた。これは…そっか、あれだ。昨晩ステラさんとのデート中に俺と出くわしちゃったからだ。色々あってそのことすっかり忘れてた。



「マークスさん、工房って使わせてもらってもいいですか?」


「お、工房か。勿論だ、使え使え。材料が仕入れられなくて全く使ってねえから自由に使っていいぞ」


「ありがとうございます。じゃ、遠慮なく」



 何事もなかったかのように工房に入っておく。これは一応俺なりの気遣いだ。ここは本人が話を振ってくるまで触れないほうがいいだろう。


 気まずいのかマークスさんは工房に入ってこようとしないしな。



「じゃ、始めますか?」

『ゆらゆら♪』



 ストレージからピエロダーツを取り出して金床に置く。


 なぜピエロダーツを置くのか。それは先の巨大スライム戦でピエロダーツの弱点に気づいてしまったからだ。


 ピエロダーツの弱点とは…


 針が短くて巨体モンスターにはおそらく効かないだろうってことだ。


 ピエロダーツが刺さってダメージ受けるのは精々中型くらいまで。それ以上は刺さっても多分表皮にチクって刺さって終わりだろう。これは威力の問題ではなくて、ダーツの構造の問題。釘ならワンチャン貫通もあるかもしれないが、羽根つきダーツはまず貫通しない。なのに貰った釘を全部ダーツにしちゃったもんだからちょっと困ってるのだ。



 そこでこの度、このピエロダーツを大型モンスター用に改造する事を考えてみたのだ。


 で、行き着いたのが、『少しでも刺さるんなら毒ならいけんじゃね?』ってこと。



 あの巨大スライムが海坊主さんのスキルで弾けちゃったってことは、必ずしも最初から核を狙う必要はない。つまり、あの体に毒でも入れてやれば何とかなったのかもしれない。現にあのわがままボディも俺の劇毒釘を初めて見た時めちゃくちゃビビってた訳だし。


 そして、ピエロは更に考える。



『倒した後に聖魔のナイフで触るのがめんどい。そしていざという時にテンパって忘れる自信がある』



 少し考えたピエロは、ストレージから聖魔のナイフを取り出す。



『【聖魔のナイフ】をリサイクルします』



 ここで、素材付加ではなく、素材化を選んでみる。すると見慣れない表示が現れた。



【聖魔のナイフ】使用率52%


 なんだこの使用率って。もう半分以上使用済みって事になってるんだが?



 取り敢えず、素材化する部分を選んでいく。すると、選ぶ量によって使用率が上がっていった。これはつまり…



「聖魔のナイフのドロップ2倍効果って有限だったってことか?」

『ゆらゆ〜ら?』



 ま、よく考えたら、そりゃそうか。永遠にドロップ2倍とかチート過ぎるもんな。そんなんが100万や200万で買えたらバランスおかしいし。


 しかし、俺がこのナイフ使ったのって巨大スライム2体だけだよな。なのに、52%使用済みってことは、



「回数じゃなくて価値基準か!」

『ゆら!』



 ま、それもそうか。回数基準だったらボスドロップだけに使えばぼろ儲けだもんな。価値基準はご尤もだ。



「ってことは、あのスライム以上のモンスターならあと1回が限界ってとこか…」

『ゆ〜ら…』



「よし、じゃ、一本だけ作るか。色々と付けまくってさ」

『ゆら!』



 聖魔のナイフは全て素材化することにする。取り出せる素材は【聖銀】と【魔鉱石】だった。


 …マークスさんから聞かれたら、使い尽くしたと言えば分かってくれるだろ。別に嘘じゃないし。


 そしてずっとストレージの肥やしになってきたこれ。


【酸袋】


 邪魔だし、付加できるみたいだから使っちゃおう。


 あとはやっぱりこの辺は入れとこう。


【毒毒毒草】

【爆炎草】

【氷華草】


 最後に冷却用に聖水を選んで、マークス工房専用のハンマーでぶっ叩く。



ピンポーン

『特定行動により【鍛冶Lv7】のレベルが上がりました』


ピンポーン

『特定行動により【鍛冶Lv8】のレベルが上がりました』



【ダークマターダーツ】1/1

 相反する4組の属性が纏まる事で純粋かつ膨大なエネルギーを包有するダーツ。

 効果:レアドロップ化



…なんか真っ黒なダーツができたんだが? あれ、おかしいな、ダーツの周りがぼんやり暗く見えるんだが。ちょっと疲れたかな。HPポーション飲んどくか。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


もおおおおー、イベント参加決めたと思たらすぐ調子乗りやがってー!


なんだよ、そのダーツはよお。周辺のデータがバグってんじゃねえかよ。



あ、はい。レイスっす。え? 愛弟子印? え、そんなもの俺に聞かれてもわかんねえですけど? え、あ、すんません。


…クッソ管理AI(マザーズ)の女共め。なんで俺が怒られるんだよ。知らねえってそんなもんよ。本人に聞けっつーの!!




――――――――――――――

◇達成したこと◇

・作成:【マジョリカ印の超美容液】×305、【愛弟子印の超絶美容液】×10、【ダークマターダーツ】×1

・習得:【創薬Lv4】【鍛冶Lv9】

・獲得:美容液300本分の代金300万G

・消失:聖魔のナイフ

・ちょっとだけ金儲けの妄想に浸る。


◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+13)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :悩める道化師のトルピード

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+13】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv9】new!【調薬Lv10】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv4】new!

 所持金:約1045万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【氷華草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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