第60話 初ドロップ
『ゆら!』
「うわっ、え? 敵? 嘘」
機嫌よく過ごしていたネギ坊が急に臨戦態勢取るもんだから思わず飛び跳ねちゃった。で、敵はどこにいるの?
『ゆら!』
ネギ坊が頭をペチペチする方向を見ると次に採取しようとしてた群生地。他の群生地よりも少し背の高い草が生えている場所を指しているらしい。
興奮するネギ坊に絆されて注意して見ていると、草の中からピョンと出てくるクリクリ目玉のでっかいアマガエル。小型犬くらいの大きさだ。
「ケロケロ」
マスコットが出すような甲高い声で鳴くアマガエル。モンスターにしては愛嬌があって妙にかわいらしい。丸い指先で頭を掻く仕草がちょっと抜けててなんだかネギ坊との出会いを彷彿とさせる。
「なんだ、お前も仲間になりたいのか?」
「ケロケロ」
「ほら、こっちおいで」
アマガエルがこっちにピョンピョンと跳ねてやってくる。
『ゆら!』
パンパンパン
「あ、痛たたた」
ネギ坊の鋭い声に頭の上で爆竹が爆ぜたような痛み。なんだなんだ? HPは…よかった減ってない。にしても、これってネギ坊の爆炎草だよな。
「ネギ坊、何してんだよ」
『ゆらゆら!』
「ケロケロ、グエッ」
ペチョ
「うわ、汚ねっ」
アマガエルが急に野太い声で紫色のネバネバな液体を飛ばしてきた。ギリギリ避けられたがもう少し近かったら体にかかっていたかもしれない。
紫の液体が落ちた地面からは何かが溶けたようにシュワシュワと煙が上がっている。
「え、なにこれ。もしかして毒?」
【アシッドフロッグ】
毒草の毒を吸収して育った蛙。吸収した毒を体内で強酸に変えて外敵から身を守る。
「うわあ、毒ガエルかあ。危なかった~。んじゃ、【狙撃】っと」
アマガエルが釘に体を貫かれてポリゴンに変わる。記念すべき2勝目は意外とあっけなかった。
「よし、今度は完勝! ネギ坊ありがとな。お、何か落ちた」
アマガエルが落としたドロップアイテムらしきものを拾う。俺の初めてのドロップアイテムは毒ガエルってことらしい。
【酸袋】
酸を体内に溜めるための袋。中の酸は強酸。袋は高い耐酸性も持つ。
うーん、酸なんて何に使うんだろ。10円玉をピカピカにするとかかな? ま、一応持っとこか。記念すべき第一号のドロップだし。
酸袋をストレージにしまい、先を急ぐ。空はまだ明るいけど時間的にはもう夕方なのだ。強制ログアウトまではまだ余裕があるが、如何せん手持ちのお菓子が底を尽きそうなのだ。満腹度回復のためにちょくちょく食べてたら残りが心もとなくなってきてしまった。
まあ、と言っても目の前にある群生地をそのまま素通りすることもできず、その後も毒関連の草を採取しつつ毒ガエルも数匹倒しながら北方向に進んでいく。
ちなみにドロップは全て【カエル肉】。ってことは【酸袋】はレアドロップだったらしい。となると困った。使い道がわからないレアドロップ程困るものはない。使えないのにもったいなくて売れもしない。ストレージの肥やしまっしぐらだ。
そうやって毒関連草とカエルのドロップを稼いで進んでいるとふと体の異変に気が付く。
「あれ、急に体が軽くなった?」
30分ほど移動した後、急に体が速く動くようになった。この感覚…うん、よく覚えています。【配達】の敏捷アップが効果を発揮した時の感じ。ということは、これは配達のルートに入ったことを意味する。つまり、俺は街の南門に近づいているということだ。
そこから【遠見】で周りを確認しながら移動すること15分、とうとう見覚えのある街道に出ることができた。プレイヤーもよく見かけるようになり、そこから5分ほど街道をぶっちぎったら始まりの街の南門が見えてきた。
「やっと着いた~」
『ゆ~ら~』
南門をくぐりそのまま南西地区の本屋に移動する。とりあえず報告だけ終わらそう。
「おお、おかえりなさい。して、手紙のほうはどうでしたかな」
「ええ、時間内にお渡しできましたよ。これ受領書です」
老紳士が受領書を確認する。
「はい、確かに息子の字です。時間も書かれてますね」
「ええ、でも机に向かってずっと何か書かれてて、手紙には興味ないようでしたから、急ぎの内容だから早く確認してもらうように伝えておきました」
「おお、そうでしたか。それはお気遣い感謝いたします。ではこちら、少ないですが…」
ピンポーン
『クエスト<本屋??の依頼>を完了しました。報酬として750Gを得ました。クエスト内の行動によりスキル【工作Lv1】を習得しました。クエスト内の行動によりスキル【釣りLv1】を習得しました。クエスト内の行動によりスキル【木登り】を習得しました。クエスト内の行動によりスキル【狙撃Lv1】のレベルが上がりました』
【工作Lv1】
武具以外のものを工作する技術。
レベルにより完成するものの品質が上昇する。
【釣りLv1】
釣りに関する技術。
レベルによって技術の補正度が上昇する。
【木登り】
木登り時、ステータスが木登りに合わせて補正される。
おお、三つもスキルを覚えてしまった。遠征万歳。
❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖
やっぱ、【狙撃】地味だわ。あかん。
小僧、さっさとスライム狩ってこい。
イベント始まるまでには楽しい調合やるんだぞ。
始まる前に終わらせろよ、頼むぞ!
――――――――――――――
◇達成したこと◇
・始まりの街に帰還。
・完了<本屋??の依頼>
・習得【工作Lv1】【釣りLv1】【木登り】【狙撃Lv2】
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
職業:中級薬師
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1(+3)
敏捷:1(+14)
器用:1
知力:1
装備:ただのネックレス
:聖魔のナイフ【ドロップ増加】
:仙蜘蛛の道下服【耐久:+3、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】
:飛蛇の道下靴【敏捷+14】
:破れシルクハット
固有スキル:【マジ本気】
スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv2】new!【鍛冶Lv3】【調薬Lv3】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】【広範囲収集】【遠見】【工作Lv1】new!【釣りLv1】new!【木登り】new!
所持金:約735万G
称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】
従魔:ネギ坊[癒楽草]
◎進行中常設クエスト:
<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>
〇進行中クエスト:
●進行中特殊クエスト
<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>
<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>
◆契約◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★☆☆☆☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1
敏捷:0
器用:1
知力:5
装備:【毒毒毒草】
:【爆炎草】
固有スキル:【超再生】【分蘖】
スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】
《不動産》
畑(中規模)
農屋(EX)
≪雇用≫
エリゼ
ゼン
ミクリ
 




