第306話 クレオと採種&装備制作
「じゃあ、また明日な兄ちゃん」
「また明日ね~」
デッカイとオッキイが帰っていく。明日はチッチャーネさんも含めて街の復興だな。ムガンさんの事もガガンさん達に報告しないといけないし。種のコーティングもあるし、やることがいっぱいだ。
「んじゃ、ナガちゃんの餌がどうなるかやってみるか」
「よっ、農業王!」
クレオから変な掛け声がかけられるがここはスルーで。ってか、クレオも俺のコミュ障の壁を素通りしてくるよな。ゴマッキさんと言いクレオと言い最近の女子はなんなんだ?
「お、スプラさん、なにすんだ?」
「なになに~、なにかするの?」
進化野菜の採種をしようとしていたら作業を終えたゲンジさんとミクリさんがやってきた。
「採種できるようになったんで、やってみようと思って」
「へえ、採種か。ってことはスプラさんギルドランク上がったんだね」
「そうなんですよ、ミクリさん。このナガちゃんの餌用に種が欲しくて、今日たくさん作物持って行ってクエストクリアしてきました。ミクリさんとゲンジさんのお陰ですよ」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな。わたしたちもスプラさんのギルドランクが高くなると自慢になるし、もっと頑張るよ」
「だな。農業ギルドとの契約止めてった奴らも俺たち見たらまた戻って来るかもだぜ」
そっか、俺がランク上げたら皆も誇らしいのか。んじゃ、これからも積極的に上げていくか。
「んじゃ、まずこの【紅玉皇】からだな。えっと、【採種】!」
ピカ ピカ ピカ ピカ ピカ……
紅玉皇が光り点滅しだすと、そこに1:00の文字が浮かび上がる。そして0:59、0:58と変化する。これはもしかして……
……ピカピカ ピキーン
0:00になるとひと際強く光を放つ。そして光が収まると、そこには見たことのある種が2つ。
「おおお、採種だー。初めて見たー」
「俺もだ。いいなあ、俺も播種だけじゃなくて採種もできたらいいのに」
「……」
ミクリさんとゲンジさんは採種成功をすごく喜んでくれる。だが、俺とクレオはお互いを見やる。
「これって……」
「1回1分かかっちゃう?」
ミクリさん達の喜ぶ横で、効率重視のプレイヤー目線を持つ俺とクレオは複雑だ。だって、種を60個得ようと思ったら30分かかるということだ。流石にやってられん。
「ま、まあとりあえずこの種だな」
【紅玉皇の種】ランク2
赤トメトの上位種『紅玉皇』の種。
よし、ランク2だ。
「じゃあ、これナガちゃんにあげてみて」
「うん、じゃあ遠慮なく。ナガちゃん、これなら食べられるかな~」
『ピピピ? ピピ!』
種を見て何度か首を傾げたナガちゃんだったが、何かを理解したのか急に種をつつき出し、5度目にパクリと食べた。
「おお、食べた」
「やったー! よかったー、ナガちゃん」
『ピピピー』
種を食べたナガちゃんが農屋の中を飛び回る。飛んでない時はまん丸なのに、飛び始めたら流線形に体型が変わった。めっちゃカッコいいし、めっちゃ飛びそうだ。
「あ、ナガちゃん、まだ飛ばないで。まだ15%しか回復してないから」
クレオがステータス画面を見ながらナガちゃんを止める。すると、再びクレオの膝の上でまん丸になるナガちゃん。なんだ、このギャップかわいすぎるんだが?
「よし、とりあえず、100%にしようか。あと6個だよな」
種を6個並べて採種を使う。2つとか同時にできないかなと思ったがやっぱり駄目だった。なかなかにシビアな仕様だ。
「じゃあ、癒楽房に移動しようか。別の作業しながら採種していこう」
「あ、いいね。わたしも料理なくなってきたから補充したいし」
二人で癒楽房に移動する。
「スプラ君は何作るの?」
「あ、防具をね」
「へえ、またピエロ風にするの?」
「あ、俺のじゃなくて、フレンドの防具をね」
「ええ、いいなー。わたしも作ってほしいなー」
なんだこの親し気な会話は。
「俺もそんな上手い訳じゃないから、作った現物を見てから頼んだ方がいいぞ?」
「ふーん、そっか。じゃあそうするね」
……なんか変な気持ちだな。フワフワする。でもここは気を取り直してと。
これから作るのはゴマッキさんの防具だ。
ゴマッキさんは熟睡中に死に戻るから、とにかく耐久重視で。ホムンクルスでステータスはそこそこあったから重さは気にしなくていいだろう。重騎士みたいなのは無理としても、全身を覆えるようなのがいいかな……よし。
使うのは耐久重視で【食虫植獣の葉】だ。丁度60㎝ほどあるし、これを前と後ろで2枚を【食虫植獣の蔓】で縫うようにしてバッサリ君で開けた穴に通していく。
これだけだと前と後ろを大きな葉っぱで隠しただけになってしまうので【食虫植獣の花弁】で袖の部分と裾の部分を作る。それをピッタリ君で内側に張り付ければ、葉っぱの下から赤いきめ細かな生地が見える服になった。
ピンポーン
『特定行動により【裁縫Lv1】のレベルが上がりました』
「へえ、変わった感じだね~。ここからどう仕上げるの?」
「え? あ、そ、そうだね…」
知らない間に後ろで見ていたクレオから声がかかる。いや、俺的にはこれで完成なんだが……なにかした方がいいのかな。あ、そうだ。
ストレージからジャラジャラと宝石を取り出す。ゴマッキさんたぶん中堅なんだよな。となると、大人の魅力を強調してもいいと思うし、ここは宝石で。
「……」
なんかクレオが急に無言になった。話しかけらる気配もない。じゃあ、ここは集中してと。
緑とオレンジ系がいいかな~。【翡翠】に…あ、この【日長石】がいっぱいあるな。じゃコレをカッティングでそれっぽくしてと。よし、じゃあ翡翠を襟元の左右1つずつ、それから日長石を腰の付近に数珠つなぎにして付けとくか。
「よし、これなら悪くないんじゃないか。森の中の迷彩服って感じで」
ピンポーン
『特定行動により【献身】が発動します。生産物がプレイヤー「ゴマッキ」に最適化されます。ゴマッキに固有スキルを確認……最適化されました』
「へ?」
ピッカーーン
「きゃっ、なに?」
「うおおおお、そうだったー、このアナウンスは光るんだった―!」
『称号【不断の開発者】の効果により特殊生産物が生産されました』
【眠れる森の微笑】
全身多彩で細やかな葉で彩られたドレス。素材由来の強固な耐久を持つ反面、森の妖精を彷彿とさせるキュートさに首周りに輝く宝石たちはプリンセスの風格を醸し出す。自然と一体化するその空気感は悪意あるものからその身を隠す。
・山、森、など樹木がある場所で迷彩効果。
・耐久+66
・蔓の操作が可能
「え、なに? 変わったわよ、え? 凄く素敵なんだけど?」
クレオが食らいつくように見るそれは、オレンジから緑へのグラデーションが鮮やかな肩出しのロングドレス。見る角度によってオレンジになり、緑にもなる。それは夏の終わりから秋の始まりの色彩で、生命力と豊穣を同時に表現しているかのようで。
「え、あっとこれは偶々できる偶然の産物とうか……」
「じーーーー」
ぐぐ、口で「じーー」とか言うの反則だろ。これに抗うのは無理だ。
「クレオのも作ってみる?」
「いやったーー!」
ぐぐぐ、クレオの今着てる服がめちゃくちゃかわいいのにこれ以上のものなんて作れるわけない……どうしよ。
❖❖❖レイスの部屋❖❖❖
「はっはっは、採種がそんなに甘い仕様な訳ねえだろうが、小僧」
「本来はもう2エリア先から品評会とともに始まる感じですもんね、採種って」
「そう、品評会を通して認められた種だけがギルドを通して増産可能になるんだ」
「採種システムはあくまで良質の作物の開発用システムですから」
…
「あ、先輩、スプラさん製作に入りました。これ称号効果案件になりそうっす」
「ん? あ、じゃライスに任せる」
「え? 全部っすか?」
「うん、適当にやっといてくれ」
「(……種のことが気になって仕方ないんすね、先輩)」
―――――――――――――
◇達成したこと◇
・採種の仕様を知って期待外れに思う
・ナガちゃんが種を食べて飛ぶ姿に見惚れる
・制作【眠れる森の微笑】
・クレオの装備作成依頼を断れず
◆ステータス◆
名前:スプラ
種族:小人族
星獣:アリオン[★☆☆☆☆]
肩書:マジョリカの好敵手
職業:多能工
属性:なし
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:1
耐久:1(+33)
敏捷:1(+53)
器用:1
知力:1
≪武器≫ (決断の短刃─絆結─)※筋力不足
≪鎧≫ 仙蜘蛛の真道化服【耐久+33、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気・粘着)】
≪足≫ 飛蛇の真道化靴【敏捷+53】
≪アクセサリー≫ 道化師の自然派キャリーセット
◆固有スキル:【マジ本気】
◆スキル:
特殊──【逃走NZ】【危険察知NZ】
保有──【品格】【献身】【騎獣術】【依頼収集】【念和】【土いじり】【熟達の妙技】【眼通力】【薬草の英知】【劇毒取扱】【特級毒物知識】【独り舞台】【鉱物学】
成長──【秘薬Lv10】【石工Lv10】【配達Lv10】【一夜城Lv10】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【料理Lv10】【コーチングLv10】【カッティングLv10】【融合鍛冶Lv6】【解析鍛冶Lv4】【特殊建築Lv4】【散弾狙撃Lv4】【高級料理Lv4】【魔力操作Lv4】【ルーティンワークLv3】【極意の採取Lv2】【上級採掘Lv1】【瘴薬Lv1】【レザークラフトLv1】【裁縫Lv1】【空間描画Lv1】【コスパ料理Lv1】
耐性──【苦痛耐性Lv3】
◆所持金:約4240万G
◆従魔:ネギ坊[癒楽草]、チク坊[護針獣]、ペン坊・ミケ坊・タツ坊[岩魔]
◆称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【不思議ハンター】【不思議開拓者】【巨魁一番槍】【開拓者】【文質彬彬】【器用貧乏】
■【常設クエスト】
<定期納品:一角亭・蜥蜴の尻尾亭・腹ペコ熊の満腹亭……>
■【シークレットクエスト】
<太皇太后の想い> 第二の街復興と独立国家建設
・行政府 0/1
・鍛冶工房 3/2
・薬房 1/2
・住居 0/10
・城壁 北側に10メートル
◆星獣◆
名前:アリオン
種族:星獣[★☆☆☆☆]
契約:小人族スプラ
Lv:20
HP:310
MP:445
筋力:48
耐久:46【+42】
敏捷:120
器用:47
知力:69
装備:
≪鎧≫ 赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】
≪アクセサリー≫ 赤猛牛革の鞍【耐久+12】
≪アクセサリー≫ 赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】
◆固有スキル:【白馬誓魂】
◆スキル:【疾走Lv8】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【水上疾走Lv1】【かばうLv10】【躍動】【跳躍Lv2】【二段跳び】【守護Lv10】
◆従魔◆
名前:ネギ坊
種族:瘉楽草[★★★★☆]
属性:植物
契約:スプラ(小人族)
Lv:1
HP:10
MP:10
筋力:3
耐久:3
敏捷:0
器用:6
知力:10
装備:
≪葉≫【毒毒毒草】
≪葉≫【爆炎草】
≪葉≫【紫艶草】
◆固有スキル:【超再生】【分蘖】
◆スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】
◆分蘖体:ネギ丸【月影霊草】ネギ玉【氷華草】ネギコロ【天雷草】
名前:チク坊
種族:護針獣[★☆☆☆☆☆]
属性:依存
契約:スプラ(小人族)
LV:1
HP:20
MP:410
筋力:5
耐久:4
敏捷:14
器用:12
知力:14
装備:なし
固有スキル:【僕を守って】■■■■
スキル:【逃走】
名前:ペン坊、ミケ坊、タツ坊(岩っ子班)
種族:岩魔[★☆]
属性:岩
契約:スプラ(小人族)
LV:1
HP:555
MP:33
筋力:255
耐久:255
敏捷:3
器用:3
知力:3
装備:なし
固有スキル:【岩食】
スキル:【叩き潰しLv1】
◆生産セット◆
・大地の調合セット
◆特殊所持品◆
・魔剣の未完成図面
◆所有物件◆
・農屋
・野菜畑(中)、フルーツ畑(小)、食虫植物畑(小)
・癒楽房(格式Ⅲ)
・極凰洞
◆契約住民◆
・ミクリ【栽培促進】
・ゲンジ【高速播種】
・チッチャーネ【味見】【原種進化】
・デッカイ【益虫使い3】&オッキイ【益獣遣い3】
◆お手伝い◆
・ガガン【???】
・ダガン【???】




