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第85話 夜の出会い

「汗」

『ゆら』


「羽根」

『ゆら』


「バイタル」

『ゆらゆら』



 マークス工房をオペ室化するネギとピエロ。


 釘と羽根が選択された金床をピエロが思いっきり槌でぶっ叩く。



ピンポーン

『特定行動により【鍛冶Lv6】のレベルが上がりました』



【悩める道化師のトルピード】10/10 ×57




「…できたな。俺、失敗しないので」

『ゆら?』



 いや、ちょっと言ってみたかっただけ。



 ストレージ経由で作ったからストレージに表示される俺の新しい武器【悩める道化師のトルピード】10/10。これは狙い通りの結果になった。





 北の山地に【治癒草】を採取しに行った俺は、採取中にチックリという鳥型のモンスターに絡まれる。で、一角亭のマーサさんから頂いた【釘】を【自動照準】で【狙撃】しようとしたら、なかなかうまくいかなかった。


 そこで、チックリのドロップの【小鳥の羽根】2枚と【釘】3本を使ってダーツを作ろうとしたら、あの無意味に光る称号効果で【悩める道化師のトルピード】5/5が出来上がった。



 この「5/5」という表示、これは実際に使ってみたら理解できた。


 【悩める道化師のトルピード】、名前長いから略すが、ピエロダーツが狙撃後も消えなかったのだ。で、ドロップと一緒に落ちているピエロダーツを拾うとそこに表示されたのは「4/5」。


 つまり、このピエロダーツは5回使えるということが判明した訳だ。


 まあ、いちいち拾うのも面倒だが、どうせドロップも拾うことを考えればそのついでに拾うだけ。十分許容範囲の内だろう。



 ってことで、味を占めたピエロは、【治癒草】の群生地を探しては飛んで火にいる山の鳥を狩りまくる。そのドロップで再びピエロダーツを作っていき、雪だるま式に手持ちの羽根を増やしていったのだ。


 ちなみにピエロダーツは一度作ってしまったらレシピで簡単に作ることができた。ここは親切仕様でありがたい。



 で、鳥と【治癒草】を乱獲した後、リスを枝にズラッと並べたトレントっていう木のモンスターが現れて急いで逃げ帰った。木から木へ飛び移れる木登りスキルがなかったら死に戻ってたところだ。


 だって、木なんて【釘】とかダーツとか絶対に効かないだろう。刺さってそれで終わりだ。そして攻撃はどう考えても打撃攻撃っぽいのだ。枝でバシッてやつ。つまり俺にとって木型モンスターは天敵。恐るべしトレント。



 で、逃げるのに成功したピエロは戻りながら考えた。トレントはともかく、「このダーツの使用回数ってもっと増やせないものか」と。



 そして思いついたのがマークス工房だ。マジョリカ薬房でポーション作ったら品質が上がった。なら、マークス工房でも品質が上がるんじゃないかって。


 で、急いでマークス工房に向かっていたら街中で出合い頭にNPCとぶつかりそうになる。ちょっと急ぎ過ぎたと反省して謝ろうとしたらそのNPCに見覚えが。


 お揃いのローサンとヘアバンドをしたマークスさんとステラさん、こんなところで何してるの? とか野暮なことは聞かずに、顔を真っ赤にしたマークスさんから工房の使用許可と鍵をもらってその場を退散。


「マークスさん、しっかりな」と背中でエールを送りながら工房に向かったのだった。



 そしてそのマークス工房で今、狙い通りに【悩める道下師のトルピード】10/10が完成した。



「ネギ助手、やりましたな」

『ゆら♪』


 ネギ坊と握手してオペ室コントに付き合ってくれたことを労う。



「じゃあ、次はHPポーションだ。ネギ調合師、またよろしく」

『ゆら?』

「え、時間?」



 ネギ坊が時間を気にしてるんだが…あ、やべ、もうこんな時間か。


 時計を見ると、すでに夜の12時を過ぎていた。外に出てみたら街が夜の街に変わっていた。FGSは0時か6時までが夜仕様だ。



 療養中の身としては主治医の「規則正しい生活をしろ」という指令めいたアドバイスにこれまで忠実に従ってきたため、なかなかこの夜バージョンに出くわすことがなかった。


 が、今日はやってしまった



「鳥と【治癒草】の乱獲に時間取り過ぎたな」


 手持ちのダーツが増えれば増えるほど殲滅力が上がるもんだから、今回はつい調子に乗ってしまった。ここは急いで畑に戻ってログアウトだな。



 畑に向かって人けのない場所を選びながら慎重に走る。なぜ? そりゃ、マークスさん達と出くわさないようにだ。また出くわしたらちょっとシャレにならんくらいに気まずいし。なんか俺が邪魔してるみたいになっちゃうし。



 慎重に南地区を大回りして畑に移動していく。


 さすがに、こんななにもない場所をデートに使ったりはないだろう。もしこんなところにいたら何のためのデート本だったのかって話になるしな。



 ま、そもそも、夜のこんな場所に人なんかいるわけ… いるな。人影が見える。


 アイコンは…青い。つまりプレイヤー。ってことはマークスさたちではないと。


 

 しっかし、こんな畑しかない場所で夜に何やってんだ? グループデートで来る場所には思えんが。秘密の会合でもしとるんか? あ、まさかシークレットなクエストとか?


 もしシークレットなやつだったら邪魔したら悪いよな。ここは【俺は何も気づいていません】でそっと通り過ぎとくか。



 道の反対側ギリギリを素知らぬ顔で通り過ぎる。うんうん、こっちには気づいてないな。よしよし。



「…それがどういう意味か…」

「……しょうがない……その程度だった……」

「……これまで散々と……」

「何を…言って…」



 なんか言い争ってるみたいだな。


 でも、こういうのに見つかるととばっちりを食らうからな。見つからないように離れるとしよう。



「……もう付いて行けないんだよ、ウェイブ様よお」



 ん? 今ウェイブって聞こえたような?



 

❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


MK、SR、お前ら楽しんでるよな…。


おっと、それよりもこっちこっち。


ええっと【ネギが隠れるヘボ道下師の帽子】に【とち狂った激レアさんが隠れるヘッポコ帽子】っと。あとは説明文だな。


小僧、次は帽子だぞ。帽子を作れよ。

俺が考えといてやるからな。




――――――――――――――

◇達成したこと◇

・チックリと【治癒草】を乱獲する。

・トレントを天敵認定する。

・デート中のとあるカップルと出会ってしまう。

・作成【悩める道化師のトルピード】10/10×57

・習得【鍛冶Lv7】


◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 肩書:マジョリカの愛弟子(EX)

 職業:上級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+14)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+14】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv7】new!【調薬Lv10】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】【自動照準】【下処理】【火加減】【創薬Lv2】

 所持金:約860万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ



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