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第53話 4日目 依頼の連鎖

 朝起きて身の回りのことを済ませてログイン。

 ログハウスのベッドで目を覚ます。



 ログハウスから出ると、すでに3人の契約した住人の皆さんが揃っていた。

 1人は昨日から働いてもらっている歌の好きなエリゼさん。俺を待ちながらもハミングで曲を奏でている。


「エリゼさん、おはようございます。今日もよろしくお願いします」

「スプラさん、こちらこそよろしくお願いいたします」



「あんたがスプラさんか。この見事な畑に儂を雇うとは本気ということかのう」

「えっと…」


「儂はゼンじゃ。ゼン爺とでも呼んでくだされ。こう見えてじっくり育てて作物の品質を上げるのが得意な爺さんじゃよ」

「あ、ゼンさんですね。よろしくお願いたします」


「ゼン爺でよいよ。その方が慣れておるしのう」

「そうですか。ではゼン爺よろしく」



「あたしはミクリだよ。作物をどんどん大きく育てるのが得意なんだ」

「ミクリさんですね。よろしくお願いします」



 今日は歌好きのエリゼさん、十全栽培のゼン爺、栽培促進の元気印ミクリさんの3人で作物を育ててもらう。


 昨日ゲンジさんに種蒔きをしてもらったが、ゲンジさんが気を利かせて畑の半分ずつを同じように種蒔きしてくれていたらしい。ギルド職員さんに俺に伝えるように依頼があったようだ。初めて畑をするなら違う条件で育ててみてはどうかということだ。いや、ゲンジさんナイス。


 なので、今日はいろいろ試していこうと思う。


 種は6種類を5列ずつ。なので畑の左側を栽培促進のミクリさん、右半分をゼン爺に世話をしてもらう。そして、エリゼさんには手前半分だけを歌いながら回ってもらう。そうすることで、栽培促進&歌、十全栽培&歌、栽培促進のみ、十全栽培のみの4区画が出来上がる。


 これで様子を見ていこう。



「ということで、皆さん、今日からよろしくお願いします。ログハウスの方にジュースを用意していますので、疲れたら飲んでくださいね。あと、ゼン爺とミクリさん、水やり用の水はこのログハウスの水を使ってください」


「承知した」

「了解だよ」



 さて、畑のことは3人に任せて俺は配達クエストを探すをしますか。


 畑を出ると農業ギルドへ足を運ぶ。受付カウンターで信用クエストを確認していると後ろから声がかかる。



「おや、スプラ様、もしや信用依頼でございますか?」

「あ、アイザックさん」


 隣から声をかけてきたのは農業ギルドマスターのアイザックさん。今日は農家オジの格好だ。



「配達依頼を探してまして。街の外への配達とかあったらいいなって」


「ほう、街の外へですが。残念ながら農業ギルドでは街中での依頼が全てとなっています。ご期待にはお応えできないかと」


「あ、そうなんですね。じゃあ、街中での配達にします」



 配達依頼の連鎖にでも期待するか。



「もし、配達でしたら、急ぎの依頼があるのですが」


「あ、いいですよ。じゃあ、その依頼受けさせてもらいます」


「そうですか、それは助かります」



ピンポーン

『クエスト<アイザックの配達依頼>を受けました』



 アイザックさんから配達依頼を受けると、は教会に大量の芋を届ける仕事だった。アイザックさんが行く予定だったのか、芋がはリヤカーに山積みになっていた。それを全部ストレージに仕舞い込んで出発する。





「こんにちは、配達です」


「まあ、スプラさん、今日も朝からお仕事なんですね。ご苦労様です」


 いやいや、ステラさんこそ朝早くから元気いっぱいですね。



「じゃあ、これ受領書です」


「はい、確かに。あ、ステラさん、実は今、街の外への配達依頼を探しているんですが、教会でそんな依頼とかありませんかね?」


 腕組をしながら軽く頭を傾げるステラさん。マークスさんが見たら卒倒すること間違いない程のかわいらしい姿だ。



「うーん、街の外にですか…ごめんなさい、街の外には聖水を求めている人はいなかったと思います。もともと街の外は危ないので、そういった配達はほとんどお受けしてないんです」


「確かに、子供を外へ行かせるわけにはいきませんしね」


 あ、でもあの石投げ名人たちならリス君ぐらいならいけるんじゃ…



「ええ、さすがに子供たちを街の外には…あ、北地区への配達依頼ならありますけど、そちらはいかがですか?」


「北地区ですか? どちらへのお届けですか?」


「『商業ギルド』なんです。なんでも異人さんからの要望が多くて、商業ギルドでも聖水を販売したいからと。教会で買うより割高になっても異人さんは買っていくんだそうで」


「商業ギルドですか。行ったことはないですが、場所さえ教えていただければ俺行きますよ」


「行っていただけますか? それはよかったです。場所は北地区の中心の、大通り沿いにあります。人も多いですし、運ぶ量も多いので子供たちだけでは難しいかなと思っていたので助かります」



ピンポーン

『クエスト<教会ステラの依頼6>を受けました』



 教会で聖水を120本受け取った俺は北地区へと足を運ぶ。120本ストレージに入れようとしたが、最後の5本は入りきらなかった。毒出し草は360本以上入ったのに、聖水は120本弱ということは、ストレージは重量も関係するのかもしれない。そんな事を考えながら余った聖水をピエロ服のポケットに入れて北地区へと向かう。




 大通り沿いは俺にとっては鬼門の露店街があるのでそこは避け、北東エリアから回り込むように進む。裏から回り込む感じで大通りに出ようとすると、一際大きな建物が視界に入ってくる。こっそり正面に回るとこれまでの冒険者ギルド、農業ギルドよりも二回り以上大きな建物だった。商業ギルド…デカいな!


 玄関にはNPCもプレーヤーも引っ切り無しに出入りしている。ドーム型の屋根が横に3つ並び白を基調とした清潔感溢れる印象でありながら、細部の装飾には凝っていたりする。俺みたいな療養中に人間には入りにくさこの上ない建物だ。おまけに入り口が3つとか、なんの嫌がらせだよ。


 まあ、ここは正々堂々左側から入るとしよう。


 実際に入ってみると、意外にも平気だった。どうした俺。ピエロ服に破れたシルクハット、時々頭上から聞こえてきちゃうネギ坊の声、もしかしたらこれまで常時周りの好奇な目に晒され続けてきたおかげで慣れてきたのかもしれない。いや、コミュ障に慣れるとかあるのか? 


 理由はわからないが平気だったということで勢いそのままにでズラッと並ぶカウンターの左端に並んぶ。話しかけるなオーラを全開で放ちながらら人込みにじっと耐える。



「レアドロップ買い取りはこちらでーす。聖銀はこちらでーす」


 ん? レアドロップの買い取りだと? 聖銀? 


 声のする方を見ると、小柄なプレイヤーがギルドカウンターではないところで何かしている。そこに列になって並ぶプレイヤーと周りを囲む見物客。なんだ?


「…!」



 俺が見ていると、小柄なプレイヤーと視線が合ってしまった。俺を見て目を見開いていたからサッと目を逸らしちまったぜ。でもあんな驚く顔で見てきたプレイヤーは初めてかもしれんな。



「いらっしゃいませ。本日は商業ギルドへお越しいただき誠にありがとうございます」


 目を逸らせて気まずい感じでいるとすぐにカウンターから透明感のある声がかかった。と同時に周りとの音声が遮断されそれまでの賑やかな音が聞こえなくなる。


「この度は当商業ギルドにどういったご用でいらっしゃいますか?」


 うむ、明らかに他のギルドとは一線を画す受付の質。とある有名多国籍企業が経営する博物館の受付がこんなだったことを思い出す。何だか自分がVIP客なんじゃないかと勘違いしてしまうような居心地の良さ。どこぞのベニーヤとは全然違う。



「教会からの依頼で荷物の配達に来ました」


「畏まりました。配達でございますね。ではこちらのカウンターにお願いいたします」



 そう言われて、指定されたカウンターに聖水を出していく。


「はい、確かに聖水120本お受け取りいたしました。こちらが受領書でございます。ご配達ありがとうございました」



 丁寧ながらもさらりと要件を済ませようとするスキルの高さ。でもまだ終わらせませんよ、受付さん。当方これでもここ数日で多少は鍛えられていますのでね。マジョリカさんとかマジョリカさんとかマジョリカさんとかにに。



「あの、お聞きしたいのですが、商業ギルドでは配達依頼を受けることは可能ですか?」


「配達依頼でございますね。配達依頼は信用依頼の部類に入りますので、お受けになられるのでしたらギルドランクが規定に達している必要がございます」


 なるほど、ここは農業ギルドと同じなんだな。



「そうですか……、一応ですが、武器屋さんや薬屋さん、教会でも個人的に配達を頼まれているんですが、そういったことは加味されませんよね?」


「はい、申し訳ございません。商業ギルド専用のギルドランクが必要でございます」


「そうですか…わかりました。まだ商業ギルドにも登録してないのでまた今度の機会にします」


 仕方ない。農業ギルドに戻ってまた別の配達依頼を探そう。教会に報告して帰りに畑にでも寄るか。



「あ、あのう」


 受付の女性が小声で俺に話しかけてきた。



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


あれ? ZNがなんか優しいんだが? あれれ?

もっとこう上から目線でビシバシやる感じじゃなかったっけ?


うーん、AIの性格ってこんな変わるもんなの?


うーーーーん…


――――――――――――――

◇達成したこと◇

雇用住人エリゼ・ゼン・ミクリに畑の役割を決める。

・受注 <アイザックの依頼><教会ステラの依頼6>



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 職業:中級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+4)

 敏捷:1(+14)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+4、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+14】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv10】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv10】【匙加減】【投擲Lv10】【狙撃Lv1】【鍛冶Lv3】【調薬Lv3】【団粒構造Lv2】【農地管理Lv4】【農具知識EX】【料理Lv1】

 所持金:約735万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

〇進行中クエスト:

<アイザックの依頼>

<教会ステラの依頼6>

●進行中特殊クエスト

<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>

<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】



《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)


≪雇用≫

エリゼ

ゼン

ミクリ

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