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第69話 たかがスライムされどスライム

すみません。69話が抜けていましたので追加しました。

「さあて、じゃあ東の森のうっすらアイコンを求めてレッツゴー」


 …なんてほざいていた30分前の俺をしばき倒してやりたい。クッソーーーーー!




 今、俺はブルーなゼリーによって体を拘束されている最中だ。そして、じわじわとHPバーを削られている。両手が後ろに回された状態でスライムに覆われ、両足も足首のところで覆われて完全拘束の形だ。



 なぜこんなことになっているのか。


 うん、油断したからとしか言いようがない。100%俺が悪い。それは十分過ぎるほど理解している。それでも、それでも言い訳ぐらいさせてほしい。



 30分前、今思えば、俺はブルーゼリーを大量に確保したことで浮かれていた。しかもレアドロップのブルーゼラチンまでも確保してしまったことで浮かれ気分が決定的になってしまった。


 だって、これで美容液の材料が全部揃ったんだもん。万事屋さんのシークレットクエスト受けてからステータス画面開く度に受注してるクエストに万事屋の文字が見えてたんだもん。昨日も万事屋さんで「進捗どうなってるの」オーラ感じたし。待たせてるっていうプレッシャーをずっと感じてきたんだもん。



 それがついに終わる見込みができた。


 マークスさんから貰った大量の活性炭。命がけで大渓谷の先で採取しまくった品質8の毒出し草。そして、レアドロップもついてきた大量のブルーゼリー。何一つ文句のない素材集めがやっと終わったのだ。



 そして、何よりもリス一匹に何度も死に戻りさせられてた俺が、100匹以上のスライム相手に無双したのだ。


 そら、開放感から気も緩むってもんだ。これで気が緩まない鋼鉄の精神を持った奴なんていないだろ。いないよな? うん、いるはずがない。



 で、さっさと帰ればいいものを、そんな開放感ゆえにルンルン気分で森の中をうろついていたのだ。


 いろいろと成功を収めると、他の心残りも全部なくしたいという思いが生まれるのが世の常。


 心残りと言ったら、そう、オネエ軍人に邪魔されて採取し損なった「うっすらアイコン」しかない。



「あそこで採取完了してたら一体何が採取できたんだろう」



 おそらく俺はこの先ずっとその想いを持ち続けることになるに違いない。そんなのは嫌だ。


 じゃあ、することは一つ。再度、あのうっすらアイコンを探して採取するしかない。



 その時の俺の心境はまあこんな感じだ。

 


 それからの俺の行動は「最後の仕上げ」とばかりに気合を入れてうっすらアイコンを探しまくった。【遠見】【採取Lv10】【採取者の勘】のトリブルコンボもフル活用したぜ。


 たけど、見つかるのは普通のアイコンばかり。うっすらアイコンは見つかる気配すらない。



 そこで俺は考える。あの時と今と何が違うのか。俺はあの時の記憶を遡ってみる。すると頭によぎる記憶が一つ。



「そういえば、あの場所ってもうちょっと暗くなかったか?」



 そんな曖昧な記憶に頼るほど、俺はいつの間にか必死になっていた。そして、ちょっと薄暗くなっている場所を探す。



「あ、そうそう、こんな感じ」


 見つけた薄暗い場所。頭上はすぐ上くらいまで木の葉で覆われ、陽の光は差し込んでいない。いかにもレアな草が生えてそうな場所。


『ゆらゆら?』

「大丈夫だって」


 ネギ坊の心配をよそに俺はためらう事なくそこへ足を踏み入れた。しかしその時、俺はもう一つの可能性を完全に失念していた。



「レアなものが採取できる場所には厄介なモンスターもいる」



 RPGなら当たり前の法則だ。それを忘れてウキウキ気分でうろつく俺。


 そんな馬鹿な俺の頭上でカサカサ音が鳴る。ついさっき経験したばっかりだからそれがスライムだとすぐに分かった。ただ今回はさっきよりも頭上の枝がずっと低い。


 そこで多少の警戒心を持って、頭上を警戒する。しかし、その中途半端な警戒心が俺を敵の術中にはめる事となる。



 まず、上を警戒してスライムを探していたら、何気なく下にいたスライムに気が付かずに踏んずける。そしてスライムが片足にくっつく。


 次に、スライムを剥がすためにブンブン足を振っていたら軸にしてたもう片方の足にもスライムがくっつく。


 さらに、バランス崩して尻もちついた際、後ろに手を置いたところにまた同時に二匹のスライムがくっつく。


 最後に足と手それぞれのスライム同士がくっついて今の完全拘束状況が完成してしまったというわけだ。




「なあ、お前たちって連携もするの?」


 足に取り付いてシュワシュワ俺の足を消化しているスライムに聞いてみる。うん、無反応。知ってた。


 HPが10秒ごとに1ずつ減っていく。念のために何個か買っておいたポーションをストレージ経由で使って回復していたが、それもあっという間に底をつく。本来なら100回復するはずのポーションなのに、俺のHPが10ということで、すっごくコスパが悪いのだ。


 くそ、なんで何十個と買わなかったんだよ。金ならあったのに。もし死に戻ったら真っ先にHPポーションを買っておこう。あ、そっか、死に戻ったら金もなくなるのか。クソ面倒くせぇな。



 しっかし、たかがスライムにやられるとは。ほんと俺っていつもこうだよな。すぐ調子に乗って痛い目見て。


 こうなると、あのクソ上司の言葉「お前は世の中を舐めてるだろ」ってのが心を抉ってくる。確かに今回は舐めてたよな。



 死に戻ってしまえば、今集めた【ブルーゼリー】も、装備も金もエクストラ職業クエストも何もかも失ってしまう。なにより頭の上のネギ坊ともお別れだ。



 すぐに死に戻ってしまえばこんなにウダウダ考えなくて済んだんだろう。


 こんなふうにじわじわHP削られてると、時間があるだけに逆に死に戻りが怖くなってくる。


 あ、ついにHPが半分を切った。あと数十秒で戻るんだな。あの噴水前に。



「ネギ坊、しばらくお別れだな」

『ゆら~?』


『なにが~?』か。ネギ坊は最期までネギ坊だな。ハハ。



 ため息ひとつついて薄暗く覆われた頭上を見上げる。





「おや、奇遇だな。こんなところで何をやってるんだ…」




❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


マジかよおおおおおおおおおおーーー。

スライムにやられるって。

ここで死に戻ったらプロモーションどうすんだよ。


くっそ、誰だよ、筋力1とかふざけたステータスにしたのは。

スライムの強度なんて筋力3で何とかなってたのにー、もー。



おっ、誰だ?




――――――――――――――

◇達成したこと◇

・スライムに捕まる。



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 職業:中級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+3)

 敏捷:1(+14)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+14】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】【鍛冶Lv6】【調薬Lv4】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【よく見る】

 所持金:約730万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:

●進行中特殊クエスト

<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>

<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ




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