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第41話 爆進のネギ坊

 パンパンパンパンパーン


 頭上で炸裂する破裂音。飛び散る癒楽草。マジョリカさんが見たら卒倒しそうな情景が俺の頭上で展開している様子。



「ネギ坊! 大丈夫か!!」


『ゆら……』


 あ、ヤバそう。ステータスは?



 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:1

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】new!

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】new!



 だはっ。ギリギリじゃないか。


 で、装備とスキルが追加されてるのはさっきの爆裂音ってことだよな。ってことは、さてはこいつ、ワザとやったな。



『ゆ〜ら〜……』


「土と水が欲しいって? 土は…あ、あれを貰えるかな」



 道路脇の民家で女性NPCが花壇に水をやっている。低姿勢で土を分けてほしいと頼んだら快くオッケーだった。


 土を貰って脇道へ入ると、シルクハットをかぶり上から土を入れていく。リアルでは絶対にやらないがここはFGS、ほいほいと入れていく。


 土を入れるついでにネギ坊を触ってみると、7、8本はあったはずの葉の殆どが千切れてなくなっていた。焦って直ぐに土を全投入する。


 後は水だが、流石にさっきのNPC女性に頭から水を掛けて貰うわけにもいかない。どうするか迷った結果、1本だけ買い置きしていた聖水をやることにする。ネギ坊からの抵抗がないところを見ると代用は可能そうだ。


 頭に聖水を注ぎ、大通りに出てネギ坊を日光に当てる。



『ゆらゆらゆら〜♬』



 しばらくして元気な声が聞こえてきた。ステータス確認したらHPは全快して10になっていた。ん? 10?



「あれ? ネギ坊ってHP5じゃなかったっけ? 増えたの?」

『ゆら♪』



 どうやらHPの最大値が増えたらしい。原因は破裂音に巻き込まれたからか。確認したいが、さすがに2度目をする勇気はない。



 なんかもう、ネギ坊については深く考えたら負けのような気がしてきた。好きなようにさせて、あるがままを受け入れていく方が悩まなくていいかもな。


 と言いつつ、念のためネギ坊に聞いてみたけど、本人にもHPの最大値が上がった理由はわからないらしい。


 ただ、8本生えてる葉っぱのうち、【毒毒毒草】と【爆炎草】には絶対に触るなと念を押された。普段はほかの葉の下に隠しといてくれるらしい。


 また、あと2本くらいなら別の草を装備できるかもしれないと、聞いてもいない爆弾発言をしてきたが全力で聞いてない振りをしといた。



 一体コイツは何処へ向かおうとしているのだろうか。あ、というかこれって、またマジョリカさんから定期的にお金を頂く術が増えてしまったって事か? ますます「金のなるネギ」化が進んだな。



 俺は思わぬ金策術を手にしてルンルン気分で教会へと向かう。


 途中、ネギ坊爆発事件の現場を通るとあちこちに【癒楽草】と【毒毒毒草】が散乱していた。後々問題になると困るので全て回収。千切れた【毒毒毒草】は触らなくてもそのままストレージに送ることができホッとする。


 全てストレージに入れると【癒楽草】×7、【毒毒毒草】×1の表示。爆散してもアイテムとして統合されていた。これはラッキー、大金の元がこんなに。


 さらにルンルンしながら教会へ向かう。ボロボロなシルクハットを被って嬉しそうにスキップするピエロ姿の小人族。さぞかしファンシーな光景だろうな。



「ごめんください」


「はあい、…あ、いまはきょうかいはおやすみです」



 今回出てきたのは初日に出会ったハイネという女の子だった。癖っ毛を左右で結んだほっぺの赤い女の子って見てるだけでほんわかする。頬っぺたをツンツンしたい誘惑に耐えながら俺は素っ気なくドアを閉めようとするハイネの目線まで腰を折る。



「こんにちは、ハイネちゃん。いま、シスターいるかな?」


「きょうかいにはおかねはないのです。ほかをあたってください。ではさようなら」



 そう言っても再びドアを閉めようとするハイネちゃん。どうやら俺を大道芸人か何かだと思い込んでいる様子。仕方がないのでシルクハットのツバを上げて顔をよく見せる。頭から土がパラパラと落ちてくるが平常心平常心。



「あ、ぼうけんしゃのおにいちゃんでしたか。へんな…おもしろいかっこうしててわからなかったです。しすたーはこれからおでかけです。そのあとはこどもたちとあそぶよていとなっております」



 今、この子、俺を見て変な格好って言いそうになって言い直したよな。偉いぞハイネちゃん。おにいちゃんは別に傷ついてなんかないからな。



「そっか、シスターおでかけするんだ」


「はい、しすたーはあそぶやくそくよりもたいせつなごようじがあるんです」



 ハイネは偉そうに胸を張っている。



「あ、いたいた、もうハイネったら。あら、スプラさん、ごきげ…んよう。なんか雰囲気変わりましたね」



 ステラさん登場でさっとシルクハットを深く被る。ネギ坊、頼むから静かにしててくれよ。


 

「あ、ステラさん、これから外出なんですか」



 この装備への感想は全力でスルーする。



「あら、ハイネからお聞きになられました? 実は今日、本当は子供たちと遊ぶ約束をしてたんですけど、どうしても外せない用ができまして。帰ったら遊ぶからって宥めていたところだったんです」


「そうですか。実は配達の仕事がないかなと思ってきてみたんですが……」


「あ、配達のお仕事ですか? 実は2件あるんですが、まだ聖水の準備が出来てないんです。1時間ほどで戻れると思うのでそれからでもよろしければ助かるのですが」


「そうですか、じゃあ、俺が子供たちと遊んでますよ」

「え、いいんですか?」


「はい、配達の仕事をしたいので、2件もいただけるならお安い御用です」

「それはとても助かります」


「はいね、おにいちゃんとあそんであげてもいいよ」

「こら、はいね。おにいちゃん《《が》》あそんでくれるんですよ」


 なんか学生時代に姪っ子たちと遊んだのを思い出すな。


「いいですよ、ステラさん。じゃあ、はいねちゃん、おにいちゃんとあそんでくれるかな?」

「うん、いいよ。じゃあ、こっちきて。おにいちゃんたちがいるから」


「まあまあ、すみません、スプラさん」

「いえいえ、じゃあ、ステラさん、行ってらっしゃい」

「ほら、おにいちゃん、はやく」



❖❖❖❖レイスの部屋❖❖❖❖


は? YR1、爆炎草装備しちゃったの? てかできるの? は?



おいおい、門番のHNが心開きまくってやがるな。

いいか、面倒ごと起こすんじゃねえぞ。起こすなよ。起こすなよ。



――――――――――――――

◇達成したこと◇

・ネギ坊【爆炎草】装備

・ネギ坊HP最大値が10に増える

・取得:【癒楽草】×7、【毒毒毒草】×1



◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 職業:中級薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+5)

 敏捷:1(+16)

 器用:1

 知力:1

 装備:ただのネックレス

 :聖魔のナイフ【ドロップ増加】

 :仙蜘蛛の道下服【耐久:+5、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気)】

 :飛蛇の道下靴【敏捷+16】

 :破れシルクハット

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【正直】【薬の基本知識EX】【配達Lv6】【勤勉】【逃走NZ】【高潔】【依頼収集】【献身】【リサイクル武具】【採取Lv10】【採取者の勘】【精密採取Lv3】【調合Lv1】【匙加減】

 所持金:0

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]



◎進行中常設クエスト:

<薬屋マジョリカの薬草採取依頼>

●進行中特殊クエスト

<シークレットクエスト:万事屋の悩み事>

<エクストラ職業クエスト~マジョリカの愛弟子>

〇進行中クエスト:

<クエスト:武器屋マークスの個人的な依頼>



◆契約◆

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★☆☆☆☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10 new!

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1

 敏捷:0

 器用:1

 知力:5

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】new!

 固有スキル:【超再生】【分蘖ぶんけつ

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】new!



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