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第217話 仙蜘蛛の巣

いつもお読みいただきありがとうございます。

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 咆哮のアクションに入ったはずのオーガ三体の動きが止まっている。



 三体が揃って見ているその視線の先にはワーバットがなんかクネクネ変な動きで踊っている。見てるろ虚仮にされてる気がしてきてなんかイラっとする踊りだ。



「師匠、ここはわたしに任せて行ってください!」

「任せてって…どうすんの?」


 いや、マジで。なんで来ちゃったんだよ。



「死なないタンクの恐ろしさをこの鬼どもに見せつけてやります」

「いやいや、それ北の山地よりもひどいことになるから」

「いいんです。だいぶ慣れましたし、これくらいの恩返しはさせてください」


 おそらく【逆撫NZ】を使っているのであろうワーバットが更に変な踊りをしてオーガを逆撫でる。



「ガガガガガガ」

「グガガガアアア」

「ゴゴゴゲエエエ」


 一斉にワーバットに向かって釘バットを振り上げながら走るオーガたち。しかしワーバットは逃げない。どうやら覚悟を決めているらしい。ま、覚悟が決まってるんなら仕方ないな。



「師匠、行ってください。で、また戻ってきてください」

「了解。じゃあ、皆さん、行きましょう!」


 ワーバットの踊りをポカン顔で見ていた鍛冶師たちが我に返る。



「よ、よし、ここはあの竜人に任せて逃げるぞ」

「おおーー」


 鍛冶師たちを連れて空洞の奥へ逃げ込む。オーガたちが来た道を走り進むと道が枝分かれとなっていた。



「出口わかりますか?」

「兄ちゃん、すまん、わしらも分からん。この洞窟はとにかく入り組んでおってニカブの手下についてきただけなんだ、本当にすまん」


 鍛冶師たちが頭を下げる。そっか、逃げ道が分からないようにしてるって訳か。じゃあ、ここは左手の法則で行ってみるか。


「じゃあ、皆さんついてきてください」





「なあ、異人の兄ちゃん、さっきから同じ道や分岐ばっかりだが大丈夫か?」

「ええ、大丈夫…だと思います」


 この洞窟には鍛冶師たちが入ってきた入り口が必ずあるはず。ならこの左手の法則で進めばいつかは出口に着くはずなのだ。なのだが…。



 ……なんだ、この既視感は。


 初めて来たはずの洞窟なのに、妙な既視感がある。そして、なんとなくこの先の道も想像できてしまう。なんだ、この変な感覚。



「しっかし、仙蜘蛛の巣がこんなにも広いとはな。そりゃ、いくら討伐しようとしても見つからん訳だ」

「ほんとほんと」


 …?? 仙蜘蛛の巣?



「あの、この洞窟って仙蜘蛛の巣なんですか?」

「ああ、そうだ。このグネグネした洞窟は仙蜘蛛の巣だ」


「もしかして、ここのほかにもあったり?」

「ああ、俺が知ってるだけで他に3つある」


「ちなみに、他の洞窟もこんな感じなんですか?」

「なんだ、兄ちゃん知らんのか? 仙蜘蛛の巣はどれも似たような構造らしいぞ。って複雑すぎて誰もすべてを見たことある訳じゃないんだがな」


 ……いや、俺あるんだが? 3時間かけて回ったことあるぞ。しかも地図も作ったんだが?



 ストレージから手作り地図を取り出す。


「うん、一緒だな。ってことは今ここだから出口は……。皆さん、出口は近いですよ。急ぎましょう!」



 地図を元に分岐を進む。そして3回目の分岐を越えた時。


「おおお、この上り坂、ここだ。ここから俺たちは入ってきたんだ」



 目の前にある超長い上り坂。はるか上に出口の光が見える。この坂はさすがにリオンがいないときついな……あっ、そういやリオンの事忘れた!



「【引馬】!」


『フンス? フンス♪』


 リオンが『あれ?』って顔で現われたが、すぐに状況を理解してくれたらしい。背中に乗れと言ってくる。


「じゃあ、皆さん、行きましょう」




「はあはあ、着いたー! 下る時はそれほどでもなかったが、登るのはキツかったな」


 出口に着くと、そこは湖に面した崖の壁だった。前に見つけた偽装横穴の少し北側で、大岩3つにうまく隠された船着き場まであった。



「船は…どこですか?」

「なに、船がねえだと? くそ、この湖を泳いで渡るのは無理だぞ。この湖にはとんでもねえのがいるからな」


 そっか、とんでもないものがいるのか。それじゃ、作っちゃうか。


「ちょっとそこのスペースに木を出しますね」


 トレント木材を5本くらいかな?



「おお、コレは良質なトレント木材。昔なら薪の材料として高値で取引されたもんだ」


 そうなのか。トレント木材は薪の原料になるのか。へえ。


 鍛冶師たちの昔話を横耳で聞きながら木材を糸でつないでいく。そして最後にMPを流して縛り上げる。よし完成。



「一応、筏みたいなのは作れましたんで。これで街へ戻れますか?」

「おお、兄ちゃん、あっという間にすごいもん作るな。うん、しっかりしている、大丈夫だ。これならいける」


 鍛冶師たちはどんどん筏に乗り込み、落ちていた木板をオール代わりにして街へと帰って行った。


 と、じゃあ、俺は速攻でワーバットのところに戻るか。




「うん、危険反応がすごい。リオンこの先にワーバットがいる。注意して」

『フンス』


「もう、ちょっと、あんたたち、いい加減にしなさいよ!!」


 お、ワーバットが走ってきた。



「おーい、ワーバット!」

「あ、師匠、あいつら本当にしつこくて」


「攻撃受けて大丈夫だったか?」

「大丈夫な訳ないじゃないですか、あんな釘だらけのバットで叩かれたらトラウマもんです」


「え、じゃあ…?」


「ガガガ…」

「ギギギ…」

「グググ…」


「へ? …えっと、カミナリ様で?」


 ワーバットを追いかけてきたオーガたち。だが、その風貌がさっきまでと違う。一人は髪の毛がアフロ状態、もう一人の髪の毛は残バラ状態、最後の人一人に至っては

黒く縮れた髪の毛が少しだけくっついているだけ。


 なんじゃこりゃ?



「もう、本当にしつこくて。師匠からもらったこのオープンフィンガーからいろんなものが出たのに全然倒れないし」


「え、マジ? 《《その》》混沌のオープンフィンガーでこうなったの?」

「そうなんです。何回も食らわしてるのに」


 マジか。こんな有望な武器だったの? これワーバットのステータスが足りてないだけで、普通に使ったら……もしかしてヤバいやつなのか?



「ガガガ」

「グググ」

「ゲゲゲ」


 なんか大男のカミナリ様たちもちょっと面倒くさそうに見える。だよな、ただのプログラムじゃなくて自立思考型のAI積んでるもんな。びっくり玉手箱相手じゃ予測立てられんよな。


 …もしかするとランダム性能ってAIには刺さるのかもな。



「ん? 危険が跳ね上がった? あ、やばいワーバット逃げろ!」


 急な危険察知の反応に注視すると、なんとオーガの1体が他の2体に隠れて咆哮の予備動作に入っていやがった。


 くそ、こんな高度な連携もしてくんのか。



「ガガガ」

「グググ」


「ゲガガガアアアアアアアアアアアアーー!!!」


「あ…が…」


 オーガの咆哮を受けてその場に膝から崩れ落ちるワーバット。そうかワーバットには効いちゃうか。しかし、この咆哮が効く効かないって何なんだろうな。


 …って、仕方がない、ここは…。



「リオン、超爆裂ポーション使う」

『ヒヒーン』


 みなまで言わなくても分かってくれるリオン。ワーバットを庇うかのように立ち、超爆裂ポーション使用に備える。ま、ワーバットは死に戻りしないんだけどね。危ないのは俺の方。ピエロ服の【熱耐性】リオンの【かばう】頼みなのだ。


「よし、【超爆裂ポーション】投擲!」



ドドドドドーーーーーーン!!



 ものすごい衝撃と熱風。俺だけなら一瞬で吹き飛ばされていただろう。そんな炎が収まった時、オーガはドロップに姿を変えていた。



ピンポーン

『星獣リオンの【かばうLv5】のレベルが2上がりました。』



ピンポーン

『パーティーメンバー「ワーバット」のレベルが11上がりました』



ピンポーン

『パーティーメンバー「ワーバット」が条件を満たしたため固有スキル【マジ慢心】の効果が解放されました』



【鬼人の角】×2

【鬼人の腰布】×1



【鬼人の角】

 オーガの角。調薬、錬金、鍛冶の高級素材。


【鬼人の腰布】

 オーガの腰に巻かれた布。オーガの力の象徴。



❖❖❖レイスの部屋❖❖❖


「先輩、あの竜人の動きってなんでAIにも影響するんすかね。見てるとなんかストレスっす」

「不規則性と揺れだな。予測が悉く外されることから来るやつだ」


「ってことは、スプラさんの行動を凝縮したようなものって事っすかね?」

「ま、そうとも言えるかもな。じゃなきゃ精神耐性持ちのオーガがこうも簡単に引き付けられんだろ。あの動きで【逆撫NZ】の効果が最大化されてるってことなんだろう」


「なんかスプラさんとはまた違った凄さがありますね」

「だな。しっかしそんな特殊な人間二人がたまたま揃うとかマジで勘弁して欲しいんだがな」


「……あ、先輩、スプラさんなんか物騒なもん取り出してます!」

「だああ、小僧、やめろ。オーガなんて倒しちまったら…いや、貢献度的にどうなんだ?」


「あ、【マジ慢心】効果解放ですって」

「うそーーーーっ、え? そんな貢献度稼いでたの? え? だとしたらその武具反則じゃね?」


「ちなみに効果ってどんなです?」

「……あ、そうだ。俺、用事思い出しちゃったかも」


「先輩の雑用は全部終わってますけど」

「……逃げたっていいじゃない。AIだもの」



―――――――――――――

◇達成したこと◇

・鍛冶師たちを逃がすことに成功する。

・オーガ3体殲滅。

・リオン:【かばうLv7】

・ワーバット:レベル12

・取得:【鬼人の角】×2【鬼人の腰布】×1



 ◆ステータス◆

 名前:スプラ

 種族:小人族

 星獣:リオン[★☆☆☆☆☆]

 肩書:マジョリカの好敵手

 職業:創菌薬師

 属性:なし

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:1

 耐久:1(+33)

 敏捷:1(+53)

 器用:1

 知力:1

 装備:仙蜘蛛の真道化服【耐久+33、耐性(斬撃・刺突・熱・冷気・粘着)

 】

 :飛蛇の真道化靴【敏捷+53】

 固有スキル:【マジ本気】

 スキル:【逃走NZ】【正直】【勤勉】【高潔】【献身】【投擲Lv10】【狙撃Lv10】【引馬】【騎乗】【流鏑馬】【配達Lv10】【調合Lv10】【調薬Lv10】【創薬Lv10】【依頼収集】【斡旋】【料理Lv9】【寸劇Lv3】【遠見】【念和】【土いじり】【石工Lv10】【乾燥】【雄叫び】【熟練の下処理】【火加減の極み】【匠の匙加減】【ルーティンワークLv3】【描画Lv1】【危険察知NZ】【散弾狙撃Lv4】【融合鍛冶Lv6】【観察眼】【苦痛耐性Lv3】【慧眼(薬草)】【薬草学】【採取Lv10】【精密採取fLv4】【採取者の確信】【採掘Lv10】【菌創薬Lv9】new!【上級鉱物知識】【カッティングv1】【レザークラフトLv1】

 所持金:約1300万G

 称号:【不断の開発者】【魁の息吹】【新緑の初友】【自然保護の魁】【農楽の祖】【肩で風を切る】【肩で疾風を巻き起こす】【秘密の仕事人】【秘密の解決者】【秘密の革新者】【秘密の火消し人】【不思議ハンター】【不思議開拓者】【巨魁一番槍】【開拓者】

 従魔:ネギ坊[癒楽草]


 ◎進行中常設クエスト:

 <蜥蜴の尻尾亭への定期納品>

 ●特殊クエスト

 <シークレットクエスト:刀匠カンギスの使い>

 〇進行中クエスト:

 <眷属??の絆>



 ◆星獣◆

 名前:リオン

 種族:星獣[★☆☆☆☆☆]

 契約:小人族スプラ

 Lv:20

 HP:310

 MP:445

 筋力:48

 耐久:46【+42】

 敏捷:120

 器用:47

 知力:69

 装備:赤猛牛革の馬鎧【耐久+30、耐性(冷気・熱)】

 :赤猛牛革の鞍【耐久+12】

 :赤猛牛革の鐙【騎乗者投擲系スキルの精度・威力上昇(小)】

 固有スキル:■■■■ ■■■■

 スキル:【疾走Lv9】【足蹴Lv1】【噛み付きLv2】【運搬(極)】【水上疾走Lv1】【かばうLv7】new!【躍動】【跳躍Lv3】



 ◆契約◆

 《従魔》

 名前:ネギ坊

 種族:瘉楽草ゆらくそう[★★★★☆]

 属性:植物

 契約:スプラ(小人族)

 Lv:1

 HP:10

 MP:10

 筋力:3

 耐久:3

 敏捷:0

 器用:6

 知力:10

 装備:【毒毒毒草】

   :【爆炎草】

   :【紫艶草】

 固有スキル:【超再生】【分蘖】

 スキル:【劇物取扱】【爆発耐性】【寒気耐性】

 分蘖体:ネギ丸【月影霊草】

    :ネギ玉【氷華草】

    :ネギコロ【天雷草】


《不動産》

 畑(中規模)

 農屋(EX)

 薬房2-12


 ≪雇用≫

 エリゼ

 ゼン

 ミクリ

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