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第227話 不動産バブル

いつもお読みいただきありがとうございます。

誤字報告も大変助かっています。

よろしければブックマークや★評価をいただけると嬉しいです!

「ス、スプラさん、こ、この炉って、何かついてますけど……もしかして宝石じゃないです?これ」


 セメントモリが炉の側面を指さして言う。


 ……炉? ああ、それそんなところについてたのか。



「それは【紅玉】だな。そういや『使えたら使って』って渡しといたんだった」

「え、ルビー? 宝石なんてあったんですか? 鉱石じゃなくて?」


 あったんだよな、なんか大量に。なかなか大変な場所だったけど。



「じゃ、なんか作ってみる? セメントモリ使ってみたら?」

「え、いいんですか? あ、でもその様子だとまだこの炉は使ってなさそう……ん? あれ? これなんかボタンみたいになってません?」


「ボタン?」


 セメントモリが炉に着けられた紅玉を指で触れ……そのまま押しこむ。え? あ、押しちゃうんだ。



 ブオオオオオ



「おわっ、びっくりした!」


 セメントモリが仰け反って驚くその視線の先では炉に真っ赤な炎が燃え盛る。



「こ、これ物凄い火力ですよ、スプラさん!」

「あら、ほんとね。これうちの炉よりも数段温度高いわ」


 セメントモリとセリカさんが言う通り、目の前の炉からは物凄い熱が噴き出している。この炉、なんなんだ?



【紅玉炉】

 炎竜の体内で悠久の年月を経て形成された紅玉は鍛冶炉との相性が最も良い。

 その火力は一瞬で鉱石を精錬するほどである。



「え、精錬? これ鍛冶用の炉だけど?」

「あ、スプラさんはこの炉の説明が読めるんですね? どんなことが書かれてあったんですか?」


 今日はやたらと積極的なセメントモリ。なんか今までより距離が3割ほど近い。だが、ゴリラのアップ画像の需要は低いと思うぞ。



「なんか、鉱石を精錬できるみたい?」

「え、精錬ってなんですか?」


「精錬ってのは鉱石を熱して不純物を取り出すことなんだけど、例えば鉄鉱石から鉄インゴットを作ったりすることかな」

「へえ、ってことは鉄鉱石だけあっても製錬しないと鍛冶には使えない…?」


「そうそう、始まりの街の鉄はほとんどこの街で精錬された鉄が使われてたみたい」

「へえ、そうなんですね」


 セメントモリがすごくキラキラした目て紅玉炉を見続ける。こいつ、マジで鍛冶好きなんだな。【マジ鍛冶】とかレイスに作ってもらったらどうだろ。語呂もいいし。



「2.5億」

「え?」


 セリカさんがいきなりなんか言い出した。なんだ急に。



「この敷地とこの癒楽房の資産価値よ」


 資産価値? 2.5億? 



「あ、わたし、前の職業で【不動産鑑定】を習得したの。その不動産の60%以上の情報を得ると不動産価値を算出できるのよ。といっても、その後に得た情報によって上下するんだけどね。で、今この…癒楽房だったわよね、ここ」

「あ、はい」


「癒楽房の情報量が65%になって価値が産出されたの。あ、ちなみにこれがわたしがこれまで鑑定した不動産よ。普段は見せないんだけど今回のお礼に見せてあげる」


 セリカさんがステータス画面共有をしてくれ、俺の前にその画面が表示される。



1位 2.5億G 癒楽房(第二の街2-12)

2位 1.4億G 銀斧工房(始まりの街3-2)

3位 1.1億G 始まりの街3-89

4位 0.9億G 始まりの街8-13


「ちなみに3位はエア・ブランコ商会ってやつらの建物。わたしの得た情報は60%ギリギリで不動産名すらわからない状態だけど。で、4位はスプラ君の農屋ね」

「え、1位? 癒楽坊1位なんですか?」


「そうよ。スキル算出だから現状の情報での価値としては間違いないわよ」

「え、じゃあ、俺の総資産価値は3.4億?」


「ええ、そうね」

「マジっすか……あ、でもセリカさんが知ってる中だけでってことですもんね?」


「そうだけど…なんかわたし見くびられてる? 一応これでもFGS内で名の通ったプレイヤーだと自負してるんだけど」

「あ、いや、そういう事じゃなくて…」



 マジかよ。まさか俺の資産がFGSトップとか。え? 俺、誘拐とかされんよな? 身代金とか要求されたり? え、なんか怖いんだけど。あかん、ちょっと気分を落ち着けないと…あ、そうだ。



「ちょっと、飲み物取ってきますんで待ってください」



 急いて移動扉を通って農屋のドリンクサーバーを持ってくる。



「あ、よかったら二人とも飲んでください」

「……?」

「……??」


 あれ? 二人とも飲まないのかな。じゃ、落ち着きたいからお先に失礼して。



「ぷはーー、ああ、なんか落ち着いた。あれ? 本当に飲まないんですか? うまいですよ」


「いやいやいや、スプラさん、今、そこのドア……」

「ドア?」


「あの、スプラ君、今そこのドアの先に別の景色が見えたんだけど?」

「ああ、これ移動扉ってやつで、不動産2つ目になったからって行き来できる扉を貰ったんですよ」


「行き来って……それ、転移扉じゃないの!!」

「えええっ、マジで?!」


 そんな驚くことか? まあ、便利ではあるけど。でもアリオンで移動したらそんな時間もかからんしな。



「はっ、癒楽房と農屋の価値が2.9億と1.3億に価値が跳ね上がったわ」

「え、一気に4000万G ?」


 なんだその上げ幅は。昔あった不動産バブルとかか? よく知らんけど。



「ま、とりあえず飲んで落ち着いてください」


 こういう時は飲むに限る。



「ごく……?! ゴクゴクゴクゴクゴクうまーーーーっ!」


 セリカさんが叫ぶ。今まで大人の落ち着きを纏っていた人が急に叫ぶとか、面白いしかない。



「スプラ君、これ、自作よね?」

「あ、はい」


「これってもしかして、不動産に紐づいてたりする?」


 不動産に紐づいて? ……ネギ丸たちは農屋がお気に入りだけど…あとはゼン爺たち用ってことくらいかな。



「素材が農屋でとれるのと、契約住人が自由に飲めるようにしてあることくらいですかね?」

「素材が農屋で? 契約住人が自由に? ……あ、また上がった農屋が1.5億…ってジュースで2000万Gアップ? はあ?」


 ジュースで2000万…ってことはゼン爺とかの事も話したらもっと上がったりして。



「セリカさん、農屋の事なんですけど……」


 セリカさんの反応が楽しくなって途中から調子に乗って話過ぎてしまった。ま、セリカさんは信用できそうだからいいよな。




「……で?」

「で? とは?」


「もう他に《《隠してることはないのか》》ってことよ! はあはあ」

「いやあ、もうないとは思うんですけど…」


 いや、なんで尋問? ここは取調室か何かだっけ? 



 俺が話したのはエリゼさんの【良い声】効果とミクリさんの【栽培促進】、ゼン爺の【十全栽培】での最短2日最長4日の野菜栽培とその品質、加えてゼン爺に頼めば農業関連スキルを習得させてくれたり、肥料の【超絶癒楽液肥】と【畑の運搬車バギー】と【爆裂撹拌レーキ】は自由に使ってもらっていいのと、農業ギルドや一角亭、蜥蜴の尻尾亭への定期納品も任せてあることくらいなのだが。ここまで伝えたらなぜか興奮し出したセリカさん、そこからのこの尋問だった。



 もう隠してないかとか言われてもな…。全部言ったよな? でも、何か言わないと「吐けー!」とか言われそうだし……あ、そうそう。


「そういや、ゼン爺が花壇で薬草を栽培してまして、【月光草】と【陽光草】と【毒出し草】が取れますね。あ、で、そこでエリゼさん効果で花が咲きまして【月影霊草】って珍しい薬草がとれたり……って、セリカさん?」


「ご、ご、ご……」

「ごご?」


「5億超えたーーーー!!」

「ぶーーっ」



 セリカさんの叫びにセメントモリがジュースを吹き出す。ってか、セメントモリ、それ3杯目だろ。しれっと何度もお代わりすな。


 ま、いいんだけど。


「農屋が5.5い、いえ、5.6、5.7…止まった? 止まったわね? 農屋が5.7億Gで1位、2位が癒楽房で2.9億。農屋の情報が92%…まだ8%が不明みたいだけど流石にこれ以上はないでしょうから……スプラ君の不動産価値は8.6億ね」



 8.6億……こういうのってアレだよな。確か天文学的な数字とかいうんだっけな。あ、いや俺にとってって事だけど。


 ってか、あれ? 俺たち何しに癒楽房に来たんだっけ? こんな事のためじゃなったはず……



ピンポーン

『FGSプレイヤーの皆様、本イベントも残り3時間となりクライマックスを迎えています。仙蜘蛛の大侵攻はまだまだ収まる気配がありません。皆様の一層のご活躍を期待しています』



 あ、そうそう、アレを作るんだった。



❖❖❖レイスの部屋❖❖❖


「へえ、この不動産価値ってのは面白いっすね。価値を純粋にGを使って評価するって。ただ、情報が100%じゃないのに比較するなんて無意味にも程があるっすね」


「おお、ほらほら、追加情報でこんなことになるっすからね。1%でも不明情報があれば意味を成さないっす。でもまあ、このスキルの価値は資産価値が産出されるところじゃなくて、施設に眠っている情報量が分かるって事っすかね。使い方次第では化けるスキルっす」


「しかし、あの極凰発砲水はおいしそうっすね。ってか、俺たちにおいしそうって思わせるって何なんすかね。俺達が作られる過程で学習した結果なんすかね。不思議っす」

「来た!」

「おわっ、先輩、起きたんすか」


「来たぞ。アレが動き出した」

「え、アレがですか? イベント終了まで3時間もあるのに?」


「さあて、じゃあ、準備始めるとするか」

「え、始めるって何をっすか? 干渉は出来ないっすよね」


「視点カメラは15台、場所は極凰層、湖周に6台、小島に2台、吹き抜けに3台、残り4台はムービングだ」

「あ、あー、そういう…完全な準備ってそういうこと…」



―――――――――――――

◇達成したこと◇

・不動産バブルをプチ体験する。



 ◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:アリオン[★☆☆☆☆]

 肩書:マジョリカの好敵手

 職業:創菌薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+33)

 敏捷:1(+53)

 器用:1

 知力:1

 装備:仙蜘蛛の真道化服【耐久+33、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気・粘着)

 】

 :飛蛇の真道化靴【敏捷+53】

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv10】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv9】【寸劇Lv4】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv10】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv3】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv4】【融合鍛冶Lv6】【観察眼】【苦痛耐性Lv3】【慧眼(薬草)】【薬草学】【採取Lv10】【精密採取fLv4】【採取者の確信】【採掘Lv10】【菌創薬Lv9】【上級鉱物知識】【カッティングv1】【レザークラフトLv1】【裁縫Lv1】

 所持金:約1300万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【秘密の火消し人】【秘密ハンター】【秘密開拓者】【巨魁一番槍】【開拓者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


 ◎進行中常設クエスト:

 <蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

 ●特殊クエスト

 <シークレットクエスト:刀匠カンギスの使い>

 〇進行中クエスト:



 ◆星獣◆

 名前:アリオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:310

 MP:445

 筋力:48

 耐久:46【+42】

 敏捷:120

 器用:47

 知力:69

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

 :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

 :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:【友との約束】

 スキル:【疾走Lv8】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【水上疾走Lv1】【かばうLv7】【躍動】【跳躍Lv2】【二段跳び】



 ◆契約◆

 《従魔》

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★★★☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:3

 耐久:3

 敏捷:0

 器用:6

 知力:10

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【紫艶草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】

    :ネギ玉【氷華草】

    :ネギコロ【天雷草】


《不動産》

 EX農屋&中規模畑 5.7億

 癒楽房 2.9億


 ≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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